玉木宏樹の言いたい放題・1998年版


 12/26   言いたい放題

      <朝鮮戦争は間近。しかし今日はダイエー・スパイの話>

 きな臭いイラクの爆撃によって、朝鮮半島がホントに危なくなってきた。兆候はい くらでもある。国内で見れば、急激な自・自接近、ガイドライン見直し、管直人スキ ャンダル(私は管は嫌いだけどね)、あの恐怖のグズラー小渕の果断なるイラク爆撃 賛成挙手。全てが一直線につながっている。中国も最近、北鮮攻撃には静観するサイ ンを既にアメリカに送っているという話だ。半島情勢だけではなく、2000年コンピュータ問題ではロシアの核ミサイルの暴発の確率が非常に高いという。

 あーやだやだ。どちらも逃げ場がないもんね。というわけで今日は、プロ野球はダ イエーホークスのスパイ疑惑。何じゃあれは! 一体全体、何を騒いでいるのか分ら ん。ビートたけしじゃないけど、プロなんて何でもありなんだから、あれだって技術 のうちかも知れないじゃないか。だいたい野球なんて、ちぎっては投げ、ちぎっては 投げのピッチャーに、棒切れで跳ね返すだけの単純なもので、複雑なサインのやり取 りやIDなんていうから時間が延びる。私が子供の時の野球の試合時間は、映画と大体 同じ1時間半から2時間だった。それが今や4時間は当たり前となっている。

 今年の日本シリーズで権藤が「日本シリーズが詰め将棋になったらつまらんでしょ うが」と痛烈な野村批判をしていた。私は10才くらいからの生え抜きの近鉄ファンな ので、パリーグの歴史は良く知っている。やはり野村が南海の監督になった頃から、 メチャ時間が延びだした。野村はキャッチャーだから、サインを読まれることにはメ チャ神経質になる。そして彼は疑い深い人間だから、自分のサインを読まれているこ とを確信して、自分ちのホームゲームでは外野からのサイン盗みをやっていたことは 有名な話だ。野村いわく「昔ならいざ知らず、あんな幼稚なことは20年以上も前のこ とだ」と発言している。

 私が子供の頃から一番フシギなのは、バッターがどうしてキャッチャーのサインを 覗かないのかということだった。大人の誰かにそれを聞いたところ、「それはルール 違反だから」と教えられた。しかし、ルールブックにそんなこと書いているんだろうか。

 札幌、仙台、新潟、松山に球団の一つもない日本は非常におかしい。東京は巨人一 球団でよろしい…なんて怒りまくって書いていると、京都弁のスポーツライターで音 楽好きの玉木正之と間違われそう(E-mailで実際に私のと間違って彼の著書の本を買 ったとの報告あり)。しかし、私とあっちの玉木とは何の関係もありません。

 ところで、東京へ出てきてから改めて実感したが、巨人ファンは大勢いても、野球 ファンは殆どいないということ。私はいつも巨人のことしか頭にない連中に12球団全 部を巨人にすればいいじゃないかと冗談を言っている。巨人A対巨人Hとかね。

 大体今回のダイエー事件(事件とも言えるのかね)は、一体何がどうなのかさっぱり 分らん。いやなに、あのスパイが本当だとしても、そんなことはどうでもいい。私が いいたいのは、あんな幼稚なスパイともいえないことを、この時期になぜ九州なのか 。30年前のプロ野球の黒い霧事件を思い返して欲しい。追放されなければ400勝はし たかも知れない大天才、池永を追放して、九州の日本一球団、西鉄ライオンズをつぶ した黒い霧事件の火付け役は、日本一を奪われた読売新聞社だということは冷静なプ ロ野球ファンはみんな知っている。

 西鉄をつぶすための目くらましとして、東映の森安や名古屋の小川健太郎なんかも 道連れにされた。巨人としても、ただ一人潔白を押し通すのも変なので、藤田とか柴 田のヤクザとの付き合いが表面化し、処分間近という時に、ある日、あの長嶋がヤク ザ開帳のトバクの常習者であるという情報が流れ、長嶋宅に猛烈な取材陣が殺到。あ のチョーさんのこと、あまりの追求の凄さに、マッサオになってガタガタ身体を震わ せながら「真実を話します」と言って全てをしゃべった。しかし翌朝もその後も、長 嶋の醜聞は出ずじまい。これは朝日ジャーナルの後日譚に書いてあったことなので本 当なのだろう。日本のプロ野球なんてこの程度で、いまだに長嶋英雄論、天才論が横 行している。

 で、なぜこの時期、ダイエーなのだろう。それは多分、大崩壊しそうな本社をよそ に球団もドームも手放そうとしない中内一家に対する見せしめだろう。どこがダイエ ーを欲しがっているのか、それを研究するほうがよほど面白い。


12/7版

<ダッチュウノはないぜ>

   最近のTVの品の無さは話にならないが、流行語大賞にパイレーツの「ダッチュウノ 」が選ばれたのには絶句した。TVを中心とする日本の文化程度は小学生並みであるこ とは世界中に知られている。大体TVなんて文化ではなく、電気紙芝居であると解って いればいいのだが、じゃあTVに替わる、大人の文化があるのだろうか。ヨーロッパの コンサートやオペラは全て夜の8時からで終わりが夜半の2時3時なのが当たり前。そ のあとで遊ぶ飯屋やディスコは大人の為の徹夜組。こういう大人の文化が育たない最 大原因は、消防法にある。不特定数が集まる公共施設は絶対に夜の9時に終わらなけ ればいけないのである。大人の楽しみもまるで子供扱い。「早く帰ってお休み」である。

 TVのお笑いの芸のなさと品のなさはパイレーツに尽きる。間の悪い笑えないギャグ を埋め合わせるため、膝を開いておっぱいの谷間を見せて「ダッチュウノ」は下品の 極み。それはそれで子供相手ならいいのだが、自由国民社が「流行語大賞」に選ぶと は何事だ! あっ、また血圧が上がる。


    <最近読んだ本から>

    パスカール・キニヤール「音楽のレッスン」吉田加南子沢、河出書房新社 1993 、¥2000。

 ツンドクの中からとんでもない本が出てきた。映画「めぐり逢いの朝」の原典とな った「マラン・マレの生涯の一挿話」他二篇の短編集。美声の美少年の声変わりにこ だわる作者の音楽への思いは激しく鋭い。「チェン・リェンの最後の音楽のレッスン 」に於ける弟子の持ってきた銘器を叩き壊すシーンには鬼気迫るものがある。作者は チェリストでもあり、フランス人の教養の深さにも驚かされる。

    「梶原しげるの本気でドンドン」メディア・ファクトリー、¥1200。

 東京文化放送、朝11時からの生放送の歴史データ集である。私はこの番組のオタク 的ファンで、殆ど聞いているし、よく覚えている。番組の裏話や苦労話は面白いが、 番組での強力な突っ込みが本では全く欠落してしまっていてつまらない。喜んで飛び ついて裏切られた。しかし、番組を知らない人には必ず読んでほしい本だ。

          「空飛ぶ馬」北村薫 1998、23版 創元推理文庫、¥580。

 文学少女と噺家との絶妙なコンビによる殺人等が一切無い推理小説集。中年男が作 者なのに19歳の文学少女の日記の様な淡い文体と、とてもじゃないが中年男にもかけ ない様なウンチクの深い、それでいて随筆の様な小説。快い息抜きにお勧め。


11/24日版

  <18日のJASRAC評議員会報告>

 18日に JASRACの定例評議会が開かれた。前2回は理事選出のための臨時評議会だったのだ。大変に白熱したいい評議会だったと思う。理事の平尾昌晃氏なんかも大変におもしろがっておられたようすだった。

 会の進行のあらましを紹介したいが、何分にもテープや速記録もなく、私の記憶力 だけで書くので、間違いや重大な落としがあったら、関係者の方から指摘していただ きたい。

 その前に、前回の報告に重要なモレがあったので追加しておく。それは桜井順氏の 発言で、要旨、以下のようである。

  ●桜井順氏(J-Scat)
  去る10月15日の朝日新聞において、小林亞星氏と服部克久氏の盗作裁判についての特集記事が載ったが、そのコラムに登場した中村とうよう氏の発言はとうてい許せるものではない。氏の説によると、音楽著作権思想なんてたかだか100年前に生まれたもの。歌がはやっていくというのは民衆の自然発生的なものが大部分。たかがメロディくらいで作家の権利主張をするのは如何なものか、というような表現だが、これは大変暴力的なものであり、著作者と著作権を侮辱するものである。JASRAC及び、新理事長の所見を伺いたい。また、JASRACが入っている新社屋の建材が粗悪な ため、化学物質が発生して病人が出ているようだ。至急調査報告していただきたい。

  ●新理事長
  追って検討し報告したい。

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 以上が前回書き落とした内容である。さて今回は主にJASRACの上半期の収支報告と事業計画についての説明がJASRAC理事によってなされた。我々は事前に渡されていた資料を手にしているので淡々と進んで行った。

 一番重要な案件は著作権法の附則第14条の撤廃だということだ。これはレコード演 奏に対して例外免除を認める附則で、このために特に音楽を利用することで売上に影 響のある営業以外のレコード演奏は著作権使用料を免除するという条項で、これを全 面的に改正してすべての営業体におけるレコード演奏に対して著作権の網を張るとい う法改正であり、前回、三枝氏が政治力が必要だと強調したのがこのことだったので ある。

 さて報告が一通り終わり、質疑応答が始まった

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  ●穂口雄右氏(J-Scat)
  新理事長小野清子氏が参議院議員時代、立候補の支持母体として環境衛生関連の 団体があるはずだが、この団体こそは、附則14条の撤廃とは利害が相反する立 場にある。小野氏はこのことをどうお考えか。

  ●小野清子氏
  確かに私はその種の集まりの支持は頂いているが、そのことと附則14条の撤廃と は無関係である。やらなければいけないことは全力を尽くしてやる決意である。

  ●穂口雄右氏
  去年の総会で決められた、正会員からの強制的会費徴収にイヤ気をさして正会員 をやめた実数を知りたい。

  ●担当理事
  233名である。

  ●穂口雄右氏
  理事長が環境庁政務次官だった時にJASRAC理事の湯川れい子氏と密接な親交があったときいているが、そのような関係でJASRACの新理事に推薦されたのか。

  ●小野清子氏
  湯川理事とはたしかに政務次官室で一度お逢いしたことはあるが、それだけのこ とで、ましてや湯川さんから新理事長の要請なんて受けるはずもない。

  ●玉木宏樹(J-Scat)
  事業報告についての質問。徴収した会費の使い道として社会に還元する音楽事業 という項目があり、1.演奏会、2.講演、3.シンポジウム、ここまではいいとしても、4.の音楽治療に対する助成という項目があり、これを問題にしたい。私も音楽療法に近い仕事をしているが、このような決定があることは最近まで知らなかった。音楽療法は日本の現状では確立された学問には程遠い状況で、いろんな派閥が割拠し、どこが正当なのか全く判然としていない中、どのような基準で助成をするのか、また、もう助成金はすでに交付しているのか。

  ●担当理事
  おっしゃるように音楽療法の世界には多数の団体がある。したがって助成は一番 上位の団体に限ることにしている。具体的には、近く行なわれる浜松の音楽療法の会議関係に対し、70万円の助成をすることなっている。

  ●玉木宏樹
  それはたいへん由々しき問題である。一番上位の団体にしか助成しないというの では、政党助成金を自民党にしか出さないというのと同じだ。その一番上位の団体とはどこなのか。

  ●担当理事
  日野原先生をトップにする音楽療法連盟である。

  ●玉木宏樹
  それは聖路加病院の院長の先生か。

  ●担当理事
  そうです。

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 この私の音楽療法に対する発言で会場はしばし賑わった。

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  ●すぎやまこういち氏(演歌派)
  玉木氏とは意見を異にするが、やはり反対の立場をとる。その団体は音楽療法士 の資格認定を行っている。そういう団体に助成するのは将来に禍根を残す危険がある。

  ●渡辺宙明氏(J-Scat)
  私は作曲家になる以前、音楽心理学をやっていた。そういう関係で、いま私自身 バイオミュージック会議の一員である。助成金が正当であるかどうかは別として音楽療法そのものはアメリカでも認知された分野であり、日本でも早い発展を期待したい。

  ●服部克久氏(演歌派)
  いろいろあろうが、音楽療法に対する助成は基本的に間違っているとは思わない。

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 ここで音楽療法の話は終わり、いよいよ本日のメインテーンマとも思える向谷実氏 の論旨明快で深い知識の うらづけによる質問が始まった。

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  ●向谷実氏(J-Scat)
  JASRACの今後の方針の中の放送使用料の改正の件で質問したい。現在JASRACと放送業界の契約では年4回、1週間ごとのサンプリングによるあらっぽい徴収しかしていない。しかしテレビ局では現場のディレクターに、すべての使用楽曲の報告義務を課しているはずであり、そのための用紙も存在する。この使用報告書をすべてデータベース化すれば、年4回等というあらっぽいサンプリングではなく、年365日のデータ収集ができて、正確な配分につながる。このような報告書があるのに、あらっぽいサンプリングをしているのはなぜか。もうひとつ、自分も含めてのことなのだが 、ドラマ等のタイトルに使う楽曲について、出版社を通して著作権フリーにしてほしいとの要請が来る。実際、現場のディレクターたちは使用報告書に書く場合に混乱しているらしい。また、JASRAC側も混乱しているとの話もあるが、この問題をどう考えるか。実はこの問題は、いま出席されている音楽出版社との利害関係からみのことでもあり、たいへん微妙な問題であることは認識しているが。

  ●担当理事
  (紙をかざしながら)放送局の使用報告書には、青、白、ピンクの三種類があり 、それぞれ生使用、レコード使用、映画用に分けられている(詳細は略)。現在のサンプリング調査は1年を4回に分け、ワンクール13回として、NHKは13/2、民放は13/1の提出をお願いしている。日本では現在、地上TV126波、アナログラジオ97波あり、地域ごとと局ごとに13/1ずつに振分け調査をしている。民放でいうならば13/1週目は日本テレビで、13/2週目はTBSというふうに一週ずつずらしながら一巡するようにしている。現在のところ、これですべてが捕捉できると思っている。

  ●向谷実氏
  日本の民放はすべて自分の音楽出版社を持っている。事前に調査週間がわかれば 、自分たちの権利楽曲しか放送しないのは当然のことだ。またTV局で必ず使用報告書を書くことになっているのに、13/1しか調査対象にならないのなら、あとの13/12はゴミ箱行になっているのか、それはおかしい。

  ●担当理事
  原則的には全部の報告だが、弾力的運用もあるのではないか。しかし、向谷氏の おっしゃる意味はたいへんよくわかるので、将来的には全てが13/13になるということを我々は目標にしている。この件に関しては我々の意気ごみを信じてほしい。また、技術的な側面として、局側、JASRAC側双方に同じソフトを用意し、瞬時に通信上で把握できるという方法も近い将来実現したいと思っている。

  ●向谷実氏
  たいへん心強い発言だ。ぜひ頑張ってほしい(多数拍手あり。演歌派とよばれる 人からも)。

  ●担当理事
  このような鋭い指摘は今まであまりなかった。これをいいチャンスとしてみなさんでいろいろと考えていきたい。ぜひ協力を。

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 なんという予想外の展開。我々J-scatは、「総会派」呼ばわりされるほど胡散臭 思われていたが、まさかまさかの展開で、演歌派からもなんとなく空気の変化が感じ られ出した。

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  ●玉木宏樹
  向谷氏の関連質問。放送局の使用報告書がそのまま我々の分配明細書に書かれて いれば問題はないのだが、放送に限らず、地方のコンサートにしても、自分の曲がどこで誰がどういう目的で発表したか全く書かれていない。すべてがわかるようにして欲しい。

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 ここで私の前に座っておられた中山大三郎氏から「それは無茶苦茶お金がかかる」 とのたしなめがあった。

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    ●担当理事
  今以上の情報をのせると経費がかさむ。それは同時に手数料の値上げを余儀なく される。それでもいいかどうかをお考え頂きたい。 

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 今回、議長の都倉俊一氏は欠席で副議長の湯山氏が議長代行。けっこうソツなく議 事進行をこなされていたが、段々と時間を気にされ始めた。その中で、J-scatの若き ホープ安西史孝氏(彼も、もう40をオーバーした。でも多分評議員の中では一番若い はずだ。実はJASRACの会員は、全く若い人が入れないような環境整備がされているような感じがする。これも大変由々しき問題である。)が溌剌とした質問を投げた。

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  ●安西史孝氏
  マルチメディア関連の質問。まず最初に、商用ネットワークにてMIDI関連のフリ ー実験が10年にわたって行なわれており、そこではMIDIによる音楽著作権が全く野放し状態。実態をJASRACは把握しているのか。ある商用ネットでフォーラムを開いた、音楽プロではない人間のMIDIフォーラムの管理者に月額約300万円の収入が発生している。こういう実態にJASRACはどう対処するのか。また、MPEG3に対する対応を訊きたい。一応MPEG3はもうすでに下火で、これからもっと新しい方式がでてくる。一刻も早く対応しないとJASRACの将来はない。

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 ここで演歌派の大多数の人は、飛び交うNET用語についていけず、またもや空気が 一変した。ここで心ある演歌派の人たちは、マルチメディア問題の赤裸々な重大性を はじめて実感し始めたのではないだろうか。

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  ●担当理事
  商用ネットに関して我々が何も知らないとかいうことは全くない。逆に危機感を 持っている。これについてもある程度の決めを近々考えている。MPEG3については、アメリカではハードごと禁止である。日本ではJASRACが使用さし止めをする立場である。これについてもみなさんの意見をききながら本気で対処していかなければならないという危機感は十分持っている。ぜひ、みなさまのお力を借りたい。

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 この後も紆余曲折はあったが、野坂昭如氏の質問と新理事長の答えが、かけ合い漫 才風で秀逸だった。

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  ●野坂昭如氏
  小野清子氏あっては、このJASRACの難しい局面の中であえて理事長になられてこんな大変な職をよく引き受けられたと感謝する次第。ところで先般、問題になっ ている附則14条の撤廃に関し、前回の三枝氏の発言にもあった、政治力を行使できる人ということでJASRACの理事長になられた。それではあなたの政治力とはどういうものかということをお聞きしたい。

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  ●小野清子理事長
  私は政治力というのは決して悪いものではないと思っています。政治とはあくま で日常生活そのものでなければならないのです。だから私の政治力とは日常生活に根付いたものであり、それに乗っ取って今後の行動指針にするつもりです。

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 この後もいろいろあったが、前回の桜井順氏の質問の解答の模様。

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  ●桜井順氏
  前回お尋ねして保留になっている朝日新聞の記事内容についてJASRACはどういう対処をとるのか。

  ●担当理事
  特に何もするつもりはない。

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 これについては様々なリアクションが出たが、私の筆力ではフォローできない。い ずれ、J-scatから抗議文書が出るだろう。

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  ●玉木宏樹
  開かれたJASRACを目指すためにも提言したい。前評議員の小六氏からも言われたことなのだが、この評議会にオブザーバー参加を認めて欲しい。また評議員会の回数が少なすぎる。もっと回数を増やして欲しい。

  ●担当理事
  オブザーバーに関しては急な発言なので今はお答えできない。

  ●小野清子理事長
  評議員会を増やすというのはお忙しい皆様をわずらわすことでもあり、それより 、具体的な質問等はいろんな委員会があるのでそこでやってほしい。評議会はできるだけ簡潔に行いたい。

  ●平尾昌晃氏
  いろんな意見が出て、非常にいい評議会だったと思う。ただし、私の文化関連 の委員会とかいろんな委員会があるので、是非、そちらにみなさん参加して頂いてもりあげたい。みなさんの参加をよろしく。

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 最後に、すぎやま氏の抗議を書いておこう。 

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  ●すぎやまこういち氏
  私が前回、出席していない場において、向谷実氏から重大な事実に反する発言 があった。私はすべての楽曲をJASRAC経由にしており、いわれるような私分権の 行使はない。事実認識をあらためて欲しい。

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 これ以上のやりとりはやめにする。すぎやま氏の名誉を考えて。だいたい以上のよ うな経過で相当時間オーバーで終わったが、そのあともすぎやま氏と向谷氏はかなり 論争されていた。しかし、JASRACの理事たちも、また「演歌派」と目される人たちからも、こんな面白い評議会は初めてだとの発言が相次いだ。別に我々が認知されたとかなんとかオーバーなことは云わないが、少なくとも正論をまっとうに発言する人間が多数表われたことに、演歌派は衝撃を受けた はずである。

 おっと、この「演歌派」というのは17日発売のサンデー毎日の記事によっている。 いかにも週刊誌らしく「バカヤロー」内紛のJASRAC、という記事だが、亞星氏は日本にいなかったので、もちろん「バカヤロー」発言は亞星氏ではない。それは演歌派のM・T氏である。

 今回はそれほどヤジも怒号もなく、いい評議会だったと思う。


 11/9

   <JASRAC新理事長になんと小野清子氏が・・・>

 11月4日にJASRACにて新理事長候補の選任(実は承認式)が行なわれた結果、新理事長にはなんと前参議院議員で体操出身の小野清子氏が選ばれた。この人事は、もともと会長の権限で行なわれる唯一に近い事柄で、理事会で承認されたこの案件はもう絶対的に決まった事として、儀式的に評議員会にかけられることになっているらしい。当日以前に我々も小野清子氏の名前を取り沙汰されていることは知っていたが、正式には4日当日、会場へ行って始めて、当日の議案として推薦理事候補の一覧表が手渡された。

 評議員からの互選理事は第一回に決まっているので、今回はJASRAC側の常勤理事承認と学識経験者からの推薦によって小野清子氏の名が入っており、氏の資料としては簡単な略歴があるだけだった。その他、学識経験者として燦然と<すぎやまこういち氏>の名もあった。

 実に私的なことだが私は小野清子氏とは、20代の後半頃、氏がまだ選挙に立候補す るだいぶ前に、ある会社が企画した新しいホーム体操の仕事でコンビになったことが ある。つまりその音楽を私が担当したのだ。その前には、私の師匠、山本直純が東京 オリンピックの時に、小野さんの伴奏者としてオリンピックに参加したので、アシス タントをしていた私も、何度か小野さんとは逢っていた。

 J-Scatのメンバーにとっては小野清子氏と音楽のつながりは全く想像のつかないこ とだが、唯一私は小野清子氏の仕事振りを知っていることになる。といっても、もう 30年近くも前になることだが。

 まあ、私は知っているとはいえ、(返って知っているだけによけいに感じるのだが )他のJ-Scatのメンバー全員と同じ、強力な違和感を覚え、ナゼー!という大疑問符 は頭をはなれない。いくら自民党の文教族とはいえ、また参議員の文教委員長を経験したとはいえ、体操関係の役員ならともかく、この難問山積した音楽著作権協会の理事長になるとは......。

 第2回目の評議員会は、都倉俊一議長のもと、午後の2時に開会され、本日の議題 として、会長推薦の理事の承認を計りたいとのこと。さっそく遠藤実会長より、小野 清子氏、すぎやまこういち氏を含めた数人の理事の名が発表された。我々J-Scatは総 数で出席者の過半数には達していないので、表決に付されれば負けるのは当然だが、 事前に何の資料もないまま、会長押しつけの人事によって小野清子氏が選ばれること になっているのは断じて許しがたいことなので、質問に移ったとたん、我々は活気づ いた。以下に質問要旨と答えを覚えているかぎり列挙してみよう。


 ● 野坂昭如氏
  評議員選挙で、作詞家では永六輔氏、作曲家では小林亞星氏が圧倒的多数で1位 で選ばれているのに理事になれなかったのはとても変だという声が高まっている中で、遠藤氏から、永さんと小林さんに理事になってもらえないだろうかという打診があり、小林亞星と遠藤氏が会合を持った。その席上で遠藤氏の方からとんでもない提案があったようだ。それは永、小林を理事とする交換条件に、元文化庁長官の吉田茂氏を天下りさせて、新しい理事長にするということに同意してほしいということだったそうだ。これは、とんでもない背信行為であり、事実であれば重大な責任問題である。ぜひ真相を糾したい。

  これに対する遠藤氏の反論は腰が抜けるほど強力で、予想を裏切るものだった。

   ● 遠藤実氏
  理事になりたいと言い出したのは小林亞星氏の方であり、彼の口から、理事にな る交換条件として、吉田茂氏の天下りを推薦すると言い出したのであって、断じて私ではない。(遠藤氏は何度も鬼の様な形相でスゴミをきかせ、自分は潔白だと言い張った。)小林氏はひそかにテープを回しておられたようなので、もしテープがあれば公開してもらえれば自分の言っていることが正しいのが分る!。

   ● 野坂昭如氏
  これは実に重大な発言だ。小林亞星は現在ルーマニアに行っているが、帰り次第 話をきき、再度質問させてほしい。

   ● 穂口雄右氏
  新理事長になると噂されている小野清子氏を我々は全く知らないし、資料も全く ない。我々は小野さんがどういう方かということを知りたいし、また、彼女の意見もききたい。

   ● 加戸理事長
  小野清子氏は長年、国会において、文教関係にくわしく、これからのJASRACの理事長としては最適任であると確信している。

   ● 穂口雄右氏
  それではこの場に呼んで、いろいろと質問をしたい。

   この発言を巡り、議場は騒然となり、ある理事が「バカヤロー」と詰め寄るシーン もあった。この不規則言動が、議事録に残るかどうか見物である。

   ● 玉木宏樹
  小野さんと前に仕事をしたことがあるが、音楽に詳しい人とは思えなかった。ま た学識経験者としてすぎやまこういち氏が推薦されているが、学識なら私も自信があるのに、私ではなく、すぎやま氏になった経過  を説明してほしい。もうひとつ、私も所属している作編曲家協会は服部克久氏が会長だが、その機関誌にすぎやまこういち氏が理事に推挙される予定と書いてあったが、なんの根拠があってそんなことを書いたのか、事前に話し合いがあったならば非常に不愉快である。議長から服部氏に質問していただきたい。

   ● 服部克久氏
  あれはただ、我々の願望を書いただけである。

   ● 穂口氏、野坂氏
  すぎやま氏を選んだ根拠を教えてほしい。

   ● 加戸理事長
  すぎやま氏は「ドラクエ」を始め、マルチメディア関係に詳しい作家であり、以 前からJASRAC内部でマルチメディア委員会の責任者でもある。引き続いてその 任にあたってもらうための推挙である。

   ● 向谷実氏
  すぎやま氏は「ドラクエ」に於て、JASRACの料率規程に従わず、自分の判断で、制作会社と独自の印税契約をされた。これは信託約款違反の私分権の行使であ る。これをJASRACはどう考えているのか。

   ● 加戸理事長
  ゲーム関係とか、マルチメディア関係においてJASRACの対応が遅れているなか、料率の交渉がまとまらないままでは仕事に差支えるし、すぎやまさんの行動力も一つの方向性としてみていいのではないか。

   ● 向谷実氏
  これは大変に重要な問題を含んでいる。

   ここで三枝氏の手が上がり、私には理解不能な発言がなされた。

   ● 三枝成彰氏
  さっきから私は情けない。たしかにいろんな問題はあるだろうけれど今のJASRACにとって一番重大なのは、政治力のある人なのだ。附則14条(私は詳しくないので間違いかも知れない)が通らなければ、JASRACはどうしようもない状態になる。この重大な問題を前にして、小さなことを議論するのはバカバカしいかぎりだ。私は情けない。



 以上、かけ足で私の記憶をまさぐって書いたが、もちろんまちがいはあるかも知れ ない。それは後ほど訂正するが、名誉棄損はどこにもないはずだ。私が一番問題にし たいのは、三枝氏の政治力云々の発言だ。今こそ日本の従来の政治習慣を改めようと いう機運のなかで、なんという腐敗的な発言だろう。利用すべき政治力の中身は全然 明解にされていないのだから、密室談合そのものだ。

 都倉議長は何度も採決に行きそうになったが、我々の抵抗の前に、採決予定の3時 を30分もすぎて、多数決の結果、推薦理事は全部決定した。そして15分の休みの後、 何と推薦理事たちが入場してきて、後半が始まったのである。小野清子氏もすぎやま こういち氏も決まりごととして、別室に待機していたのだ。そして、新理事長の挨拶 もあり、我々は脱力しながら帰路についたのだ。

 しかし、我々J-scatの大先輩、丘灯至夫氏によれば、こんな活発な議論の行なわれ た評議員会は始めてで感激している、時代は替わった、みなさん、頑張って下さいと の励ましを頂いた。氏によれば、2回前の評議員体制で質問するのは自分一人だった 、前回は、亞星さんを含め、5人になったが、少数派だった。今回は非常に頼もしい とのことだ。少なくともいろんな発言が出来る評議会に替わったようなのは事実らしい。

 J-Scatとしては今後、建設的な提言を行うことによって執行部の意志を確認し、そ の積極的提言に対して、どういう答えを出したかということを、詳細に外部に公表していくつもりである。私のホームページがその一助となれば嬉しい限りである。


       <最近読んだ本から>

 ● ジェームズ・エルロイ 「ブラック・ダリア」1994 文春文庫

    週刊文春で推薦していたのだが、だめだ、こういう奴は。多分180頁くらいで語れ る内容を570頁もかけている。たいへんに頭の悪い作家だ。


10/30

<映画『キューブ』を観て、ビデオで『羅生門』を観て>

 もう大分前になるが、六本木のシネ・ヴィヴァンでカナダ映画「キューブ」を観た 。最近スケジュールがめちゃくちゃにハードなので、とりあえず後回しにできるもの は後回しにして(当然、HPの更新は遅くなる) 気分転換の為、あまり見ることのない映画を観たり、週刊文春おすすめの推理小説を 大量に買ってきて、気分転換を図っている。

 まず「キューブ」。タイタニック等の超札束大作の向うをはり、全く金をかけてい ないことで話題を呼んだ カナダ映画「キューブ」を並んでまで観た。以前にもシネ・ヴィヴァンの前を通って 、全く入れない状況だったので、ウィークデイの昼間に整理券もらって並んだのだ。 理不尽にキューブ状の部屋に閉じ込められた人たちの救いのない脱出劇で、私はこの 手の例えば「去年の夏、マリエンバードで」のようなカフカ的状況は好きなのだが、 これはちょっとちがう。

 次々と表われるキューブ部屋に貼られた数字を解いて行くというプロセスが、いか にもRPG風でその安手のゲーム感覚が不条理さを損ねている。この映画にくらべ、 古風な不条理さで圧倒しているのが、黒沢監督の「羅生門」だ。渋谷のビデオ屋で安 売りしていたので、買ってきてあらためて観たが、決していい映画とは思えない。ど うしても、早坂文雄氏の音楽が気になって仕方がない。ラベルのボレロのパクリ方が 幼稚でフランス人に大笑いされ、同情票でグランプリを取ったとの噂が実感できる。

 昭和25年当時の映画音楽の録音は、想像を絶する凄まじさで、マグネテープは同期 できなかったので、フィルムのオプティカルに同時録音してしまうのである。絵合わ せの多いシーンだったりすると、録音だけで一日費やすというのもあったようで、や たら音楽カットの多い黒沢映画の為に、早坂氏は命を縮めたのではないだろうか。

 なにかそんなことばかりに気をとられて、すんなりと映画には入り込めない私なのだ。



 <最近読んだ本から>

 ・島田荘司 「占星術殺人事件」 講談社文庫  ¥680
 ・グリムウッド 「リプレイ」   新潮文庫  ¥743
 ・北村 薫  「スキップ」    新潮社    ¥1900
 ・折原 一 「倒錯のロンド」  講談社文庫  ¥544
 ・逢坂 剛 「百舌の叫ぶ夜」  集英社     ¥630

 なんだ、こんな本も読んでたかったのかとは言わないで欲しい。実はわたしはあま り推理小説は得意ではないのだ。特に島田荘司なんて、トリックの為のトリックの為 に何人殺せばいいのか、と、人間をおもちゃにするのはやめろ!と言いたい。

 気分転換の為に週間文春おすすめのものをガリガリ買い込んだのだが、おもしろか ったのは折原一と逢坂剛くらいだ。

 ああ、まだまだウンザリするほど買い込んでいるぞお!


  言いたい放題 10/14

  <JASRAC評議員総会、理事選出etc...>

 「近況報告」コーナーで詳しく書いたが,10月1日にJASRACの新しい評議員総会があり、互選による理事選出があった。すぐにこのコーナーで経過報告をしようと思いつつ、10月の2日には岐阜へ出発。3日には岐阜市の長良川競技場でミニ国体のスポーツレクリエーション大会の音楽監督の大役で指揮をし、4日には広島の福山市で作曲家協議会の作曲家たちと地元の子供たちとの交流コンサート、5日からは三日にわたる福山管内の山奥の巡回コンサートでヴァイオリン演奏という一人三役のハードスケジュールでクタクタに疲れ、ホームページの更新もままならない状態である。帰ってみるとE-MAILも滞っているが、ろくにリプライもできないままで、失礼の限りで申し訳ない。


   さて、本題のJASRACの報告に戻ろう。

 前にも書いたが、私にとって評議員のの当選という事態はまさに晴天の霹靂で、そ れも結構上位とあれば、支持してくれた人たちへの感謝の思いもつのり、ガラにもな く責任感にまみれながら初めての評議員総会に向かった。第一回の評議会は互選によ る理事選出という重大テーマがあるので身もしまる思いである。

 さて評議員会に出席するにあたり、事前にJ-scatの仲間から全員結束の確認があり 、私は内々、互選による理事へのノミネートを打診されていた。互選なのにノミネー トというのも変だが、これには訳がある。現執行部=演歌側の前は黛会長もと、JASRA Cのの不正を糾す側が理事の多数派だったが、その時の新評議員のもとでの理事選で 亞星さんたちは戦略上の大失敗をしたというのだ。それは演歌側の命懸けの多数派工 作のもと、根こそぎ理事を持っていかれ、完全に反主流派に転落してしまったことへ の反省である。

 今回の評議員選挙では作詞家30人、作曲家30人計60人の定員に、J-scatは27名立候 補し25名当選という驚異的な躍進をとげた。しかも上位当選が多く、正確に数えては いないが、正会員の半数近くの支持は得ている(正確に数えれば半数以上かも知れな いが、手元に資料がないのでまたのちほど)。そこで理事選だが, 作詞、作曲家あわせ合計60票のうちJ-scatは25票の基礎票がある。これにあと6票上 乗せできれば当選できるのだがこれが大変なカベで、現執行部側の締めつけも激しく 、完全に色分けできる人たちを除いたいわゆる中間派と思われる人たちの行動がすべ てをきめるということだ。だからその前に基礎票のの25だけは絶対に割らないように 慎重に臨むようにとのことである。こういうことはあまり好きではないが、万が一私 への得票が31を超えれば「理事」ということにもなるので、不本意ながら身が引き締 まったり、変な気分である。なんだか学童時代の選挙を思いだし、自分で苦笑してし まう。

 さて我々は大体の約束の時刻のもとに、全員JASRACに到着したが、なにせピカピカ の1年生が多く、みんなガラにもなく紅潮し、緊張していたが、特筆すべきは全員の 明るさだった。それにひきかえ、心底びっくりしたのは我々以外の人たちのクラーい 雰囲気と目つきの険しさである。執行部側はJ-scatのあまりの激しい躍進ぶりに想像 を絶する危機感を抱いているようで、会議室は異様な雰囲気が充満しておりここです でに私は敗北を予感してしまった。私をふくめ、あまりにもウブなピカピカの1年生 が多すぎるのだ。

 のちほど詳しく述べるが、こんなこともあった。ゲーム業界ではあまりにも有名な 作曲家S氏は私もお世話になったこともあり、ビビッドな作風にも敬服している。し かし最近、あることから氏に強烈に嫌われていることは自覚しているが、私は逢えば 必ずにこやかに挨拶をしている。当日も会議室に向かう途中で氏と出逢ったので挨拶 をしたのだが、いきなり廊下のすみっこに呼ばれ、激しく新入生いびりまがいの罵声 を浴びせられた。こんなピカピカでウブな私をいじめるなんて、向こうはよほどの危 機感を持っているなと実感したものである。

 あんなに思い詰めたクラーい危機感、あれはなんだろう。恐らくJ-scat側の理事が 多数派になると、まず既得権益が損なわれる。そして隠蔽してしまった過去の旧悪が さらされる。古賀財団ビルからまた移転話が出るかも知れないが、その時の気の遠く なるような無駄な出費(もちろん向こう側から見てだが)、怒りまくっている亞星さ んの逆襲によって告発騒ぎが続出し、またぞろ裁判騒ぎになりかねない云々......だ ろう。

 私はみなさんにとっては以外かも知れないが(特にさきほどのS氏周辺の方達)、 こういう問題には全くさめていてあんり興味がない。どちらかといえばケンカはやめ て、無駄な出費も無いほうがよい、という点に関しては反亞星さんかも知れない。し かし私の本心は全くちがう。無責任でバカと言われるかも知れないが、実は私は個人 的な闘いで疲れ果て、JASRACに関しては完全に絶望しており、あまり積極的な関心が ないのだ。つまり、今のJASRACなんてどうでもいいし、どうあがいたってよくはなら ないだろうという絶望感が先にたっている。もっと積極的にいうなら、JASRACに関し てはアナーキーなのだ。私は一時、JASRACをやめてやろうと思ったときがあったが、 J-scatの穂口氏の忠告で思い止まったこともある。じゃあなんで選挙に立候補したの か?それは、私の本を推せんしていただいた永さんへの思いと、どうせ当選するはず はないだろうというあさはかな判断のもとである。でも私は今、あらためて決意する 。あのクラーい執行派の険しい顔つき、そしてS氏の下手な罵倒によって私は、自分 を守るためにもJ-scatで戦わなければならなくなってきたのだ。S氏たちの戦法はバ カだ。私を怒らせ、ますます亞星さんよりにしてしまったのだから。

 なんか学級選挙のような投票風景、開票風景を詳述するのは避けて、理事選の結果 だけを報告する。結局我々J-scatは基礎票の25を超えることはできず、完敗である。 三年後にといって別れたが、野坂昭如氏の後ろ姿は見るにしのびないものがあった。 まあ、評議員の上位当選者が自動的に理事になるのなら、会員全体の総意は反映され るかも知れないが、決めは決めなので致し方ない。

 結局、会長は遠藤実氏、作曲家で理事になったのは、三枝成彰氏、服部克久氏を除 き、あとの4人はすべて演歌の人たちであり何一つ様変わりはしなかった。服部氏に しても、父上の服部良一氏記念財団を創りたいという悲願がある以上、現執行派にな らざるを得ないだろう。

 ひとつはっきりしたことがある。評議員はJ-scat以外は全員演歌の作曲家というわ けではない。クラシック系でも、世界的に有名な人もいる。しかし、J-scatが25を超 えられなかったということは、彼らの書いた名前がおのずと知れてしまうのだ。火ト ンそれぞれの考えがあるはずだから糾弾なんてしないけど、彼らが4人の演歌の作曲 家の名前を書くとき何を思ったのだろう。

 最後に私はS氏に対する糾弾を書くつもりだったが、書いているうちにバカバカし くなってきたので、やめにする。でもこれだけは言っておきたい。氏は5坪以下の空 オケ店に対する著作権徴収に賛成か反対かで私に踏み絵を踏ませようとした。実にお ろかしい人だ。アメリカから超特大の著作権徴収団体の上陸が噂されているときに、 何が5坪だ! このままのJASRACでは恐らく世界中で全く通用しない演歌だけの徴収 団体になってしまうことだろう。


  <最近読んだ本から>

  岬兄梧<インターネット危機一髪>

 岬兄梧はたしか、奥さんもSF作家で大原まり子じゃなかったかしらん。夫婦同じ 職業というのは気が知れん。私の芸大の同級生で今は助教授の岡山潔氏は夫妻ともに ヴァイオリニストだが、よくもっているものだ。

 ところで、この本はインターネットにはまった著者からの、警告書である。非常に 初心者向きなのだが、やはり輪yも知らないことが多く、おおハズカシ!の連発。た めになる本だ。


  笠井潔<エディプスの市>1987 講談社\1,300

 著者のSF短編は以前断片的に読んだことがあっただけで、ツンドク状態だったこ の本を読み返してみて、予想以上に興奮してしまった。ほとんどショートショートに 近い短編ばかりなのだが、そのほとんどが、大作になりうるような設定で、まるで太 秦の映画村を歩いているような気分になる。題名の短編は、私の好きなドーム都市も ので、それだけでもワクワクするのだ。もっとSFを書いて下さい、笠井さん!


  小松左京<ショートショート1>1998 ケイブンシャ文庫 ¥552

 何度も何度も岐阜往復をさせられ、新幹線用の読み捨てと思ってキオスクで買った が、おっとどっこい、やはり小松左京はおもしろい。60年代のセンスオブワンダーに あふれ、SF作家にあこがれていた自分を思いだしてしまう。もちろん頭にこびりつ いているものもいくつかあったが、今読み返しても、新鮮だ。1960年の前半なんて、 私の大学生時代じゃ......!


  青木雄二+宮崎学<土壇場の経済学>南風社¥1500

 二人ともおもろい関西人や。ヤクザをいじめる方法まで書いてある。ローン地獄の 人、読み読みい。青木雄二の写真初めて見たけどけっこうヤサ男でケンカ弱そう。 ナニワ金融道の主人公そっくりや。あれ、自分の顔やったんやなあ。


  9/23版
  <驚天動地、晴天の霹靂、この私がJASRACの評議員に当選してしまった......>

 このコーナーは結構お客さんが多い。別に音楽に拘らず言いたい放題を書きまくっ ているので、励ましのE-MAILを頂くことも多い。そんな中でも、JASRAC(日本音楽著作権協会)に対する歯に衣着せぬ物言いに興味を持たれている方も多いようだ。

 まあ部外者(私はれっきとしたJASRAC正会員だが、評議員でも理事でもないという意味において)だから言える気楽さもあってのことだが、当然のように私の文章は現執行部の批判に充満している。そんな私に現執行部批判派である組織、J-Scatから9月の評議員選挙に立候補するようにすすめられた。

 ちょっと無責任と取られるかも知れないが、私は絶対に当選なんかするはずはない と信じ込んでいたので、まあ、付きあいの積もりで軽く立候補しただけだったのだが 、結果はなんと、私は当選してしまったのだ。それもかなりの高得票で。

 あらあらあら、たいへん、タイヘン。責任は重いぞ。なにせ、評議員は互選で理事 を選ぶことになっているので、原則的には私が理事になる可能性もあるということに なる。もちろん受けるか受けないかということとは別問題だが。

   ここで少しJ-Scatのことを説明しておこう。正式名称は日本作詞作曲家協会で、会長は永六輔氏である。この組織は元、確かJASRACの信託財産を守る会という名前だった。小林亞星氏を筆頭にJASRACに対する激しい抗議行動でテレビをにぎわせたのを覚えておられるかたも多いと思うが、その抗議行動の母体組織である。

 あの激しい抗議行動はアクションばかりを取り上げられ、何を抗議しているのかは ほとんど伝えられておらず、<カンタロウ怒る>という漫画的揶揄で終わったようだ。

 抗議内容は簡単に言うと、JASRACの本部ビル移転に伴うきな臭い騒動である。話は相当前に発端があるので、私の認識に間違いがあるかも知れないが、こういうことである。今のJASRACの会長は、演歌の大先生、遠藤実氏だが、その前はクラシックの黛敏郎氏、その前が演歌の作詞の大御所、石本美由起氏、その前がクラシックの芥川也寸志氏だったと思うが、時期としては石本美由起氏のころに持ち上がった本部ビル移転話に伴い、演歌の草分け、古賀政男氏を記念する古賀財団との間に密約があったのではないかという噂があり、会長が黛氏の代になってから、それが一挙に表面化して、80数億という金が不明朗に古賀財団に渡るということを小林亞星氏たちが、指摘した。それだけではなく、10億とも20億ともいわれる、使途不明金も発覚したのだ。そしてその時の執行部は、古賀財団との約束を反故にするための仮処分をはじめとして、裁判闘争を始めたのだが、3年後の理事改選に猛然と巻き返した演歌派が多数派になり、古賀財団とは和解して、今は、代々木上原の古賀財団ビルにJASRACは収まっている。

 亞星さんたちの抗議行動は、このうやむや和解への怒りと、執行部側が加戸理事長 を文部省関係から天下りさせたことにある。

 そのころの亞星さん達の組織がJASRACの信託財産を守る会だったが、私は入っていなかった。なぜか?ひとつには、亞星さんのテレビ騒ぎが愚行に見え、センスないなあと思ったことであり、もう一つは、信託財産を守るという名称が金の分捕り合戦のように見えていやだったのである。

 もちろん亞星さんとは親交があり、直接に電話で話したこともあったが、行動には 賛成できないが、正しいことだとは思うので、51%は賛成すると答えた。

 その後、会はJ-Scatと名前を変え、新組織にするために、改めて誘いを受けたが、 以前の言いたい放題のJASRACに関する箇所でも述べた通り、もう75%は心も傾いていたし、にわかに親交の深まった永六輔さんが会長になられたことで、自然に会員となり、今回の立候補の動きとなったのである。

 いざ立候補してみると、変なプレッシャーをいろいろとかけられ驚いている。いわ く、玉木は、ただ正義感が強いだけのおひとよし、亞星さんに利用されている愚か者 だから、目覚めさせようなどと言いふらす人もいたりして......。

 ここまで書けばお分かりだろうが、私は亞星さんに100%賛成しているのでもない し、亞星派であるなんてことは全くない。どちらかといえば永六輔派とは言えるかも 知れないけれど。

 結果はかなりの高得点当選で自分でも驚いているし、徐々に責任感も芽生えている 。ただ、私は立候補に当たって仲間内でも表明したのだけれど、過去の経緯は亞星さ ん達にまかせ、マルチメディア問題に特化して、いろんな提案をして行きたいと思っ ている。

   微力ではありますが、風通しのよいJASRACをめざし、活動していくつもりです。

 


8/18 言いたい放題

  <玉木の幻のプログレアルバム復刻!>

 私のホームページは、音楽に関しては、クラシック関係の記事しか出していないの で、私が昔、ジャズやプログレロックシーンではちゃめちゃやっていたのを知る人は 少ないかも知れない。しかし、私のことを良く知っている人は、クラシックに先祖帰 りしたのかいな、もったいないというのもいるのだ。また、<あの大江戸捜査網の、 あの怪奇大作戦の作曲家、玉木宏樹のホームページ>とすればアクセス数も増えるの にという人もいる。それはさておき、私は、日本で最初にエレキヴァイオリンをやり だしたのは事実だ。

私の34歳くらいにコロムビアレコードから出したエレキヴァイオリンのプログレアル バム<タイムパラドックス>は、現在、中古市場では*万円の値段がついているほど 過激なファンがいるらしいということは、ネットを通じて情報は入っていた。そして 、いつ、復刻されるのかという質問も受けていた。そろそろコロムビアから原版買取 り交渉をしようかなと思っていた矢先にP-VINEというマイナーレーベルから復刻されることになった。

 ギター、高中、ピアノ、羽健....などというとんでもないメンバーでやっている。 クラシック変人おじさんがプログレなんて信じられないかも知れないが、なになに、 いま聴いても結構刺激的で、リキ入ってまっせ。お楽しみに。


言いたい放題8/17版

 <時代を映す職業病>

 以前から親交のある中村橋の耳鼻咽喉科のドクター、萩野昭三氏と久しぶりに会い 、飲みながらいろんな話をした。氏は知る人ぞ知る「うたうドクター」として有名で 、出身地の津軽弁を中心にした年一回のリサイタルも今年で21回目となり、朝日生命 ホールはいつも満杯である。私は氏のために津軽弁の歌を何曲か提供している。また 、氏のもとには、オペラ歌手から演歌歌手まで幅広い人たちが喉をこわしては、駆け 込み寺となっている存在だ。

 氏と話していて大変面白かったのは、最近急に患者が増えた職業があるんだが分か るかという質問だった。私はない智恵振り絞ったがわからないと降参すると、答えは<声優さん>だ。最近、CS(通信衛星放送、パーフェクとか、ディレクとか)を始めとする新規メディアがコンテンツ不足に音を上げ、どっと、海外の映画ものに飛び付いている。これの売り買いは意外と安いのだけれど、全部が外国語だけである。だから、嵐のように吹き替え需要が増え、それにくらべて、声優さんの数は限られているので、苛酷な状況に、バタバタと倒れているらしいのだ。いやはや、時代病というやつですね。


言いたい放題 8/4

   <自民党よりもっとこわい2000年コンピュータ問題>

 先頃の日経新聞の記事及び、月刊文芸春秋に「コンピュータ2000年問題」の記事が 載った。私は去年くらいにもこのコラムに書いたことだが、実に由々しき恐ろしい問 題で、これに比べれば銀行の破綻とかバカ自民党の横暴とか経済的日本沈没なんてハ ナクソみたいなもんである。

 2000年問題とは、コンピュータプログラミング上、1999年までしか日時を認識でき ない、間に合わせのシステムが多く、2000年になった途端に年号認識が1900年になっ てしまって、全ての算定基準が壊れてしまうことである。

 我がマックは大丈夫らしいが、ことはそんなパソコン世界のことではなく、世の中 全てのシステムに関連している。放置しておくと、兵器が暴走する、金融システムが パンクする、空港管制が効かなくなる、飛行機が落ちる、原油がストップする…etc。

 もちろん日米欧ともに、メジャー企業や官庁にはお達しが出て、殆んど全部対応済 みだというが、世界に冠たる中小企業大国、我が日本の殆んどの中小企業や零細企業 は、全くと言っていいほど何一つ対処していない。官庁だって地方公共団体は駄目だ し、国税庁も地方は全部駄目で、どうやら微税業務は手書きにならざるを得ないとい う。目について修復できるものについても全部クリアできないのに、一番困るのは、 マイコンチップにして埋め込まれているものは殆んど絶望的に把握できないというこ とだ。2000年1月1日は人混みを避け、山の中で隠遁生活をしているほうが安全だ。

 アンゴルモアの大王とかハルマゲドンというのは、このマイコンチップという時限 癌細胞のことだと認識しよう。

 エレベーターは落ちるぞ、車は暴走するぞ。あーコワイコワイ。

   <小林亞星氏と服部克久氏の争いとJASRACについて>

 私事で失礼だが、私は近々始まるJASRACの評議員選挙に立候補している。J-scatと いう団体を通して。このJ-scatというのは元「JASRACの信託財産を守る会」で、永六 輔氏、小林亞星氏、野坂昭氏(この三人は三バカテナーとか世直しトリオと称して、 変なコンサートで大衆を眩惑している。もっとも私も周辺アー    ティストとし てレギュラーゲスト参加しているが)を中心としたJASRAC反体制派の集まりである。

  ********JASRACの正会員の方、これをお読みになったら是非私に一票を*********

 ところで最近、亞星氏が服部克久氏を著作権泥棒として告訴した。そっくりだとい う曲を楽譜とテープまで公開して。私はこの件に関しての私見は差し控えたい。自分 の身にいつ降りかかってくるかも知れないのだからだ。ただ服部氏の評判、J-scatの なかでは極めてよくないのは事実だ。服部氏は完全な現執行部派なので致し方ないこ とだろう。JASRACの選挙直前にタイミングよく告訴騒ぎになった事情も多少はお分か り頂けるだろうか。

    最近読んだ本から

    <三本の矢 上下>榊東行 上下各1600円 早川書房

 自民党が参院選で大敗する直前にベストセラーになった話題本。長銀を予見するか のような内容でさすが官僚の書いた迫真迫るもの。しかし文章は良くないし、人物像 も紋切り方である。大蔵の主流が東大法学部卒の主計局(二階派)で反主流が経済学 部卒の銀行局(四階派)とか、内部事情が分かって面白い。なぜ大蔵の主流が、経済 学部卒ではなく法学部卒なのかもよく分かる。政経に弱い私にはためになるが小説と しては読みにくい。

    <サンリオSF文庫から二冊>

  1.P.K.ディック<ブラッドマネー博士>

 私はディック狂いでもう30冊以上読んでいるが、まだ2.3冊読んでないのがあるぞ 。<ブラッドマネー>は水爆実験に失敗して荒廃した地球を描いているが、勿論そん な事件はまだ起こっていない。だからなーんだと思うのは間違い。これはディックお 得意のパラレルワールドものと思って読めばいい。整合性には首をひねるがやはりデ ィックは面白い。

2.ロザリンド・アッシュ<嵐の通夜>

 少し前になるが、サッカーのワールドシリーズの日本の対戦相手、アルゼンチンと クロアチアとジャマイカ出身の作家にどういう人がいるのかというのをTBSラジオ の朝の森本毅郎の番組で紹介していた。アルゼンチンのホルヘ・ルイス・ボルヘスや コルタサル等はとっくに読んでいて好きな作家だったが、さすがにクロアチアの作家 は分からなかった。そしてジャマイカの謎の女流作家ロザリンド・アッシュが紹介さ れたが、残念ながら翻訳はないなどと大嘘を報道していた。もう15年も前にサンリオ SF文庫から2冊も出ているのだぞ、ということで、読み忘れていた「嵐の通夜」を 引っ張りだして読み終えた。どうってことない退屈なゴシックロマンだった。


6/23版

 <ムジカ・ノーヴァ>が発表された。

もうさんざん、このコーナーで書いてきた「絶対音感」に対する私の反論がムジカ・ ノーヴァ(音楽之友社7月号)に掲載された。<絶対音感とピアノ教育>という特集 の中のことで、ここには、有名な演奏家たちの意見ものっている。

 特に、ヴァイオリニストの中山朋子氏はやはり「純正律」にこだわりがあり、私よ りもっと肉感的な訴えが強力で、私は感銘した。ぜひ、私の一文と合わせ、読んでみ て頂きたい。

 ☆ムジカ・ノーヴァ 7月号 音楽之友社  \880

 なお、私のコラム「絶対音感神話について」は、本日の純正律音楽研究所 第8回「ムジカ・ノーヴァの原稿全文掲載を参照してほしい。


6/15日版

    <怒涛の4.、5月をふりかえって>

 2月のはじめに南米から帰国したが、依然として、CDの電話注文で忙殺されている なかで、2月の終り頃にまず、読売新聞とAERAの取材を受けた。二社ともに、私の新 刊「音の後進国日本」を読んでの取材なので、快く受けた。AERAの記事はJR中央線の自殺を話題にしたものであまりパッとした内容ではなかったが、読売は科学欄の担当記者だったこともあり、「純正律」にかなり関心を持ってくれ、私が携わっているからくり時計(リズム時計製作)にまで取材に行く力の入れよう。その後週刊SPA !と週刊朝日がきた。SPA!は写真入りでの対談のまあまあ自分の音楽観などを、DJのパトリックと話しあって、まあまあのもりあがり。ここまでは、そんなに波乱もなかったのだが、週刊朝日の取材から様相が変わり始めた。もちろん、本を読んだ結果での取材だったのだが、取材のライターの持ってきた資料に私は腰をぬかした。なんと、JR中央線の自殺者は私の本に書いてある通り、音のうるさい、中野以降に集中しているのだ。あまり気にも留めないで書いたことが事実と符合するとは、少し無気味さを覚えた。

 4月に入り、読売の夕刊で、大きく「純正律からくり時計」が報じられ、それを眼 にしたNHKから、「おはよう日本列島」で中継したいという話がきた。朝6時にハイヤーが迎えに来て、5回もリハーサル、しかも本番は5分にも満たない。それでも、時計に対する反応は大変よく、一台150万円もするにも拘らず、そして、発売期日が未決定なのに、もう20台近く予約がきているという話だが、話半分としても、リズム時計さん、1500万円の売上じゃないですかあ。

 この文章を飲み屋で書いている今(日曜の9時半)W杯が始まった。オヤオヤ、日ハムの片岡選手が来たぞ(金村選手も来るらしい)。

 話は戻ってここまでの状況は、自分にとってもそんなに苛酷でもなく、まだまじめ に対処したし、内心、喜んでいたのも事実だ。そして、日刊スポーツの取材がきた。 週刊朝日に刺激されて、JR中央線の自殺をテーマにしたいという。

 けっこう、美人女性記者の取材態度がまともなので、こちらもついサービス過剰気 味になり、長時間、色々と話をした。そして日曜日の日刊スポーツにドンと大きくJR 中央線の記事が出た。問題はここからである。

 日曜のその晩、フジTVの朝のワイドショウ「おはようナイスデイ」から、私を探し 回っているという情報がきた。私は自分の本の中でも書いているが、ワイドショウの あり方には大反対で、相当辛辣なことを書いている。そんなこともあって、私のプロ デューサー(小川氏)を介して、ビデオ取材はいっさいお断り、スタジオ生出演OKな ら、考えてもいいと答えた。これはほとんど出演拒否に近い。私みたいに無名でいか がわしい作曲家をあの忙しいスタジオに出演させるなんて考えられないからだ。担当 者は、いったん、上司と相談するといって引き下がったが、どっこい、30分たって、 スタジオ出演OKという返事が来て、結局はニッチモサッチモ状態。出演せざるを得な くなり、翌月曜日は雨の中、中央線のビデオ取材、中野、荻窪、三鷹と三つの駅を巡 る。戻ってきて事務所でまたビデオ取材。朝の11時から6時までたっぷり一日中を費 やした。それで放送はあくる日の火曜日の朝。たまらんなあと思っていたら、急拠、 ON AIR、つまりスタジオ生出演は一週間あとにしたいとのこと。理由は、JRが一連の「音楽」に対する答えを全く拒否しているので、一週間待って、何らかの答えを引き出したいのでと。私としても、疲労困憊の末に、あくる日の朝からTVに出るのもいやなので、喜んで延期に応じた。実は、この1週間の延期。これが実に幸いにも作用したし、反対にひょっとしたらチャンスを逃したのかもしれないと言う人もいる。

 いち早く「おはようナイスデイ」がくらいついてきたあと、4ch、10chがまたまた 私を追っかけ始めたのだ。ここで書いておきたいのは、TVのワイドショウの人達のネ タ仕込みのイージーさである。おはようナイスデイの8chを含み、すべて「日刊スポ ーツ」の日曜の記事の後追いをしているだけで、誰一人、私の本を読んではいなかっ た。私は出演依頼をするなら、本を読んでくれというと、「何という本だ」という答 え。結局、作曲家と称する変な「オジサン」がJRにケンカを売っているという様な視 点でしか捉えようとしていないことは明白である。

 おはようナイスデイのON AIRが一週間延びたおかげで、私は8chに操を捧げますと いうような言い方で、他局の出演を拒否できた。私は以前、10chの朝のワイドショウ で、オウム問題でVTR出演したとき、あまりにも向こうサイドの勝手な編集で頭に来 ていたので、絶対にVTR出演は断る。だからといって生出演はもっときつい。私は極 度に神経質なので、本番前はものすごく血圧が上り、危ない。また本番ではアガッて いるのをかくそうと無理をするため、やっぱり変なオジサンになってしまう。

 テレビ騒動、さめやらぬまま、「女性自身」「週刊読売」とつづけざま。「週刊読 売」はさすがにToo Lateであっただけに、入念に取材した気持ちが、よく伝わった内 容だった。

 この一連の騒動、一にも二にも、私の本のパブリシティの為と思って、恥を書き続 けたわけだが、8chでは、本の表紙をアップにしてくれたにも拘らず、オーダーには 影響がなく、文化創作の社長はガッカリしていた。あとから、本のバックオーダーの データを見ると、6月1日が突出している。多分、週刊読売の姿勢がいちばん説得力が あったのだろうか。 

 なんども「絶対音感」のことには言及しているが、音楽之友社の「ムジカノバ」か らの「絶対音感」に対する反論原稿の依頼にはビックリした。私はクラシック音楽で も、他の音楽でもすべて認知されていないアウトロー。よくもこんな私に原稿依頼し てくるなんて。、、、感無量というところ。 

 さて、話を統括したいところだが、はてさて、、、、、。

 8ch「おはようナイスデイ」のしつこい追求の結果がJRの体質をさらけ出す事にな った。JRの言い分は「音楽が自殺と関係するなんてバカバカしくて、反論する気にも ならない。答えようがない」とのこと。「ではノーコメントということでいいんです か」というと、「ノーコメントではない、無視なんだ」ということ。小柳さんという レポーターが毎日のようにTelしていたある日、いつもの担当と違う人が応対したと いう。彼はいつもの人の上司らしく威丈高に「今の音楽がそんなに悪いというんなら 、どうすればいいんだ。もう一度作り直すと何億もかかるんだ。その責任とってくれ るのか」、、、、、。

 もう口あんぐり、私は、何の提案もしていないし、私に駅音楽の仕事をよこせとい っているわけでもない。ただ、うるさい音楽は必要ないから、やめてみたら、としか いいようがないのに。

 ミナサン!JR東日本は、自殺防止の為、1日10億円払ってものすごい大人数のガー ドマンを雇っている。いつしか運賃に必ずはね返ってくるはずだ。

 いいですか!営団地下鉄は、発車ベルも笛も殆んどない。私鉄各社も音楽なんてい っさいない。同じJRでも、立川始発の南武線では自殺はないし、音楽もない。

 音楽が自殺の原因になるなんて変なことを言う気は私はもうとうない。しかし、音 楽療法や、ヒーリングミュージックとして、人間に対するプラス面の研究は進んでい るのに、人間に対する音楽のマイナス面はまだ何ひとつ研究されていない。そこがモ ンダイだ!

追記
 と、ここまで書いている間に、金村選手(西武ライオンズ)到着。ついつい二人の 面白い話に参加している内に、W杯は負けた。

 金村選手は、もともと近鉄バファローズのドラフト1位選手。私は生粋の近鉄ファ ンなので、昔から姿はよく知っている。一方の片岡選手(日ハムファイターズ)は今 、パリーグの首位打者、バリバリの若者である。 金村は実に頭の切れるキップのいい、やや下品でとても元気な人だ。

 しかし、パリーグは面白いねえ。激しく首位争いをやっている首力打者二人が隠れ 飲み屋で漫才やっているのだから。

 絶対オフレコの話を大声立てて笑いとばす二人。金村に、もしアンタ巨人に入って たらどうする?と訊くと、「そんなもん、死にますわ」と一蹴された。パリーグファ ンと広島ファンの恐ろしい実態、タップリと聞かせてもらった。かくいう私も、バリ バリの近鉄ファンだったころは、ゲタはいて近鉄選手の乗ったバスを蹴ったものだった。

 あーあ、ガラの悪い作曲家じゃなあ、ワシも。


5/22版

絶対音感神話について

 音楽之友社のピアノ専門雑誌<ムジカ・ノバ>7月号用に原稿依頼が来た。今現在 は、新聞雑誌やTVに追いかけ回されて、その火の粉を払うのに精一杯で、前に約束 していた、<絶対音感>を読み終わった後の感想を書くと言う作業も全く本が読めな い状況だったので、いつになるかと思っていたら、音友から<絶対音感>批判の原稿 依頼が来たので、仕事として読み終えた。以下の文章は、<ムジカ・ノバ>7月号に 出るものの、ほんの一部の抜粋である。もちろん全文は、雑誌を読んで欲しいし、こ ちらも、全文掲載は雑誌が出た後に対応する。

 私の結論はやはり、とてもひどい害悪本であったことを再認識したということである。

 以下、ほんのサワリを紹介する。




      ちかごろ、最相葉月さんの書かれた「絶対音感」という本が売れて話題になってい る。その本が出る直前に私の方は「音の後進国日本」(文化創作出版)を出した。

 JR中央線の自殺の原因の一つに、駅の騒々しい音楽まがいの暴力的な音が関係し ているのではないかと書いたところ、いろんなメディアが押し寄せてきて、週刊誌、 スポーツ紙、そしてついにはワイドショーのTVにまで引っ張り出された。

 私は実はJRを告発するために本を書いたわけではなく、そういう音楽まがいに平 気で使われている平均律を告発するためというのが本意であり、そういう意味では読 売の夕刊とNHKの朝の実況で純正律のからくり時計の紹介をしてくれたのは嬉しかった。

 さて、平均律と純正律の大問題は後に置くとして、私は自分の本の中で多分同時期 に出版されるであろう「絶対音感」に対して「絶対音感神話を斬る」という項目で、 彼女の本が世に出る事前に絶対音感を賞賛するとんでもない害悪本が出るらしいと告 発、警告した。ところが、実際に出版された本を読んだ何人かの人から「玉木さんは まったく誤解している、あの本はまじめに絶対音感教育を批判しているすばらしい本 だ」という反論が来た。そこで私は自分のホームページ上で、「絶対音感」をちゃん と読んで、もう一度見解を表明すると明言した。この原稿はそれをも兼ねていると了 解してもらっていい。

   (中略)

 最相さんは決して絶対音感教育を賞賛しているのではなく、逆に、画一的な教育で かえって音楽性や人間性がせばめられ、ゆがめられると主張されている点において私 の認識は間違っていたと思う。しかし読後感は結局、非常にあと味の悪いものが残り 、決していい本ではないと思う。まずは、プロの音楽家ではない人特有の、少し違う んじゃない?という違和感が蓄積されていくことにあると思うが、それは置いておい て、さすがにノンフィクション大賞を取るほどの取材力はあり、随所に感心する部分 はあるのに、限りなく真実に近いところまで肉迫していながらすーっと擦り抜けてし まい、結局は、誤った結論を導きだしている。

 彼女は、絶対音感にこだわるあまり、もっと根源的な大問題、平均律教育の問題点 をなおざりにし、看過してしまったため、私からみて非常に腹立たしい本になってい る。彼女はおそらく、平均律と純正律の協和の差を体感していないのではないだろう か。(以下割愛)

 以上であるが、詳細はのちほど。


4/10版

<絶対音感>という本について。

最相葉月さんの「絶対音感」という本がよく売れているそうだ。それについて、私の 「誤解」を指摘するMAILが何通かきている。つまりあの本は玉木のいうような害悪本 ではなく、とてもすばらしい本だから、読んで反省しろというのが多い。

 正直言って、その本はまだ読んでいない。でもいま現在、言いうるのことは言って おきたいので、今の感想を書いておきたい。その前提として、ある人に返送したMail を(もちろん私の文章である)引用する。(引用された方、失礼とは思いますが、氏 名を公表するわけではありませんので御了承下さい。)

<絶対音感>私はまだ読んでいません。しかしあなたは私の本を読んでいらっしゃら ないから、ドッコイドッコイです。
私の本の方が早く刊行され、しかもあろうことに、<絶対音感>の本と並んで平積み にしている本屋が多いのですよ。両方立ち読みして、私の方を買ったと言う人から何 人もMailを頂きました。だからどうってことでもないんですがね。ただし、私の本の 中で、いわゆる絶対音感と言うものに対する姿勢ははっきりしているので、一度お読 みになって下さい。買うのがもったいなければ、うちの事務所は西麻布なので、立ち よって、ただ読みもけっこうです。
あなたのもろもろの異論、私も感ずる所があれば、またMailします。ただし、!.... ....。
出版予告をした週刊ポストの抄訳は実にひどいもので、こんな本が出るのは、害悪し かないと思われても仕方がないないようで、私は、まわりの、クラシック関係者とか 仕事関係とか、色んな人に読んでもらったのですが、こんなひどい本が出るのは良く ないから玉木さんの本に反映したほうがいいという意見が圧倒的だったのです。あな たがその記事読んでいないならどうぞいらして下さい。
あなたは、決め付けは良くないと言いますが、決め付けざるを得ないような抄訳を掲 載した<ポスト>に文句をいうべきです。最相さんもしかるべきです。
ただし、私は決して偏狭な人間ではないので、<絶対音感>を読んだあと、反省すべ き点があったら必ずホームページに感想を掲載します。
私も<絶対音感>を読みますから、あなたも私の本を読んで下さい。そこで初めてイ ーブンになるのです。
滅茶苦茶いそがしいので、文章が乱雑になりまして、失礼しました。
私の本は実は<絶対音感>なんて小さいことを問題にするようなものではないのです。
でも貴重なMAILありがとうございました。

この後数日して、また知りあいの一人から週刊ポストの自己宣伝の記事がFAXされて きて、自画自賛の要約の記事も読んだ。その結果、たしかに最相さんは「絶対音感」 を信奉しているわけではなく、逆に、絶対音感教育の弊害を告発しているらしい。そ の点は去年の夏の週刊ポストの抄約では絶対に分からなかったが、最相さんの立場は なんとなくわかったし、その点では、私は誤認識していたようだ。

 まだ読んでいない本に対してまず50%は陳謝しよう。平均律による絶対音感教育の 弊害という立場なら、殆んど私と同じスタンスだから、共斗を組むこともできそうだ 。しかし、あとの50%は私は間違っていないと思う。読み終わってから書かなきゃい けないことだろうけれど、最相さんは、やはり「絶対音感」というものは、教育で身 に付くと思っているらしい。それに対して、私は「絶対音感」なんてあり得ないと言 い切っているし、証拠も枚挙のいとまのないほどである。「絶対音感」なんていう言 葉のエセ「神話」性を根底からくつがえすものでなければ最相さんの言も半分しか有 効性がないのである。もういちど大きな声で言おう。時速100キロの車から外に向か って440ヘルツの音量のトランペットを吹いているとしたら、彼にとって自分の「ラ 」はいつまでも440だ。しかし、その車の通過を見守っている人にとっての音の高さ はドップラー効果で全くちがった音程にずれて行く。両者ともに「絶対音感」の持主 だったら、どちらが正しいというのだ。

 もちろん、この論は単にレトリックに過ぎないかもしれない。でも極端な話、絶対 音感なんて所詮そんなものである。アインシュタインが説明したのに準拠して、完璧 な「相対音感」教育をした方がいいのに決まっているのである。

 続きは最相さんの本を読み終えてから。とりあえず、反論のMailの人達に対して、 第一次回答とする。


3/30版

   <最近の動向から>

 最近、にわかに身辺がきぜわしくなり、いろんなことが処理しきれず、とどこおっ ている。ホームページの更新も怠りがちだし。

 永六輔さんが推薦してくれた著書「音の後進国日本」もけっこう動いており、TBS ラジオの永さんの番組「土曜ワイド」にも2回も出演させてもらったおかげで、CD、ミネラルミュージック(純正律)「光の国へ」も2000枚増刷まできている。21日の土曜ワイドに出演したあくる日、TV朝日系列の「新・題名のない音楽会」の総集編で、冗談バイオリンのVTR出演があった。その日のゲストが、我が師匠、山本直純氏で、私に対して初めてまじめな言葉を吐いてくれていて、思わずこみあげるものがあった。

 直純さんが、人前で私のことをほめたようなものの言い方をするのは初めてのこと 。怒られ、ののしられ、クソミソに言われて、マージャンで負けて、ガッポリ取られ て、ごくたまに編曲なんかを頼まれてもケチばかりつけられ、「なんでいつまでも文 句ばかり言うのか」というと、「そりゃーおめえ、死ぬまでお前はワシの弟子なんだ から、何か言わにゃあ、師匠ののメンツが立たん」とまるで毒舌落語家のようなふる まい。直純さんからほめられたり、激励されたりなんて皆無に近い状態だっただけに あの番組は実に意外だった。こんな奴もワシの弟子なんだぞと、自慢されてるようで 、くすぐったかったが、多分直純さんも年取って、丸くなったんだなあと思う。

 振り返れば4年間の直純さんのアシスタント時代を卒業して約30年間、いろんな音 楽シーンでウラ方にいそしんできて、CMも1500曲以上、映画、TVドラマ数知れず、レコード、CD、100枚近く担当し、自分のアルバム関係でも50枚近くやったにも拘らず、一回も売れて有名になったことのなかった自分にとって、昨今はまさに晴天のへきれき、信じられない状況である。アエラは来るは、ジャパンタイムスも来る、読売新聞も来たし、今日はSPAの取材。TBSの人からは特別番組を作ろうとの有難い提案まで頂いたりして、、、。

 レコードコレクターズという雑誌の一作年の8月号に〈ブラウン管を彩った××の 作曲家〉という特集に私のことも出ていて、あの「怪奇大作戦」あの「大江戸捜査網 」の作曲家という紹介をされていた。そういえば、どうやって見つけたのか(私のホ ームページでは、その二つの番組には殆んど言久していない)。二つの番組に対する マニアックなファンからのEーMailがちょくちょく来る。いま、純正律音楽をはじめとして、いろんな仕事でコンビを組んで、スタジオワークでも協力してもらっている若手作曲家 田頭勉氏も(NHK教育TV、虹色宅急便で話題になっている)も、玉木さんのホームページに「あの、怪奇大作戦」の作曲家、「あの、大江戸捜査網」の作曲家と書けば、アクセス数は、メチャクチャ増えるはずだとも助言されたが、いまさらそんな恥ずかしいことも、イカガなモノか?、、、、、。

 ミネラル・ミュージックの第二弾、第三弾も、激しく要望があるので、現在作成中 だが、あってはいけない、プロとしてあるまじきハプニングで、前進もままならない 。実は、ミネラルミュージックの新制作のために(という理由だけではもちろんない が)私のMacの環境をデジパフォ対応にするために8600/250を買ったが、古いパフォーマのDATAをうまく読まないというパニック。私は機械には弱いから田頭氏になんとかしてもらったが、同時期に彼も9600で新しいスタジオビジョン関係にした所が、プロトゥールスとの相性が悪く、彼のスタジオで三日間費やしてあげく、やっと2曲分のDATAを投げ込んだだけ。しかも、よくきき直すと、私の演奏はヘタヘタでとても使いものみならず、一から出直し。

 そんなシロートハダシ(素人もハダシで逃げ出す)なチョンボの中で、な、なんと 、6月頃オープンする、とある大企業の展示館の音楽を全部純正律でやりたいがどう かというとてもウレシイ話がとびこんできて、5月中にCD、4〜5枚納品しなければな らないという、信じられないスケジュール。岐阜県主催の10月のスポーツレクリエー ション大会の音楽監督の仕事もヘビーだし、ここには書かないルーチン・ワークも日 々こなさればならない。

    ああ、もう、これ以上自慢めいたグチはやめにして、新著「音の後進国日本」とCD 「光の国へ」を買ってくれた人からの面白いリアクションを紹介しよう。

   1. 本を読んだ人と、TBSラジオを聴いた人からの反応で意外と多いのが、ピアノ の音階(音程)がとても気持ち悪くてきらいだったが、我が意を得たりと言う人たち 。もちろん、こういう人たちは殆んどがセミプロ級の音楽達人である。プロの音楽家 は120%純正律を無視する。自分たちのよって立つ根拠が崩されるからだろう。

 2. 視覚障害者の方が、ラジオを聴いて、Telしてきてくれた。いわく、JRの駅の 音は百害あって一利なし。うるさい音楽モドキで、肝心のアナウンスがきこえなくな るし、発車音もブツッと切れると、いつ発車するのか分からないということ。音楽を 断ち切るよりは、「発車します」といってくれた方がよほどいい。そして「通りゃん せ」も気持ち悪いとのこと。

 3. 私のインディーズCD「光の国へ」は私の事務所以外では、表参道の「ナディフ 」の系列店、及び、神戸の三宮の「ワールド・クリエイティブ・ラボ」のアンテナシ ョップ「マザーズボイス」にしか置いていない。先日、そのワールドの人がラジオ神 戸に出演して、私のCDをかけながら10分くらいの話をしたところ、150人もの問いあわせがあったとの由。永さんのおかげだけでなく、独り立ちできそうな予感を見る。

 4. 同じく神戸からの情報だが、ワールドとは何の関係もなく、さる重度身障児養 護学校の先生からのTel。強度の自閉症児でいつも暴れまくって手のつけられない子 に私の本の付録CDをきかせたところ、なんと、寝てしまったとのこと。もうひとつ。 重度身障児で寝たきり、辛うじて聴覚だけは少しある子供、日頃から目玉を動かした こともない子にイヤフォンでCDをきかせたところ、突然、目玉をグリグリと動かした という。あの子は、音楽で何かを見たのじゃないのかなとも思えるというお話。

 今日は、少しプライベートすぎた感はあるが、次回をお楽しみに。ハハハ、、、。  どうなることやら。


    <最近読んだ本から>

  巻上公一〈声帯から極楽へ〉筑摩書房 ¥1900+税

   あのヒカシューの巻上公一氏、もちろん、ワシの本の付録CDの中でもホーメイをう たってくれている声帯の鬼才である。彼からの新刊が贈られてきた。何ともすさまじ くおもしろくて、おかしな本だ。

 ゲラゲラ笑い転げ、考えさせられ、腹が立ち、泣かされる。 

 腹が立つ第一はワシよりもっと色んな人と知り合いでジョイントをやっていること 。ジョン・ゾーンや高橋悠治とも親しいとは、、、。もうひとつ腹立つのは、ワシよ り、文章が上品なことだ。ああ、はらわたにえくりかえる。最も腹が立つのは、ワシ より、音楽に対して真面目だ、つまり、シリアスだということだ。ワシはロックもや ったし、ジャズもやった。しかし、殆んど、その連中はキライだ。あまりにも瞬間芸 ですませてしまうからだ。そんな彼が即興の天才、ウーム、、、。ワシよりも100倍 も1000倍も音楽にシリアスに接しているからだろう。

 脱帽、ゼツボウ、ダツボウ。


    3/2日版

  <南米旅行記.最終回、グァテマラ>

 私が外国へ出ると、大ニュースが起こる偶然性が何回かあったが、今回は、タブラ の清水さんからのマメな東京情報では、中学生が荒れ狂っているということくらいで 、もう身体がヘトヘトで、日本のことなんかどうでもいいくらい無気力になった時点 でボゴタから、最後の国、グァテマラへ向かった。ここでも、ラテンタイムの行き違 いに遭遇。乗った飛行機が一時間くらい遅れたため、コスタリカのサンファン空港で の乗り継ぎの飛行機は無情にも飛び立ってしまったあとだった。また、4.5時間待ち とのこと。サンファンの乗り継ぎ待合室は閑散としてコーラ類以外は何も売ってない 。ビールの立て看はあるのにどうしてかと訊くと、コスタリカの国内法で、土日はア ルコール類を一切売ってはならないとのこと。ああ、絶望的。

 来たときの航空会社は忘れたけれど、一応見た目はまともに見えていたが、乗り継 ぎの飛行機はなんとパナマ航空。もう国の事情そのものが反映されているのか、使い 古しが歴然とわかる、表の塗装がはがれた情けない機体。座席の雑誌も、何万という 人が触りちゃんこにしたような、手あかだらけで、クロスワードなんか、何人もの回 答で真っ黒になっている。飛び立つと窓ガラスが白くなったのには、心底不気味さを 覚えた。それでも私の隣の相撲取りのような現地人は平気で、ずっと、プアマンズ・ ビブラート、つまり貧乏ゆすりを続け、これにも参ってしまった。

 まあ、無事着いてホテルに到着してみれば、さすがにメキシコの隣だけあって、い きなりほとんどアメリカ状態になる。

 南米3国のホテルに関しては、朝食のバイキングはみんな最高だった。なんといっ ても、果物が豊富である。

 グァテマラの日本大使館の人たちは、大変に神経こまやかで、優遇してくれた。村 山大使邸でのお食事会では、大使の蘊蓄のある文化論に聞きほれ、つくづく上に立つ 人の違いでのさまがわりを実感する。日本人にはほとんど知られていないが、初めて グァテマラに永住した写真家、屋須弘平氏の話などで大いに盛り上がり、御馳走にな った和食も大変に上等でおいしかった。

 貧富の差とか、危険さでは、グァテマラが一番だろう。有名な国立劇場の周りがス ラム街だが、それとわかるスラム街だから、本物のスラムは想像を絶するものがある。

 国立劇場のスタッフはお世辞にもプロとは言えない水準で、本番中の休憩時間にス ポットの照明をいじりだしたのには、たまげてしまった。

 地震に襲われた古都アンティグアはとても風情のある町だった。

 グァテマラの本番も公表裏に終り、LAで一泊。もう疲労困ぱいの極で、あとはよく 覚えていない。結局時差ボケ解消に半月以上かかり、今は、疲労におそわれている。 まあ、旅疲れというよりは、飛行機疲れなのだが。

 というわけで、南米旅行記の終りとさせて頂く。


言いたい放題 2月24日版

<南米・コロンビアー2>

 早いもので、一カ月前の今日はブラジルにいたことになる。

 さて、4日くらい滞在したって、絶対にその国のことなんか分からないし、変に一 端をのぞいただけで、少しかじったような気分になるのが恐い。ここの大使館でも、 ポルト・アレグレよりもっと強く言われたことは、外出するな、特にダウンタウンへ は行くなということである。

 それはともかく、コロンビア全体の治安のことを聞いてみると、やはり、反政府組 織の群雄割拠とのこと。 特に麻薬で有名なメデジン地方はマフィアが仕切り、ボゴタよりも安全だとか。市内 はマフィアの建設した?モノレールまであるらしい。今年には総選挙があるが、また 何人殺されるかということが話題になっているそうである。

 四季というものがなく、一日の中の変化に凝縮されているから、明け方は冬で、午 後は真夏である。町行く人の服装を見ても、Tシャツに短パン姿もあれば、三つ揃え 、果てはコート姿まで、まるでマチマチ。着ている格好で大体の職業が分かるのかも 知れない。私みたいに、あんり服装に気を使いたくない人間には良い。しかし、あち らの人たちは、どんなにラフな格好をしていても、着こなしのセンスは抜群に良い。 そこが、私と大いに違う所だが。

 さて、意味不明の大使公邸パーティーの翌日が一日目のステージ。ボスの佐々木さ んも高山病にやられたのか、予定よりアドリブなんかも短かめに終わったが、スタン ディングオベーションの嵐。終わったら今度はそのホールの創始者(今は引退して、 OB文化人になられている)によるパーティーが待ち受けていた。我々は楽屋で飯を 食ったあとだし、疲れきっていたが、なにしろ、地元の錚々たるメンバーのテーブル に招待された以上、すぐ帰るというわけにもいかない。こんな席にこそ日本大使はい るべきだし、現に招待もされてもいたのに、なぜか欠席である。

 ここで、私は想像もつかなかった反応に囲まれ、正直、たいへんびっくりした。三 味線の佐々木さんが珍しいのはいうまでもないが、私のバイオリンに全員がいたく感 動したというのである。自分で書くのは面はゆいが、まとめて見るとこういうことに なる。

<こんなにクラッシックのベーシックが完璧に完成されている上に、みごとなまでの 日本のスピリチャルにあふれ、一音一音にはっきりとした意志が感じられるバイオリ ニストは初めて見た。ラテン系の音楽家はスピリチャルを表に出したがるが、ミスタ 玉木のバイオリンは内面に凝縮したスピリチャルを感じる。今までにも日本から何人 かのバイオリニストはきたが、みんな、バッハ、モーツァルト、ベートーベン。なん で日本人がここまできてそんなもの演奏するのか。バカみたいとシラけていたので非 常にびっくりした。所で、どこかで教授を何年くらいやっているのか」「いやいや私 は、どこにも所属しないフリーで、今はバイオリンはほとんどやらず、圧倒的に作曲 と、コンピューター関係の仕事が多い。」というと、「じゃあ、今度は是非、あなた の作品や、日本人の作曲した、日本のスピリチャルの作品を聴きたいので、ぜひ一人 で着て欲しい。>と、まあ、だいたいそのような話を何人かから受けた。熱っぽく説 く人は、自分たちは充分に音楽を聴いてきた、ボゴタの中でも非常に意識の高い人間 であるから、まちがいのない評価であるとのことだ。私も話のついでに、じゃあ今度 は喜んで、日本の作品を持ってきて演奏しましょう。などと言っては見たものの、あ とから考えると、あの飛行機との格闘、そして、高山病のことを考えると、二の足を 踏むねえ、、、。

   二日間のステージの間に大使館の人には、私のどうしても現地のCDを買いたいと いう願いの為にダウンタウンへ連れて行ってもらった。そのかわりといっては何だが 、ボゴタへ来たら、絶対に見ておかなくてはならないという「黄金博物館」へ案内さ れた。これは、先住インディオたちの繊細で大胆な無数の金細工をあまねく収奪し、 ふくよかな大地と密着した先住民の文化を根絶やしにしたスペイン人達の収奪品の自 慢場所である。あのインカ、マヤ、アステカ等の気の遠くなるような文化を何の意味 もなく蹂躙し切ってテンとして恥じないスペイン人に、本能的に嫌悪感を感じている 私にとっては、とても気持ちの悪い場所で、なぜあんな所、多分モンゴロイド系では ないかと思われるインディオ文化を絶滅させたスペイン人の植民地主義の勝利の象徴 そのものの場所に、なぜモンゴロイド系の我々日本人を案内するんだろう。日本大使 館は相当にねじ曲がっている。多分現地では相当精神的にも優位にたっているから、 ピュアーな感覚を失っているのかも知れないが。

 ボゴタにも大きなショッピングセンターがあり、CD店としては、立派な<タワー レコード>が営業していた。やみくもに現地ポップスのCDを何枚か買って、クラシ ックのコーナーに行ってびっくり仰天、腰を抜かしそうになった。品揃い(もちろん 、輸入ものばかり)の豊富さ、珍奇さは、優に東京を凌駕している。特にバルト三国 (もちろん私のお気に入りの作曲家が多い)ものが多く、ポストモダン系も沢山あっ た。なんせ女流作曲家エセルスミスのコーナーまであるのだから。欲しいものを買っ て回ったらすぐに20枚を超えてしまった。よく値段を見ると、やはり東京よりも、1.3倍から1.5倍高い。まあ、東京でも(多分ナディフあたりで)見つかるだろうとフンギリをつけて、5枚だけにしたが、いちばんよかったのは、ケルト系の物だった。なんで、ボゴタで買ったケルト・ミュージックに感動するんだろうね!

 もうひとつ驚いたのは、コロンビアのクラシック系コンテンポラリーを一枚も置い ていなかったことだ。いくらアメリカ系とはいえ、それはないぜ! 渋谷のタワーだ って、あの最悪な石丸電気でさえ、日本物はあふれ返っているのに。

 実は大変に食いしん坊の私なのだが、現地のものは殆ど口に合わず、何ひとつ覚え ていない。ビールのことはブラジルでサルベージョといい、スペイン系ではサルベー サという。飲んでばかりいたみたい。みたいではないね。ハハハ、、、。

 で、次回はグァテマラ。

  <長野オリンピックと第九について>

   南米から帰ってきた日が開会式だったのかどうか定かではないが、モーローとした 頭で見たTVの画面は多分VTRの開会式だったと思う。たいへんユニークで雑然と していて、キヨホーヘン激しく、特に伊藤みどりと曙に関しては、私も大笑いしてし まった。実は私も長野オリンピックのホンの片隅では仕事に関連しているし、そのス タッフももちろん良く知っているので、具体的な良否は書かない。もちろんオリンピ ックそのものに余り関心がないから、殆ど見ていないので書ける立場にもない。しか し、客観的に見て、どうしても我慢ならなく、腑に落ちないし、日本人の無知をさら けだしているとしか思えない部分があるので、それだけは書いておきたい。それはも ちろんあの「第九」のことである。

 それまではほんとに無関心にTVを流し見していただけなので何のコメントもない が、あの第九になったとたん、ナルシズムそのものの目つきで得意満面になって、髪 ふり乱している小沢征爾氏の姿がアップになったとたん、私は吐き気を及ぼして、思 わず、TVを切ってしまった。

 あとで聞いたところ、あれは地球の五大陸を衛星ライヴしたという話で、第九その ものはともかく、NYタイムスなんかは、大陸間のタイムラグを解消して、同時シンク ロの音楽にするための技術プロセスを詳しく新聞報道していたそうで、それにひきか え日本のマスコミはただ単に「世界はひとつ」とエモーショナルに騒ぐだけで、みっ ともないことこの上ない。

 私は日本人では珍しい(実は一杯いるんじゃないかとは思うけど)第九嫌い。あの 幼稚園の校歌みたいなみすぼらしいメロディは頽廃の極みだと思っているし、あれを 一年に一度だけ聴いてクラシックにみそぎを捧げたと思う人たちも気持ち悪い。しか しなにより気持ちの悪いのはあのシラーの詩の内容である。

 大部分の日本人は、あの詩は人類の平和と友愛をうたっているすばらしいものだと 思っているようで、それはそれで間違いはないのだが、あそこでいわれている平和と 友愛は統一ドイツ人へのメッセージであり、ドイツ国粋主義そのものである。

 ウィリアム・テルのシラーを経て、ワグナー、ニーチェ、ヒットラーへ続く一直線 の系譜は、ヨーロッパ史を少しでも知っている人ならとっくに承知のことであり、耳 の不自由なベートーベンだからこそ、世界中の人がゆるしているのであって、私がた とえば北一輝(といってもみんな知らんだろうな、2.25事件の思想的コアであった首 謀者)の詩に交響曲を書いても、日本人からでさえ、非難の対象になるだろう。

 まあ、大オーケストラをバックに分かり易いメロディで、一度聴いただけでどの国 の人間でも歌えるという方法論のイージーさを全面的にOKとしたとしても、あのどう しても国歌や校歌くさいメロディを世界中で同時に歌うとなると、なにやら世界連邦 の国歌にでもなってしまったのかいなと錯覚しそうになる。それなら「インターナシ ョナル(ああ、もうこの歌も知らん若者が増えたなあ)」の方がよっぽどカッコいいぞ!

 第九の世界連邦国歌化に玉木宏樹は大反対するぞ! 私は天の邪鬼の典型なのだ。

  <最近読んだ本から>

  竹本健治<ウロボロスの基礎論>講談社 1995 512p¥2500

 ニ段組、500頁強の強腕無比の反哲学、反ミステリ変態小説、南米で読んで来た。 作者はIQ.200を越すと噂された超頭脳の持主。とても彼の博識ぶりにはついていけな いが、変態、知的(痴的)ミステリ好きをうならす、ウンコ学的迷宮反推理小説である。

 ああ、読後感を書くのもこんなにシンドイ作品も珍しい。何かよく分からんが、死 ぬときに思いだす一冊かも知れない。


2月17日版

<南米旅行記ー2>

 ポルト・アレグレの旅は、まあ色々あったとはいえ、はるばるたどりついた感激も あって、四日間も無事終り、次はコロンビアの首都、サンタフェ・デ・ボゴタへの旅 である。

 空港へ11時ころ着いて、1時ころにサンパウロにつき、1時間ほどの待ち合わせで、乗り継ぐ予定の飛行機が、何かトラブルがあったらしく、なかなか発着のアナウンスがない。とにかくイミグレは通過したものの、それからが大変だった。何のトラブルかは分からないが、代替の飛行機もないらく、発着の見込みはたたないと言われる。イミグレを通過したあとの待ち合い室ほどわびしいものはない。3時発の予定が、ついに7時半まで待たされた。みんながよく言うようなラテンタイムなんて言葉は使いたくないが、そういうものかも知れない。私の野放図な寝姿が唯一、みんなの(現地の人をも含め)アイドルとなったみたいで、沢山写真をとられたらしい。オーハズカシ。

 結局ボゴタへ着いたのは、夜の11時すぎだった。クタクタだからすぐ寝たけれども 、寝苦しく、何度も目が覚める。全員がそうだったみたいで、いよいよ、高山病の始 まりらしい。なにせボゴタは標高が2500メートルもあり、富士山では6合目以上にな るのだろう。

 翌朝は朝一で日本大使館に呼ばれ、大使との御挨拶。ところが大使殿は全く自分の 名をおっしゃらないので、(名前はもちろん館員から知らされてはいたが)名刺の交 換すらできない。まあ、こんな面会なんて、一種の通過儀礼だからどうでもいいのだ けど、そのあとすぐに、記者会見と、TV用の演奏。そして、演奏会場の下見と、P A、照明の打ち合わせ。とにかく、よく働かされること。一番驚いたのは、楽屋に酸 素ボンベが用意されていたことだった。音出しの結果、尺八の菅原氏が一番こたえた ようだった。楽器プレーヤーはみんな独特の呼吸法をしているが、尺八は特に大変だ 。息込んで吹くと一瞬にして酸欠状態になるらしい。いろんな悪条件の中で、唯一の 救いは、PAミキサーのすぐれた技術だった。ポルト・アレグレではあまりいい目に あっていないので、なかばあきらめてはいたのだけど、特にタブラの清水氏は、日本 でもこんないい音は仲々出してくれないと、大変喜んでいた。

 そして、その夜は、大使公邸にて現地の文化人との交流パーティーに臨む。ここで 、実に信じられない、理解に苦しむような破目にり、我々一行は全員、精神的パニッ クにおそわれるほど悲惨な待遇を受けた。

 まだ大使が現れるまで、別室で軽くお酒を飲んでいる時、コロンビアの文化人二人 と仲良くなった。一人は、我が事務所の所在地の西麻布にいたことがあるということ で、例の興和不動産ビルの南米・アフリカの小国の大使館が同居しているビルに勤務 していたとのこと(コロンビアの大使館は目黒のちゃんとした所にある)で、日本語 もしゃべれるし、西麻布の思い出なんかも話したりして、親密さを増し、もうひとり は日本の大学へ客員教授で行ったことがあるとのことで住まいは石神井だとのこと。 この二人と大いに話がもりあがりつつある所に大使が登場した。儀礼的な挨拶のあと 、私はこのお二人とは日本の話でもりあがっていますとい言った所、いっさい無視。 そして、我々をいっさい紹介しないまま、自分だけ、コロンビアの一流人の間を遊泳 し、我々一行は完全に取り残されてしまい、すみっこにひとかたまりにいるしかなく なってしまい、せっかく仲良くなりかけた二人とも、話せるような雰囲気も無くなっ てしまい、何をしにきたのか分からないまま、無駄にビールの杯を重ねるだけになっ てしまった。ボスの佐々木さん夫妻はそれでもけなげに振る舞っていたが、大使から 無視されていることは誰の目にもあきらか。これでは何の為のパーティーなのか!だ いたいが、コンサートの前にパーティーをやって、何を話題にしようというのか、そ れだけでも理解に苦しむのに、メンバーを紹介もせず、何をしにやってきたのかの説 明もせず、「国際交流」の為の基金で来ている我々を無視するとは何たる無神経!  もうこれ以上書かないが、我々が受けた屈辱はそれこそ筆舌に尽くしがたいものが ある。日本の役人は何か勘違いしている典型である。別に大使個人を云々してもしよ うがない。そういう人物を任命する東京の外務省の神経がおかしい。まあ、ものは考 えようで、我々は外務省のお金、つまり、国際交流基金でつれてきてやってるんだか ら、ガタガタ言うなというのかも知れないが、じゃあその見返りになるほどのギャラ なんて全然もらってないぞ!人を馬鹿にするのもいい加減にしろ!

 まだまだ続く、猛烈な時差ボケの中で書いているので、どうも筆が乱暴になってし まった。反省、反省、、、。

 ボゴタは貧富の差の激しい所らしいけど、高級地の山すそに到る坂道の多さは、神 戸とそっくりで、山すそは、それこそ、北野町の外人街によく似ている。いや、神戸 よりももっと緑が多く、こと自然に関しては、日本の都市の比ではない。高層ビルも 多く、大都市の風情はあるが、交通渋滞と排気ガス攻勢には参る。CO2公害も彼ら にも真剣に考えてもらわないと等と思いながら町の風景を見ていると、ポルト・アレ グレと同じく市電のレールの跡が散見できる。アーア、、、テッちゃんの私は悲しい。

 コロンビアの話はまだまだあるので、次回に。


2/9版

<永さん、TBSの威力で、CD光の国へ、猛チャージ>

 新しいコーナー<近況報告>にも少し書いたけど、去る1月17日、関東圏TBSラジオ系列の、<永六輔の土曜ワイド>のゲストとして出演。もちろん新著「音の後進国日本」をPRしましょうとの永さんからの推薦。

また、永さん自身が私の新作CD「光の国へ」を大変気に入ってくれて、冒頭からそれ をかけ、番組途中ではBGとしてまで流してくれた。もちろん、本の中身の紹介として 、JRの駅のうるさい音楽もどきの告発などの話をしたのだが、私にとっては実はその 日は自分のPRをするような気分の日ではなかった。実に偶然なのだが、1月17日は私 の故郷、神戸大震災の日だったのだ。その日の明け方、なんとなく目がさえて3時こ ろに深夜ラジオをかけると、どの局も地震特集一色。全くその日にしかやらない御都 合主義に心底腹を立てた私は  義憤のあまり、一睡もできず、目をはらして出演す る破目になった。だからもう自分のことなんてうわの空で、番組の中でも神戸のこと ばかり話し、永さんも多いに共感してくれ、ついでに本も宣伝してくれ、最後にはCD の問い合わせ先まで放送してくれた。本はもちろん文化創作出版社だが、CDの方は全 くのインディーズなので、私の事務所の番号をアナウンスして頂いた。番組も終り、 外に出てこられた永さんの「まああそこまでは言っておいたけど、2、3、問い合わせ があればいい方で、ひょっとしたら全く反応がないかも知れないけど、ガッカリしな いでね。」との言葉。もちろん当然のことで、10〜20くらい問い合わせがあれば御の字と思って事務所へ帰ったら、すでに留守番電話がパンク状態。それからの一週間は購入希望の電話がハリケーンの様に殺到してきて、事務所はパンク状態。途中で文化創作出版にSOSを出し、引き継いでもらったが、そこの電話番号に対する間違い電話が猛然とおそい、今度はTBSの番組班にまで嵐が波及。ついに翌週もういちど、CDの問い合わせ先の変更をちゃんと放送でアナウンスするとのこと。そんなこんなの大混乱状況の中、荷物をあらためるひまもなく、あわてふためいて、まるで敵前逃亡のようにブラジルに旅立ったのが22の夜。私は私で、超ハードなスケジュールでくたくた(飛行機に21時間も乗ったらどうなるか分かるでしょう)のなか、24日の永さんの放送で御丁寧に、先週の玉木さんの話をききのがした人の為にと言って、また純正律の話やらCDのことを言ってくれたおかげで、またもや猛チャージ、うちも文化創作も、大混乱が続き、ブラジルから帰ってきた2月の7日、8日そして今日もまだまだ電話攻勢が続いている。

 もちろん、涙が出るほど嬉しく、ありがたいことなのだが、メディアの威力には戦 慄すらおぼえるほどだ。

 おかげでCDも急拠増刷。ネット上での注文もちらほらあるけれど、多少の遅延は免 じて頂きたい。

<南米旅行記ー1・ブラジルはポルト・アレグレ>

 16日間に亘る南米旅行から帰り、3日目だが、あまりの強行軍と、タイムラグで、 人間機能がズタズタになって回復できない。しかし、事務所の機能は、出発前のTBS 出演での大ブレークが引き続いたままで、土日ともまだ電話がガンガンかかってくる 。事務所の混乱を立て直すのが先決だが、やり残しているオーケストラの編曲、3曲 もすぐとりかからねばならないので、四の五のと言ってはおれない。

 今回の旅行の最大の収穫は、二枚組500頁を超えるあの変態アンチミステリ・アラ ン・ロブグリエ的ドグラマグラ小説、竹本健治の「ウロボロスの基礎論」を読み終え ることができたことだなどというと、実に人の悪い奴だなと、自分でも思う。

 とにかく疲れているので、なるべく事実だけを簡単に。

今回のツアーは、国際交流基金の演奏旅行で、ボスは、津軽三味線の巨匠(神奈川県 生れ、神奈川在住)佐々木壮明氏。公演の一部二部は、佐々木さんと奥さん、お弟子 さんによる、三味線トリオの演奏で、三部に我々、つまり尺八の菅原久仁義氏、タブ ラの清水浩氏、私のVlnと佐々木氏による四人のセッションで、打ち合わせも練習も 殆んどなしという極めて、スリルあふれるお気軽な中身だったが、仕事としては非常 に面白かった。

 以下に日程を記しておこう。 1月22日夜10:00成田出発。途中ロスで1時間ほど休み、サンパウロへ。現地時間、朝9:30にサンパウロ着(日本時間では23日の夜9:30になる)3時間ほど休んで、ポルト・アレグレまで2時間また飛行機に乗り、ホテル到着が16:00、いったい何時間飛行機に乗ったものか、考えるのもいやになる。

 二軒しかないという日本料理店に連れて行かれ、そばをごちそうになったが、パサ パサで拙いのなんの、口直しに頼んだ親子丼のうまいこと。そのまま、TV局へ連れて 行かれ、10時ころからLive出演。

 ポルト・アレグレなんて、殆んどの日本人は知らないから行く人もまれで、かくい う私も、名前くらいしか知らなかったが、なかなかいい街で、南ブラジルでは最大の 街、イタリア系とドイツ系の白人が殆んど。坂が多くて、緑多い落ち着いたたたづま いは、サンフランシスコとロンドンをたしてニで割って、田舎にしたような感じだ。 ブラジルといえば、サンパウロかリオしか思い浮かべないから、仕事を受けたあとで 、ポルト・アレグレときかされ、がっかりしていたのだが、それはそれなりによかっ たと思っている。緯度的には鹿児島のまうらという感じで、丁度日本の梅雨時のよう にむし暑かった。

 とてもきれいな街だが、目の前の大きな湖(湾でもあるらしい)にフンニョー垂れ 流しで大公害が発生しており、日本の琵琶湖美化運動に学ぶ為、大津市と姉妹都市と のことで、大津から年に数人は語学研修者がきているとのこと。

 ポルト・アレグレの領事館の人達は大変サバけていて肩肘はった所がなく、感じは よかったが、とにかくダウンタウンへは出ないでくれとのこと。一見、平和そうに見 えても、実は大変危険だからというのだが、公演も2回終わったあと、現地のCD買い たいという要望をたてに、ダウンタウンへくりだした。いや、実にすばらしい活気に あふれた雑多さで、大変面白かったが、ダウンタウンへいかないでくれというのは、 自分たちが日頃出掛けていないことだということが分かった。巨大なショッピングセ ンターもあり、とても刺激的だったが、あとから考えると、やはり巨大な田舎である ことに変わりはない。

 東京の事務所に電話をすると、依然大混乱とのこと。うれしいような、こわいよう な。二日間の公演も好評裏に終り、最後の晩に、領事の統括で、ブラジル特有のシュ ラスコ料理に招待された。御存知の方も多いと思うけど、シュラスコとは、牛飼いの ガウショたちの料理で、太い銀串に牛や豚をズドンと差し込み、塩味たっぷりで焼き こんだもの。テーブルで、スケール雄大に肉片を切り落とし、何とその量と種類の多 いこと。一口目はうまい、二口目は辛い。三口目はもう入らない。招待されたのに申 し訳ないけど、窓際に非難していら、ライブバンドとダンスが始まった。ガウショス タイルというがたまらん。下手さ、田舎臭さで、音楽なんかききたくない私は、タブ ラの清水氏と、インド音楽のリズムの多様性について評論していると、領事から名物 の踊が始まるからと言われ、ステージに注目すると、いつしか、バンドもダンサーも いなくなり、ステージにはドラマーがただひとり、その間、白装束に身を固めたガウ ショがひもの先に丸い分銅をつけたものを4本位もって現れた。走っている牛に投げ つけて、足をからませて牛を倒す道具である。何をするのか見ていると、たちまちの 間に演技が始まった。ダンサーは一人だが4本位ののひもを手品師のように振る舞い ながら重い分銅をステージに叩き付けるので、ものすごい音がする。所が、その方は、ものすごいハイテンションにソフィストケートされた見事なリズムで、見ている間、あの手品さばきは、リズムを出す為のもののように見えてくる。その内、あんな下手なドラムと思っていたドラマーまでが白熱してきて、二人だけのリズムの掛け合いは、熱気をはらんでもりあがり、たちまちの内に私は我を忘れ、呆気にとられて、魅入られてしまった。都なりの清水氏も同様である。そして、最高潮に達した時、なんと、ドラマーとダンサーは常人では考えられないようなポリリズム(複合拍子)を駆使しながらアチェレランド(段々速くなること)を始めたではないか!これは考えられない、なんだ、人間業ではないぞ、とんでもないものを見てしまったと大興奮してしまった。清水氏にもインドだってこれはないだろうというと、真顔でウンウンと頷いていた。いやいや地球の裏側でとんでもないことをやる連中がいるもんだ。私の喜怒哀楽の激しさに領事も驚いていたが、なんとかしてあの連中を日本に呼びたいものだと話すと、始めてそんなに面白いものまのかと目をむいていた。

 終わってその店のみやげものを覗いても、ビデオすらないという。  ぜひ、日本でスケジュールを切れるプロダクションがあったら、呼んで、あの興奮 をみんなと共有したいものだ。というわけで、ポルト・アレグレ編は終り。

PS. ポルト・アレグレのダウンタウンも人後に落ちない交通渋滞。にも拘らず、電車 のレールの跡が虚しく残っている。日本の都市と同じく、自動車が電車を駆逐してし まった悲しい姿。緑多い街も、排気ガスにあえいでいる。今こそ、軽快電車の復権を!


1/9版

      <星新一氏逝く>

   最近、知人、有名人の訃報があいついで飛びこんでくる。年末には芸大の同級生だ った作曲家の内田勝人氏が亡くなった。かなり親しくしていたのでショックだった。 誰かが死んだとき、どれほどの衝撃度があるかによって、生前のその人への思い込み 度がはっきりする。私は星新一氏とは全く面識がないが、ショック度は想像以上に激 しい。一年ほど前の「噂の真相」の欄外ニュースで、星新一、アルツハイマー説が載 っていた時も、別にショックはなかったのだが。

 氏の作風や文体はあまり好きでもないのに、このショック、、、、、。私の60年代 SFマインドというのは思いの外強烈であることが自覚できた。

 「エヌ氏の優雅な生活」(題名、まちがっているかも知れない)の完成されきった た自働生活の悲劇を読んだときの新鮮なキョーガク度は、今のことのように思いださ れる。

      <おユルシ下せえ!JASRACお代官さまあ>

   ある地方中都市の歌を書いた。CDを作ることになり、ウチ、つまり、(有)アルキが制作することになった。先方に迷惑がかかるといけないので、著作権使用料をクリアする為にJASRACにTelした。この物のいいようには当然トゲがある。先方に迷惑がかからないんなら、私は絶対にJASRACには報告しない。

 で、報告した結果、著作権使用料とりたての書類がドサッときた。それだけでも患 らわしいのに、許諾がおりたら、許諾ナンバーと証紙を送るから、CDのウラ表紙に一 枚ずつ全部貼れというのである。しかも、著作権使用料は前払いである。私と作詞家 の取り分をまずJASRACに振り込めというのである。そしてそのお金は、約6ケ 月の後に、1割以上さっぴかれて、私の口座に振り込まれる。なんということだ。

 自分の曲をCD化するのにJASRACが一割手数料をとるし、しかも前払いさせら れるのだ。1枚ずつ証紙を貼るのだって、別途手数料が発生する。いったいなんてこ った!いま世間で眼の敵にされている銀行でさえ、外回りの人間が御用ききにくる。

 もちろん建前としては、正会員の作品の不正使用を監視するための手数料というこ とだが、限定版でもあり、一応値段はついていても、半分以上は無料で提供するよう なCD、誰がどこで不正使用するというのだ。こういうCDの場合、万が一不正使用があっても、こちらからJASRACに訴えない限り、120%JASRAC自らが動く ことはありえない。

 それにもうひとつ、CDの印刷物に歌詞カードを入れるというと、「出版部の許諾が 必要です。」との文言のFAXがきた。この無神経さは何だ!出版していいかどうか 許諾するのはこちらがわの権利じゃないか!

 なんで著作者が、出版部に許諾をお願いしなければならないのか!JASRACは 無茶苦茶かんちがいしている。まるで我々を監視する役所的発想だ。なんでややこし い書類書いて、金、前払いして、証紙を一枚ずつ貼らされて、一割ピンハネされて、 6ケ月も金をプールするというのは一体どういうことなのだ!

 JASRACの内部批判者たち、永六輔氏のグループに私も属しており、評議員に 立候補することにもなっているけど、分配の不明朗さを突くのもいいが、こんな私の ようなバカバカしい目にあっていることをすぐにでもやめさせなければいかん!

 末端の職員とけんかしても始まらんから、腹立てつつ、事務手続きはしているが、 どうにも腹の虫が収まらん! 文句あっか!JASRAC、、、、。いやいや、これ 以上水呑み百姓(作家)をいじめないで下せえ!

JASRACお代官さまああああ、、、、、。

    <最近読んだ本から>

    京極夏彦 「嗤う伊右衛門」 中央公論 ¥1900

   御存知、四谷怪談。久し振りに格調の高い日本語、凄惨な美学にあふれている。監 督、鈴木清順氏、音楽、玉木宏樹で映画化したーい。スポンサー募集!


   1月6日版<新年のごあいさつ>

   みなさん新年おめでとうございます。今年こそ、本当におめでたくなるよう、不況 風になぐりこみ、大いにベンチャーにはげみましょう。(有)アルキも、玉木宏樹も 、1月10日頃に全国の書店に並ぶ予定の著書「音の後進国日本」(文化創作出版)、CD「光の国へ」等をバネに、ミネラルミュージック(純正律)の新境地を拓いていき たいと意欲を持っております。

 去年の年末には、渋谷のジャンジャンで、永六輔氏たち三大テナーの「世直しコン サート」にも出演し、より一層、永氏たちとの親交も深めました。著書も、永氏から の推薦の言葉を頂き、来たる17日のTBSラジオ「永六輔の土曜ワイド」にゲストと して、午前10時頃出演します。また、1月の22日から、2月の7日まで、文化交流基金のコンサートツアーで、ブラジル、コロンビア、グァテマラへと旅行して参ります。面白い情報があったら、またお知らせします。

 今年も宜しくお願い致します。

  (有)アルキ
  代表取締役  玉木 宏樹
  アシスタント 吉澤 るり子



     <巻上公一氏とのステージは面白かった>

   さて、デスマス調はやめにして、いつもの文体に戻らせて頂く。

 あいさつ文にも書いたのだけど、12月27日、渋谷のジャンジャンの「世直しコンサート」に飛び入りゲストとして参加した。コンサートの核はもちろん、永氏、そして野坂昭如氏、小林亜星氏の、三大(バカ)テナー、このコンサートの人気は、もう<物凄い>のひとこと。ステージ上にまでお客さんが座りこんでいるから、私の汗がもろにとびちって被害を受けた人もいたんじゃないだろうか。音楽的なことはおいといても、なんとにぎやかなコンサート。飛び入りで「お客様は神様」の三波春夫さんや、黒柳徹子さんもなぐりこみ、多分、全員ノーギャラのはずだから、永さんのパーソナリティとバイタリティには、ただただ敬服するのみだった。

 さて、あまりのゲストの多さに永さんは最初、私のことも、それからもうひとりヒ カシューの巻上公一氏のことも、個別に紹介するつもりだったらしいけど、いざ本番 になると時間のセイもあったのか、えーい、もう二人に任せるから、勝手にステージ をやって下さい、といわれて、ポンと二人だけで押し出された。巻上さんはもちろん ホーメイの達人で尊敬しているし、彼の方でも私のことを嫌っている様子はないから (本の巻末CDではホーメイで参加してもらっている)前からどこかで一緒にやりたい とは思っていたものの、こんないい加減(?)な偶然性でジョイント(かなあ?)す るとは夢にも思わなかったのでステージに出るまでも、いっさい打ち合わせなし。ど うせ私はおしゃべりVlnくらいしかできないし、声のパフォーマンスでは圧倒的に彼 の方が個性が上。ままよ、とステージに上がったが、彼はなんと口琴(ジュースハー プ)という、一枚バネを口の中でビョーンビョーンとはじく楽器を持って登場。私が Vlnで自分の名前をひくと、彼は口琴で自分の名前をはじくという大爆笑。つづく、 巻上氏のホーメイ他、声のパフォーマンスとつづき、最後にはVlnと私のドレミ唱法 で、「クマンバチの飛行」をやりつつ、口琴で伴奏をしてもらうというぜいたくな遊 びができた。永さんも最初はポーンと放り出しては見たものの、どうなるやらハラハ ラしながら袖を出たり入ったりしていた。(つまり、もし保たなかったら、すぐにで も助けようという親心か)、やがて安心し切ってお客さんたちと一緒に大笑いしてく れた。まあ、これで、なんとなく二人だけでもやれそうな気になってきたので、巻上 さんさえOKなら、またどこかで一緒のステージができるだろう。

 さて、永さんにお正月はどうされるのですかと訊くと、元旦から文章書きとのこと 、CDを推薦してくれた辛さんにTelしても、ずっと原稿書きとのこと。それに刺激さ れてというか、実は私も、22日の南米行きの前に片付ないといけない仕事が一杯あっ て、両氏の仲間入り。2日からずっとコンピュータの前でMIDIをいじくりまわしてい る。それにしても、永さんのバイタリティにはただ唖然、あんなスケジュールの中で 、ちゃんと3日の土曜ワイドの生放送を立派にこなされていた。

誰かさんにも注意されたが、深酒はやめようっと。


     <ホントに不景気なのか、オイオイ>

 去年の年末のテレビ・ラジオは、不景気の話ばかりで、今にも日本は沈没寸前とい うような脅迫話ばかり。

私は子供のころの貧乏な生活をよく知っているから、浮かれっぱなしでフワフワした 状況が肌に合わないから、どっちかというと、不況待望の方で、いよいよ我が出番と 段々力が出てくるのだが、しかしちょっと待て、街は本当に不景気なんだろうか。  たしかに、去年の末に出したクリスマスカードは転居先不明でかなり戻ってきた枚 数が多かった。多分零細プロダクションはどんどんたたんで、自宅営業が増えている んだろう。まあ不景気なのかもしれないけど、これは一種の配置転換とかリストラが末端に及んでいるということでもある。本当に食えなくなって自己破産したとか、行方不明というのは、そんなに聞いたことはない。

 ほんの少しでも正月気分をと、浅草、渋谷、銀座を短時間徘徊したが、なんという 人出の多さ、銀座マリオンなんて、ピカデリーサーカスよりもっとキンキラキンで人 の出入りが激しい。

 もちろん全般的に日本が非常に危ない事態に直面しているのは事実だが、金融機関 救済の為に、その筋出身の経済評論家がそろっていう公的資金導入論には絶対にだま されないぞ!

 税金使う前に銀行員の給料を公開しろ!
 人を減らせ! 
 役員は全員ただ働きしろ! 
 無駄な行員は寝たきりの預金者の家へ行って介護ボランティアをしろ! 
 預金保護は1000万円で打ち切れ!なぜなら保護される預金者とは、決して我々のことではなく、大口のあやしげな金持ちや、妙な蓄財をしている大企業の預金のことだからだ。

 会社がつぶれたのにボーナスを出す奴がどこにいる!

 だいたい「四大」などというまやかしにへばりついてエリート意識丸出しでいばっ ていた山一の社員たちは、自己責任を負え! 悪いのは前の役員だけじゃない。なぜ なら昔ならお家とりつぶしは、即座に全員クビが当り前、くやしかったら赤穂浪士に でもなってみろ。

 世界に赤恥をさらした、山一社長の涙の記者会見、社員が悪くないんなら、泣かず に切腹しろ! あんたはどうみても社員の為に泣いたのではない、行平にだまされて 泣いたんだろ!

 一向に減らないウンコ座りの若者、ギャハギャハと笑い転げ、下品な言葉を絶叫す るバカたれコギャル! こんな奴らが横行している限り、まだまだ不況でもないし、パニックでもない。早く ゼネコンが整理されないと、何も改善されない。ゼニコンが崩壊して、はじめてゼニ コン癒着自民党も崩壊する。土木国家日本が壊れ本物の失業者があらわになった時、若者もウンコ座りしているヒマがなくなり、エンコーしてくれる相手がなくなったコギャルたちの生き方もはじめて変ってくるだろう。

   注意!危ないのはゼネコン、金融だけじゃない。食品、繊維、鉄鋼にも相当多い。 大納会の株価をよく見れば、100円割れがどのポストに集中しているか、すぐに分かる。


    <最近読んだ本から三冊>

    広瀬 正 「私物国家」 光文社 ¥1800

 ご存知、地獄よりの使者。常に正しすぎる広瀬氏の、日本を動かす闇閨閥の告発本 である。結局、官僚、財界、政界は、多岐に亘って<蜘蛛の巣>状に閨閥を形作って いる。山口組から三菱重工、そして最後に電力九社と原子力産業全部の横のつながり が、詳しい系図によってすべて明らかに(?)される。

 私はいつも広瀬氏の本にはついて行けず、途中で投げ出したくなる。余りにも細か い系図の表に頭がグラグラしてくるのだ。閨閥だけで世の中、簡単に動かせるもので もないだろうけど、だれと誰が、義理の縁戚関係かという、その夥しさには眼が回る 。ヒマな人は悪の系図をよく眺めて欲しい。きっと日本国家の構造悪が見えてくるだ ろう。

    <とても下らない2冊>

    宮台 真司 「まぼろしの郊外」 朝日新聞社 ¥1500

 ああやだやだ、気持ちの悪い本だ。TVに出るのに口紅塗る神経そのものの本だ。TVでもラジオでもシャーラシャラのヒャーラヒャラとシャボン玉製造機のように存在感のない言葉を吐きちらかすのは、あのオウムの上祐とそっくりで、結局何を言っているのか分からないのは三塚大蔵大臣ともそっくりである。まあ三塚よりはシャープそうに見えることがもっと恐いともいえる。

 TBSラジオの荒川強啓の番組にもよく出ているので彼の語り口はすぐ分る。

 彼はいわゆる「援助交際」のフィールドワーカーだと自称し、世の大人共に「エン コー」が悪いなどといっても全く通用しない状況になっているのだ、そういう見方で は彼女たちを説得できない、事実を直視せよという。そして最後にはスシ詰め教室の 人数をもっとへらさないと、子供たちのストレスは開放されないという。何をいうか このバカ者め。昭和18年生まれの私なんか、ベビーブームよりもっと激しいすしづめ 状態、中学なんか1クラス66人で10クラス、一学年660人状態だった。先生の目なんて到底及ぶものじゃないから、同じクラスから、東大医学部へ入った奴と、ヤクザにもなり切れずに小指のない奴が同じ机を並べていた。

 それから考えるに、今の子供たちはクラスの人数が少なすぎるため、先生からも回 りの目からも開放されずに、いつも監視されていることによってストレスがたまって いるはずだ。

 だいたい、彼の文章そのものが上祐口調でとても沢山色んなことを書いているよう でいて、さっぱり実がともなっていない。いちばん笑ったのは、エンコーをフィール ドワークする際に、大人の視点で接してはだめで、彼女達の本音は絶対にきけない、 だから自分は彼女達の土俵で対等に勝負するために若作りをするんだと書いてある( p18)。じゃあ、お前、取材対象と絶対寝てないのかよ、お前の言い方じゃ、寝て小 遣いやんないと本音がきけないということになるぞ、そうじゃないという証拠なんて どこにもないし、そうやったからきけたぞという自慢話風な「大人」に対する説教臭 さが多すぎる。

 だいたいエンコーなんかやって若い時からセックスを浪費するから少子化が増える 。ほら、こういう言い方をすると、宮台のしたり顔の説教が雨アラレと降ってくるだ ろう。荒川強啓氏も、番組で言い包められ、「今、きいていると、そうかも知れない とは思うんだけど、時間がたつとやっぱりおかしい、変だと思うんだよね」といって いるが、その通りだ。駄目なものは駄目。毅然と言える人間が少なくなっているだけだ。

 私が過去に、和光大学というとても変な大学の非常勤講師をしていたときのことだ 。あまりの授業中のだらしのない女子大生に呆れはて、「最近の若い女の子のだらし のないのにはあきれ返る。Gパンをはいているセイか、電車の中でも大股おっぴろげ て、なんじゃ、この教室でもそうだ。だらしない奴ばかりだ」と言ったが、もちろん そんなことでは、彼女達はびくりともしないし、おや、玉木はいつももっと面白いこ と言うのに、何をバカな説教を始めたんだ、というような反応ばかり。

 「いいか、これはジジィの説教じゃないんだ。よくきけよ。ひごろからそんな風に だらしなく股を広げていると、セックスの快感が感じられなくなるんだ」といったと たん、教室中でザワザワと衣ズレの音がした。

 エンコーもウンコ座りも道徳論より肉体論で言わないと分からないものだ。

     田中 康夫 「嗤う」 光文社 ¥1500

 文化放送の「ホンキでドンドン」で大いに自己宣伝していたので本屋でとびついた 。しまった、金返せ!

 もう遅い。内容を書くのもわずらわしい。

 まあ彼の神戸でのボランティア(ウソだとケチをつけてる人もいるけど)活動には 大いに敬意を表していますが。


玉木宏樹の言いたい放題・1997年版に続く

玉木宏樹に一言言いたい!




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