著作権コーナー 2006年5月11日版

<JASRACに入らないとやはり損だぞ>

 久しぶりの更新です。私がいなくなってからJASRAC評議員会は火が消えたようだと何人かから言われてきましたが、先日送られてきたJASRACの会報附録、2006年2月通常評議員会の記録がとてもおもしろく、重要な情報がありますので、ここにご報告しておきます。ひとつは北山修氏をはじめとした有名な作家がJASRACのノンメンバーだったけど入ってみて入金が多くなったことに驚いている、という事実。それから、外国で演奏された日本人作品の演奏権分配はイギリス系を除き、JASRACノンメンバーには払われないというすごく重要な事実です。中山千夏評議員と加藤衛理事の質疑応答を引用します。

中山千夏評議員「次に、私の友人で、作詞、作曲をしていた精神科医の北山修さんに会い、JASRACと信託契約を結んでいないことを教えられて驚いた。結んだ方がいいと勧めて契約した結果、多くの分配を受けたようで感謝された。「啓蒙」と言うと、著作権の使用料を支払いなさいという方にウエイトが置かれるが、活躍している著名な人たちに個人的にアタックするなどして、JASRACのメンバーになることのメリットを啓蒙していくことを考えた方が良いと思う」

加藤常任理事「JASRACのメンバーにならないという理由はいくつかあるだろうが、北山さんの場合は、おそらく知らなかったからだろうと思う。実はそういう人が何人もいて、JASRACの文化事業への出演や、いろいろな会議への出席等を契機に認識してもらうことがある。毎月の会報で新たな信託者名を載せているが、「この方が今頃」という方が時々見受けられるはず。メンバーになると演奏権の使用料のうち50%がJASRACから直送される。音楽出版者からの再分配で受け取る場合と、JASRACから直送される場合とでは印象が違うらしい。最近では、JASRACに預けようと考えてメンバーになる方が増えている。インディーズのアーティストの方も多い。
 JASRACのメンバーにならないもう一つの理由は、税務処理の問題。自分出音楽出版者を設立して、ノンメンバーのままでいるアーティストも多いが、この場合、自分が興した音楽出版者を経由して使用料を受け取ることになり、窓口が一本化されるので、税務処理が簡単になるらしい。メンバーになりたいが、あえてなっていないという方もいると聞いている。
 どちらがいいのかはわからないが、JASRACのメンバーでないと、海外で自分の楽曲が使われた場合、演奏権の取り分である50%の送金がない。なぜ海外からの入金に演奏権使用料が含まれていないのかと問いあわせをよく受けるが、JASRACと違って、イギリス系の団体以外は、ノンメンバーの場合は演奏権の使用料を送金しなくてよいというルールがある。海外で活動するアーティスト・作家の方は特に JASRACのメンバーになっておいたほうがプラスではないか。
 啓蒙活動という意味では担当部署が一生懸命やっている。ホームページなどのインターネットを最大限に活用したり、パンフレットを配ったり、文化事業委員会とタイアップしたり、日々努力している。かつては会員の増加は毎年約400人だったが、この3年間くらいは毎年500人くらいずつ増えており、この間の努力が効果を上げてきている」
(JASRAC「会報275号附録 記録 2006年2月通常評議員会」より引用)

 この他、週刊ダイヤモンドのJASRACに関する記事がNETの記事大賞をとった件や、ライブハウス等の演奏曲目の収入が不透明な件など、おもしろいことはあるけど、またの機会に。



著作権コーナー 2005年6月16日版

<ヤフオクが見本盤禁止へ>

 今日はJASRACの総会の日だけど、やはり行かないことにした。今日から中央図書館が再開なので、そちらで仕事をすることに。ところで昨日安西さんからメールが来て、ヤフオク(ヤフーオークション)がやっと見本盤禁止に動き出したとのこと。説明はあとにして、安西さんのメールをここに紹介しておこう。

「お久しぶりです。お元気ですか?
ところで、ヤフーオークション等でようやっと公式にサンプル盤の出品禁止が規約に入りました。詳しくは
http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000047715,20084432,00.htm
サンプル盤出品してる奴を調べて、違法取引フォームにシコタマ書いて送っておきました。3年遅いっつ〜感じですな。
ヤフーでは
http://help.yahoo.co.jp/help/jp/auct/asell/asell-21.html#sell-01-b
を見ると、サンプル盤は盗品として扱われる事になるようです。
http://help.yahoo.co.jp/help/jp/auct/safe/safe-04.html
に報告フォームがあります。「知的財産権保護プログラム」参加団体には音楽関連がほとんどいないんだけど、良いんでしょうかねえ?総会に行く機会でもあったら聞いてみて下さいな。」


 話は3年ほど前になる。ある人からの情報で、ヤフオクに私の交響曲「雲井時鳥国」のLPが出ているのを知り、探してみたらブッタマげた。そこにアップされていたのは、堂々と「見本盤」で、しかも値段が2万円だったか3万円だったか、かなり高額がついている。「見本盤」とはリリース直前に関係者用かプロモート用だけの用途で出すもので、裏に必ず、この盤を売買してはいけないと明記されている。いくら廃盤になって、手に入りにくくなったと言っても、見本盤に2〜3万円の値をつけるなんて、非常識も甚だしい。どうしたもんかと考えたが、JASRACもJ-Scatもこういうことは苦手のはずで、とりあえずは安西さんに個人メールを出して意見を聞いたところ、彼もびっくりして、彼なりにいろいろ調べたら、どうも見本盤ばかりごそっと持っている関係者がいて、その人物がいろいろオークションに出して、多額の金を稼いでいるようで絶対許せんと怒り出した。そして、とりあえずは、私が被害の当事者なので、こちらの言い分をヤフーにメールで送ったところ、うちは何も悪いことをしていないので関係ない、という素っ気ない返事。頭に来たので、当方はJASRACの評議員であることを明かし、著作権法違反だから善処を要求したところ、その言い分はJASRACの考え方の代弁なのか、そうだとすると、うちの法務が出るぞ、と変な脅し。何かというと「法務」というのは以前の日経新聞でも同じで、まるでヤクザに対するような物言い。大体ヤフーというのは、ポータルを始める最初の画面にのせたいからというので、日本では作曲家の個人ページで信用おけるのが少ないのでぜひ先生のHPを紹介したいとのことで、最初の7人の作曲家の中のひとりであるくらい貢献しているのに、このありさま。仕方がないので、余り期待もせず、JASRACに電話すると、予想通り、表向きはそんなの許せないが、JASRACが当事者になるのはどのようなものか、それよりもレコード協会に相談されたら、と全く予想通りのはぐらかし返答。「雲井」のディレクターだったK氏はソニーレコードから出向でその時は私的録音補償機構の在籍中、電話すると運良く捕まり事情を話すと、それはとても悪質で冗談じゃない、玉ちゃんひとりでヤフーの法務と闘う必要は全くないので、この件はレコード協会が引き受けて、ヤフーと話をすると、私からひきついでもらった。その後いちどK氏と話したが、どうもヤフーはノラリクラリとしているようだとのこと。それからも安西さんからは時折メールでいろいろと情報はもらっていたが、私はもう自分の手から離れたものとして、それほど燃えなかったが、昨日やっと3年越しに改善されそうだとのメールが来たわけだ。これからどうなるか。ちゃんと見守っていかなきゃならんけど、そろそろ見本盤なんてなくなりそうだし(すでにWeb上での試聴が主流)、どんな新手が現れるか、みなさん気を付けないといけないね。



著作権コーナー 3月8日版

<最も悪質な著作権泥棒、阪神応援団>

私は評議員時代にJASRACに対し、著作権泥棒の片棒を担ぐような、不備な作品届けや管理を改めるように何度も問題にしたが、一向に相手にしないため、今回のような悪質な結果を招いた。逮捕されたのは山口組の関係者と、コロムビアのプロデューサー。名前を見て驚いた。私がコロムビアの中でも結構親しくしていた人で、その人と私は10枚以上のCDを作っている。その人の擁護はしないが、今回の事件には不透明な部分が多い。まず応援団の人間がJASRACの会員のはずがないから作品届けは出せない。ではコロムビアのプロデューサーが届けたのか?彼が正会員のはずがない(真偽は?)から、そうだとしてもJASRACは受け付けない。実は正会員である誰かが届けを書いているはず。これは憶測に過ぎないけれど、一番可能性があるのは、コロムビアソングという音楽出版社だ。コロムビアが出す歌物は権利関係がない場合はすべて、コロムビアソングが管理することになっている。そうならば、JASRACの堂々たる正会員であるコロムビアソングが作品届を書いているはずである。そうならばJASRACは習慣的に何の疑いもなく受理してしまう。こんなバカなことがあってたまるか、と何度も食い下がったが駄目だった。実は私自身「森の熊さん」で著作権泥棒に編曲著作権を侵害された。今回のケースと一緒で、作詞作曲不詳の曲を自分の作品だと言い張った泥棒を認めてしまった。NHK「みんなのうた」のプロデューサーだった今は亡き後藤田氏が発掘して私が編曲したのだが、後藤田氏は「あの泥棒、今に見ておれ」の執念を発揮し、約15年後に原曲がアメリカ民謡である証拠をみつけJASRACにつきつけ、その泥棒の作曲の権利は剥奪されたが、作詞の権利は今でも泥棒に残っている。私は変だと言ったが、作詞もその人じゃないという証拠がなければ剥奪できないとJASRACは言った。じゃあ今回はどうなんだ。あの応援歌が中虎会の作ではないという証拠を誰かがつきつけたんだろうか。なんでも他の応援団が警察に相談していたということが発端らしいけど、警察に言われたから原理原則を曲げるJASRACはどうかしている。もともとが作者不詳のものでも正会員が届けを出すと何も調べず受理するシステムがおかしい。逮捕されたM氏も不運?だけど、ダメモトで届けてみようぐらいの気持ちで出したら通ったということなんだろう。ダメモトを助長するJASRAC、原理原則を平気で踏みにじるJASRAC、そして、M氏ひとりに罪をなすりつけたコロムビア、みんな変だよ、犯罪だよ!



著作権コーナー 1月26日版

<JASRAC評議員会報告書を読んで>

JASRAC会報1月号の附録を読んだ。2004年11月の評議員会報告である。新会長は船村徹氏になったが相変わらず演歌系の天下。評議員達の発言を読んでいて、ブツブツと胸騒ぎがする。この席に自分がいたらただじゃおかないぞ、と思いつつ、また物凄い自己嫌悪の嵐に見舞われることを考えると、やめてよかった、少なくとも心の平安は保たれる。質疑の中で問題があるのは亜星さんの質問で、リヒャルト・シュトラウスの楽曲に対する戦時加算問題。リヒャルト・シュトラウスは1864〜1949年の生粋のドイツ人で、戦中はナチに協力したと言われて戦後は完全に仕事が奪われ、悲惨な人生を送ったことで有名。そのR・シュトラウスの楽曲を英国のBoosey & Hawks社が権利譲渡を受け、それを根拠に日本ショットを通じて戦時加算対象の曲だとJASRACに金の徴収を言ってきたので、JASRACは易々諾々と承服し、お金を徴収してきたのだが、日本の最高裁でR・シュトラウスの楽曲は戦時加算の対象外との判断が下り、JASRACは金を払った人達に返還しなければならないという事態になっている。全く訳の分らぬ経過だ。JASRACはBoosey&Hawksから言われたからそれにしたがって徴収したというのだが、その前になぜR・シュトラウスの立場を考えて、Booseyと話合わなかったのか理解に苦しむし、もっとその前に、戦時加算そのものの違法性を訴えるべきだ。また、議事録で、R・シュトラウスの担当だという斉藤理事は、二度までもブージー・アンド・フォークスと呼んでいる。おぉ恥ずかしい!これが日本を代表する著作権協会かよ。ブージー・アンド・ホークスだよ、全く。この議事録での発言の改ざんぶりはひどく、過去私の品のない発言はことごとく上品で毒のない言い方に変えられた。テープ起こしの段階で、猛烈な手入れをやっているのはみんな承知の上だが、このブージー・アンド・フォークスはどういうこっちゃ。検閲にも漏れたのか、実は検閲官も何も知らんのか?あとJASRACも公益法人見直しの嵐に直面しそうで、会計基準が変更されると今までの無税扱いがなくなるかも知れないとか、総会の定足が会員の5割となって非常に厳しいとか、理事の選出法も変えなきゃとか、存続そのものの根底が危うくなる危機が迫っている。それなのになお、吉田理事長は天下りだとか、いやお願いした人材だとか、うるさいこと。その前に前理事長の小野清子氏を問題にしろ。「お手伝いさん秘書」事件は一体どうなっちゃったんだ。



著作権コーナー 12月30日版

<津田大介著「誰が「音楽」を殺すのか?」について>

出版業界で「ホンコロ」という言葉がはやったことがあった。佐野眞一氏著「誰が本を殺したか」のことで、この伝でいけば「オンコロ」である。私は音楽業界と音楽業界人が好きじゃない。私自身を含め、うさん臭い人間が多すぎるのだ。だから毒のやりとりをしたくないので、孤立した一匹狼で通している。仕事は狭まってしまうが自分で選んだ末なので仕方ない。で、この本もそういううさん臭さをまとっているのだろうと思いつつ読み進んだが、逆にそのうさん臭さを徹底的にやっつけているので久し振りに興奮する読書となった。いろんな情報もさることながら、各章に登場する対談の人間性がよくわかり、好感が持てる。特に佐藤剛氏の考え方には頭の下がることが多い。こういう人がいるんであれば、音楽業界も救える部分はある。さてこの本は大きく分けて4つの問題に切り込んでいる。まずレコード輸入権問題。いわゆる還流CD禁止という改悪法改正。私はJASRACの評議員会で問題にしたが、ほとんどの議員はそんな問題も知らず、JASRACは賛成の立場に頷くだけ。私とは立場の違う湯川玲子さんが反対の意見を表明したが、最後はJASRACへのエールで終わりチャンチャン。次にCCCD(コピーコントロールCD)の大問題。本当に音が劣化するのかということを詳しく調べ上げていて役に立つ。結局この問題は本が書かれた直後にエイベックスの社長交代劇があり、新社長はCCCD撤退を表明、JASRACの新会長はCCCDを擁護発言。全くJASRACの態度はヤだね。ナップスターをはじめとするファイル交換ソフトの話も私はやらないから知らない情報が多かった。そしてネット配信の問題。私は日本で最初に配信をはじめたミュージック・シーオー・ジェーピーの立ち上げの時から声をかけられており、多大な期待感はなかったが、auの日本独特の「着うた」には正直驚いている。でももうすぐI-Tuneが上陸するそうで、何やらレコード業界は激変しそうだ。



著作権コーナー 12月17日版

<冬ソナパクリ問題、すぎやまさんにカーッ!>

いささか旧聞に属することだけど「冬ソナ」の挿入曲が藤原いくろう氏という作曲家のピアノ作品のパクリじゃないかという問題が起こり、先方もなんとなく半分認めたようなのか6千万で手打ちしようなどという話があると週刊誌のネタになっていた。私自身は冬ソナにも藤原氏にも詳しくないので、パクリかどうかは分らないが、これ自体はまあ、ありそうなことだし驚かない。しかし私が問題にしたいのはその週刊誌に載ったすぎやまこういち氏のコメント。「これは間違いないですね。原曲のメロディライン、それと分散和音の使い方。コード進行、それにハーモニーのどれもがそっくりです。メロディがブレイクする部分も同じでここまでの類似は偶然ではありえない。盗作とみていいでしょう。」(週刊新潮2004年12月9日号)何を言うかすぎやまさん。小林亜星さんと服部克久氏の盗作裁判では、はっきりと居丈高に克ちゃん側につき、この程度の似方で盗作だと訴えられたら我々は仕事ができないと主張しまくったが、高裁で克ちゃんは負け、最高裁では、俎上に乗せずと門前払いをくわされ、亜星さんにお金を払うことになったのは、みなさんもご存じだと思うが、克ちゃんの代弁人にまでなったすぎやまさん、往生際悪く、評議員会で「最高裁が間違った判定をした」と日本の司法制度にたてついている。公的機関であるJASRACの「学識経験者枠」の理事としてはあまりにも不穏当な発言だ。こんな人物に聞き比べを依頼した新潮社もおかしいが、自分の立場もわきまえず、高裁が盗作を認めた根拠と全く同じ言葉で人を断罪するとは無責任極まりない極悪非道、ゆるせない、カーッ。



著作権コーナー 11月10日版

<JASRACの新執行部の考え方について>

 私はこのコーナーにおいて、6年間に及んだ評議員時代のことを振り返って何か書くつもりだったが、怠けている内に新評議員も決まり、新執行部も決まった。結局オヤオヤ、マタマタである。JASRACというのは、J-POPSからJ-CLASSIC、演歌から純邦楽、ビートルズからレゲエまで世界のあらゆるジャンルの音楽著作権の日本唯一の代表窓口でありながら、未だに問題の多い古賀財団ビルに間借りし、組織の顔(実は何の権利もなく象徴天皇のようなもの)としての会長は歴代、演歌の作曲家と作詞家のまわり持ちである。私が評議員になった時は会長はあの遠藤実氏(若い人は知らんだろうなあ)、次は作詞の大御所、星野哲郎氏、そして今回はまたも演歌の作曲家、船村徹氏である。こんな偏った人事は非常にケッタクソ悪い。私は演歌だからとバカにしているのではない。そうではなく、この世界の人は今の世の中にソッポを向き、腹の中は未だに、波止場、ブルース、酒、女、別 れ、恨みに充満し、NET時代の情報に通じている人は皆無といっていい。このような派閥に属しているのが、服部克久氏率いるJ-POPS系の日本作編曲家協会であり、また日本のクラッシック系を代表する日本作曲家協議会であり、その副理事長の三枝成章氏はJASRACの作家理事でもある。池辺さん(作家協議会の理事長)、あなたは恥ずかしくないのかねえ、立場的には演歌側をサポートしてるんだよ、全く。
 で、新執行部が全面的に打ち出したのは何と、あの問題の多いCCCD廃止に反対するとのこと。オイオイ!オレが評議員やめたとたんのあまりにもタイミングのよい表明。私はことあるごとにCCCDの問題点を提起し、即刻止めるべきだと主張し、加藤理事からは私的にはといいつつCCCD反対の考えまで引き出した。その時、評議員の大多数はCCCDという言葉を知らず、私の話を理解する人は皆無に近かった。それなのにあの船村大先生が、CCCD賛成だと・・・。私は常々、JASRACが醜い集金団体として嫌われる存在ではなく、少しでも音楽文化の貢献に寄与する団体になって欲しいと願って発言してきたが、なさけない。私が止めたのと、今回の表明は関係ないとしても、私がいたら大声で騒ぎ、いろんな所に討論を公開するだろうからやはり、私がいなくなったら、スーッと通 ってしまうのだね。J-Scatがどういう態度をとったのか是非知りたいものだ。そうそう、多分PCのハードディスクにも課金するようになるだろうなあ。これはJ-Scatの穂口氏が前からそうしろと言ってたよなあ。



著作権コーナー 4月30日版 〈最近のもろもろの話題〉

☆「サイゾー誌」4月号の作詞もろパクリ記事。 新堂敦士なるソングライターによる恐るべき作詞もろパクリがネット上で話題になっているそうだ。記事を読んで私もブッタマげた。これは亜星さんと服部さんの問題なんかの比ではない。また、JASRACの正会員がノンメンバーの曲データを盗んだ事件もあるが、新堂の場合、マンマならともかく、ほんのひと言ふた言変えてあるのが今迄で最も悪質だと思う。以下サイゾー誌から引用しよう。

Spark!
作詞・作曲 新堂敦士(2004年)
目を閉じて始めようノ
この夜はきっと約束のX-DAY 唇を重ね合ってノ
奏で合ってノ
(中略)
君とSpark! 踊るSpeed!
Baby 一瞬の火花の中で Spark! 
To brand-new space!

Spark The Yellow Monkey
作詞・作曲 吉井和哉(1996年)
目を閉じて始めようノ
この夜は誰のものでもない
唇を噛み合って
目弦がするほど抱き合って
(中略)
君とスパーク 愛のスパーク
Baby 一瞬の火花の中で うごめく獣のように

Crazy 4U
作詞・作曲 新堂敦士(2003年)
ひと吹きで消えてしまいそうな
儚い願い 言いかけて
また飲み込んだ

優しい歌 Mr.Children
作詞・作曲 桜井和寿(2001年)
一吹きで消えそうな
儚い願い 言いかけて
飲み込んで恥ずかしくなる

日本のポップス音楽業界のなれあい、もたれあいの弊害ついに極まれリ。みなさんはどう思われるだろうか。

☆ J-Popsブーメラン輸入禁止について。 私は、J-Popsは全く聴かないし、買ったこともないので、今回の問題にはあまり興味がないが、また国内メジャーレコード会社の断末魔の愚行だし、こんなことすれば、もっと追いつめられるのは必至。だいたいレコード会社の対応はすべて後手後手だし、はやりの言葉「自己責任」が全くない。この話とは別 に、今着ウタが流行り出しているが、AU関係者の話によると、実際の着信に利用している人は全体の2割で、あとはDLを保存し、HDにとりこんで聴いているそうだ。この着ウタが始まった時、各レコード会社は過去のオクラものが金になると単純に喜んで、新しいノンパッケージ商売にしてやられた。こういう風にすべてアイデアなしの後手後手の対応。自分たちの能なしを反省せず、ブーメラン輸入禁止なんて、なんのこっちゃ。著作権保護を盾にとるんなら、原盤権を海外に出す時、日本の作家保護の為という大義名分のもと、著作権使用料を日本国内と同じに高くすればいい。大体において、昔の昔からレコード会社は物すごい保護を受けていた。クラシックの国内盤が2000円の頃、そうだね、1960年代くらいかな、欧米からの輸入盤は3000円から3500円くらいして、とりよせに3ヶ月もかかった。その上、原則的には個人の輸入は禁止だった。それに比べると、クラシック国内盤NAXOSはバーゲンでは1枚800円くらい。私は今はほとんどNAXOSしか買わないけど、あの著作権使用料はどうなってるんだろうね。バルトークだろうがストラビンスキーだろうが、現代アメリカの40代の作曲家の新作でもみんな1000円以下。話はかわるが私はある企画もので、原盤提供の話が来たとき、競争相手のNAXOSの値段をきいてぶったまげた。あまりの安さに、こちらは全く歯が立たない。私が消費者の時はNAXOSさまさまだが、商売仇としては頭にくるね。でもこんな激しいつばぜりあい、国内メーカーはやってるのかね。各会社の特企でインディーズ出そうと思ったら、相かわらずプレス1枚200円なんて平気で言うよ。企業努力もなしに、ブーメラン禁止なんて自殺行為さ。

〈カバー編曲問題〉
東芝EMI「PE'Z」が無断で佐藤眞氏の作品をジャズ化した問題で、東芝EMIは何の問題もなしと対応しようとしたことに賛成する人が多いのだが、困ったことだねえ。私も「大江戸捜査網」のテーマなんて勝手なカバーされ放題。
このことについては面白い話がある。私は以前数人から、例の「筋肉少女帯」のピアニストが猛烈な「大江戸」ファンで、いろんな所でピアノで弾きまくっている、という話をききつつ、いい気分はしなかった。どんなスタイルで弾いているのか分らないし、著作権使用料も入っていない。でもそう角張ることはないかと見すごしていたら、大分たって御本人自身が私の前に現れた。今度、音友ホールでリサイタルをやるので、大江戸もやるから来てほしいとのこと。その人が三柴理氏である。彼はロックをやりつつ、片方ではブルックナーをピアノで弾いたりするオモシロイ人間で、すぐに意気投合し、その後、私のアルバム「玉 木宏樹の大冗談音楽会」でもピアノの大江戸演奏で参加してもらっている。このアルバムでは、サラリーマン組曲と題して、著作権バリバリの歌を替え歌にして、冗談化している。もちろん作家には一切断っていない。もうこのCD出てから7〜8年たって、未だに廃盤になってはおらず、また、誰ひとりとして文句を言って来た人もいない。私は編曲に自信があるのだが、きいた作家たちも笑わざるを得ないような工夫をしている。要は編曲のセンスと技量 が問題なのだ。同様な冗談ものとしてタモリの昭和歌謡史のLPが発売禁止になったことがある。それは「憧れのハワイ航路」のタイトルだけをイジリ茶化して「タソガレのオワイ航路」とパロッたつもりが、作詞家からの猛烈な抗議で発売はオクラになった。そりゃそうだろう。ダジャレの宴会芸を表に出しても面 白くも何ともないし、パロッたことにセンスやパロディ性がゼロだもん。
もうひとつ、カバーに関して、フランス系出版社の物すごいこわいこと。私は大分前、コロムビアから「鳥」をテーマのCDを出した。その中に面 白がってメシアンのトゥランガリラ交響曲の6楽章「愛と眠りの苑」を編曲してリリースした。それから約10ヶ月ほどして、そのディレクターとは違う人が、フランス物の著作権で大モメにモメているのを聴き、怖くなって、版元へ今更乍らの許諾を申請した。話によると、著作権のあるフランス楽曲のカバーは実は殆ど不可能な状態らしいと。そして、待てどくらせど、版元からは返事がない。そこで怖くなったディレクターはそのCDを廃盤にしてしまったのだ。またそれだけではなく、他のCDで私が編曲演奏をしていたラヴェルの曲もオクラになってしまった。それほど、カバー問題は神経質に考えねばならないのに、東芝EMIは国内の作曲家だからと、タカをくくっているようにしか見えない。おバカさんだねえ。


《著作権コーナー 2004/02/25版》

〈2/18のJASRAC評議員会〉

 去る2月18日(水)にJASRACの評議員会があった。私は少し前に、ノンメンバーのM氏から、メールのやりとりを通 じて、氏の作品がJASRACの正会員および制作会社に丸ごと盗用された事件の詳細を知り、評議員会でも問題にして欲しいというM氏の要望に応える為、朝から緊張していた。
 会は1時半からだったが、評議員に分り易く事件経過報告をまとめたA4判1頁の配付用資料のコピーをお願いする為に、1時にはJASRACに着いた。早めに6階に着くと、加藤理事からニコニコと、「今日の質問はいいねえ、今、ゲームの制作会社はインチキばっかりでイイ加減この上ないから、いいことだよ」と、変に激励された。私は自分の質問を封殺されない為にも事前に質問内容を書いてあったので、何を質問するかは分っていてもいいが、加藤理事から励まされるとは。私は「そんなこと言っちゃダメ。加藤さんの3、4年前のことも言うからね」と釘は刺しておいたが。
 さて、会は定刻に始まり、今年度の予算書についての質問と審議である。いつも思うが、たったの1時間ぐらいの審議で、予算書をあれこれはできない。結局、お墨付きの為の通 過儀礼にすぎない。それでも、立てた予算の数字から、昨今の音楽業界のドタバタぶりは充分わかる。

 ☆CDの落ち込みは相変わらずで、去12月、去年比90%。それに対してDVDは5割増し。
 ☆マイク一体型のカラオケは好調だが、カラオケ業界は不振。一方、着うたや映像配信が好調で、着うた業者は500〜600になっている。
 ☆支出の項ではコンピュータ関係が急増しているが、これは曲毎の楽曲報告が増加しているせいである(私は、これ自体はいいことだとは思うが)。

 さて、一応の予算書の説明は終り、審議に入った。私はオーケストラの演奏使用料について質問した。}
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●玉木
 先日、読売の夕刊で大きく、オーケストラとJASRACの対立が記事になっていました。去年から段々と演奏使用料を値上げしていくということにオーケストラ連盟は反対しており、全く応ずる姿勢はない。私はオーケストラの内情もよく知っており、また東京都響のように取り潰しにもなりかねないような流れの中で、オーケストラが大変なのはよく分るが、どういう風に対処してくつもりなのか。
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 この質問に対しては、全く紋切り型の返答なので、書きたくもないが、外国の数字が出たので書いておく。

☆日本は10年かけて、実質2.5%の使用料を目標にしているが、フランスは8.8%、独は8%、英国はクラシック4%、オペラ3%である、等々。

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 その他の理事の質問で印象に残ったものを。
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●すぎやまこういち氏
 PD楽曲ではない新しい曲の編曲の場合、12分の1であるとしても、その徴収が予算化されていないのはなぜか。(→答えは、「予算化できない」ということ)

●穂口雄右氏
 評議員会に対する出席率の悪すぎる人がいる。さだまさし、谷村新司は出席ゼロである。これはどこかで公表すべきだ。
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 小林亜星氏から、R・シュトラウスについての問題指摘。私は初めて知った。
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●小林亜星氏
 訴訟費の中身について、それに関連して。R・シュトラウスの作品使用に戦時加算して、JASRACは徴収していたが、戦時加算は違法だとされ、すると、JASRACは遡及して徴収料を戻さなければならない。そのお金はどこから出るのか。

●担当理事
 戦時加算として、2000年1月から徴収するようにとのGEMAからの通達に従ったまで。今の所、上演権では負けたが、演奏権はどうなるかということだ。
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 知らなかったねえ。R・シュトラウスはドイツ人だから枢軸側。負けた国なのだから戦時加算なんかつかないと思っていたから、「R・シュトラウスは大丈夫だよ」と私は言ってきたんだがねえ。
 とにかく前半は終り、予算はOK。休憩の後、例の質問へ。

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 ここで、正会員の作曲家によるノンメンバー作品盗用事件を簡単に説明しておこう。

 ノンメンバーのM氏が、ファンの方のBBS投稿によって初めて、市販されているドラマCDの中に自分の曲が数曲、そのまま使われていることに気付き、驚いて憤慨して当のレコード会社に文句を言うと、「自分たちは関係ない。それを制作したプロダクションと話をしろ」と言われる。
 そして、その制作会社に言ったところ、事実関係はその通り。その会社はJASRACの正会員A氏に確かにそのドラマCDの作曲を発注した。そして、その時、その作曲家の不得意なジャンルの要求があった為、参考用として、M氏が公表しているネット上のMP3データをダウンロードして渡した。そして、曲が出来上がって実際に制作する段階で、A氏の新曲のデータと参考用のデータを間違えた為に、このような事態になったとの説明。
 私は当事者ではないので、ここまで解明されるまでのやりとり等は全く分らないが、作曲家のデータと参考用を間違えるなんて、そもそも有り得るのか、そして、出来上がったCDを作曲したとノミネートされているA氏は全く聴いてもいないのだろうか。
 以上の経過を踏まえたA4判1頁の資料を全員に配布して、私は質問を始めた。質問は次の3つにまとめる。
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(1)以上の事件に関するJASRACの見解と対処の仕方は如何?
(2)J-WIDというJASRAC管理楽曲のデータベースがあり、そこには堂々とA氏が自分の作品として届けを出して、JASRACも受理している。事実は明白で、A氏の作曲でないことは制作側もレコード会社も認めてしまっている。これは、盗作かどうか、似ているか似ていないかではなく、そのままのデータコピーなので、言い逃れはできない。私はA氏と面 識がないので何とも言えないが、悪意に解釈すれば、確信的に窃盗を行なったことになり、その作品届けを受理したJASRACはそれを追認したことになる。そして、そのデータベースに載っている楽曲がどんな曲かと訊いても分るはずもない。JASRACはどんな曲かも調べないでただ受理しているだけ。こんなことが起こらないように、私は以前から、MP3等の音声ファイル、もしくはせめてMIDIでいいから、楽曲管理を改善してほしいと言っているんだが、どうか。
――――――――――――――――――――――――
 ここで(1)と(2)の回答を。
 (1)に関しては、もう紋切り型もいい所で、「確かに対応は遅れたが、一刻も早く解決したい」との一点張り。
 (2)に関しては、「あの曲は、音楽出版社からの作品届けであり、現在は音楽出版社が撤回を申し入れてきたので、それは外れた」とのこと。しかし、私は、「作曲家の個人名は残ったままだ」と反論したが、ノレンに腕押し。

 (3)の質問に移る。
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(3)加藤理事に対し、3〜4年くらい前、私の後輩の作曲家の問題で話し合ったことがあった。それは、制作会社が作曲家にプレゼンさせておいてボツと通 告、その曲が1年後に別のゲームに使われていたというもの。それを調べてみると、なんと、その制作会社が自分のものとして作品届を出し、受理されていた。その時、加藤理事は、「作品届を出されてしまっているから、しようがない」と言った。私はその時何度も、こういう不祥事が起こらないよう言ったのだが、今回のこのことまで何も改まっていないではないか。
――――――――――――――――――――――――
 その答え。

●加藤理事
 あれは、ゲーム制作会社との契約社員的作曲家だった時の作品だったから致し方なかった。ゲーム業界は極めてイイ加減な著作権処理をしてるので、これを機に警鐘を鳴らして、改善していきたい。
――――――――――――――――――――――――  
以上、大体のやりとりではあるが、問題点は明らかになっていると思う。私は最近、ノレンに腕押しのJASRACに嫌気がさし、疲れ始めているので、この辺でペンを置く。論理のすり替え、話をはぐらかすというのは、小泉さんの才能だが、あれは頭に来るけど、見事だと思ってしまうほど芝居っ気はある。しかしJASRACの回答ぶりは全く、こちらが疲れるだけ。たまりませんなあ、もう……。



《著作権コーナー 2003/11/22版》

〈JASRAC評議員会〉

 11月17日に、JASRACの評議員会があった。今回は、予算執行上半期の報告が主で、審議事項もなく、非常に低調でその分、何だか和気アイアイと終った。質問の時間になっても、誰ひとり挙手がないので、逃げ馬不在の競馬のように、仕方なく私が質問した。

●玉木
「細川理事に質問です。その前に、皆さんに経過報告として、少し説明させてください。少し前の評議員会で、コンサートの演奏使用料値上げの報告がありました。今年の9月から実施されるということで。私は、仕事上、よく広島県の福山市へ行くんですが、8月頃だったかな、丁度ホール関係の人たちの集まりがあるので、そこでJASRACの話などをして欲しいと言われ、丁度、演奏料改訂のことを説明しだしたら、その場の人たち――公共ホールの館長クラスですが――から、「誰ひとり、そんな値上げのことはきいてない。しかも補正予算さえ組めない時期に値上げなんて何だ」と、私は強烈に文句を言われました。私は基本的には値上げには賛成なんですが、その場では必死になって値上げの意味を説明したんです。東京へ帰って細川さんに話すと、もうずっと前から公文協(全国の公共ホールの団体)には言ってあるのに、下部には伝わってなかったようで、との話。そんな話ってありますか。酒税値上げで、団体には言ったけど小売店はきいてない、というようなもので、全く対応がおかしい。で、その後どういう風になっているかということです。
 それから、全くスケールの小さい話になるんですが、ウチの会社が出版業務を認められ、信託会員になったのですが、私自身のJASRAC会報の送り先と全く同じ住所なので、同じ物が2つ来る。こんな無駄 はもったいないので、会員室に「1つでいい」と言ったら、「そういうわけにはいかないので、受け取ってくれ」とのこと。経費節減の折り、チリも積もれば山となります。もっとフレキシブルに対応してほしい。

 これに対し、細川理事の答は予想通り。「あれからいろんな所に説明して、今は順調に行なっている」というが、うまく行かなきゃ困るんで、私はそういうJASRACの対応を問題にしてるんでね。それから会報の問題は、理事たちも失笑しつつ、「なんと頭の硬い、すぐにやめさせます」とのこと。ヤレヤレ。
 こんな質問が刺激になったのか、かなり低レベルで、しかし、面白い質問がとんだ。丘さんいわく「問い合わせの返信用に350円の切手を貼った封筒を同封したのに、返事が全く来ない。これは350円のネコババだ」とか、岸田さんから「くだらない役立たずのカレンダーは無駄 遣いだ」とか。これに対して私が立ち上がって「あのカレンダーはスカスカで空白だから、仮のスケジュールを書くのに丁度いい」と言うと、大分多くの人から、そうだそうだと賛成の声あり。
 もちろん、音楽出版社との契約に対する作家側への配慮の問題とか大きな課題もあったけど、とにかく、細かい質問が面 白く印象に残った奇妙な評議員会だった。



《音楽著作権とJASRAC問題 2003/07/08版》 〈JASRAC総会報告 その2〉

 もう大分日が経ったので私の中では新鮮味はなくなったが、重要なこともあるので報告の続きを。
 総会は2時間を過ぎ、審議事項第2の採決の後。田中議長は閉会を告げようとしたので、亜星さん、穂口さんが質問といって立ち上がったが、田中議長は一切の発言を無視し、何やら閉会の辞をブツブツ言い始めたので、二人は議長に詰め寄ったが、議長は顔色も変えず閉会を宣言して退場してしまった。二人はたまらず、理事たちに詰め寄った。田中議長、なんだか頼りなげに見えていたが、いや、なかなかのタヌキぶり。国会の強行採決の時の光景にもよく似ていて、そういえば、田中さんも衆議院の綿貫議長にそっくりだなと妙な感心。
 さて、亜星さんと穂口さんは激しく吉田理事長に詰め寄り一触即発。それを止めに入ったのが永六輔さんと中山千夏さん。約10分くらいは揉めたが、私は腹もへっていたので最後までは見届けず、懇親会の会場へ。会員の食欲はすさまじく、私が入った時にはもう半分以上が無くなっていた。
 そうこうしている内に、JASRACの人たちに囲まれ話している所へ加藤理事もやっと登場。亜星さんの言い分をきいてきたと。で、亜星さんは何を発言したかったのかというと、前回の評議員会に於て、すぎやまさんが、服部さんの裁判結果 に異疑をとなえ、最高裁は間違っていると発言したことに対する反駁をしたかったとのこと。つまり、JASRACという公的公益法人の理事、それも学識経験者枠で入った人が公的の場で判決に不服を述べるのは重大問題であるとのこと。そういえば、すぎやまさんは最初から審議事項以外の質問は受け付けるなと田中議長に進言しているが、なんだかなあ。
 それから加藤理事に「データ化の優先順位って誰が決めるのか」と訊いたら、もちろん、冗談顔で「オレ! だけど、こんなこと書かないでよ」なんて非常にタチの悪い冗談をいうので、ここに書き記しておく。こちらも冗談だからね。
 最後に、総会の1部と2部の間の休憩の時、吉田理事長から呼びとめられ、「玉木さんは加藤といつも同じことをやり合ってるけど、何も進展してないのかね」かといわれ、「全く進展はない。理事長だってボクの言ってることは重要だと思いませんか」「そう思う。よし、今度は加藤理事に言っておこう」との強いお言葉。ハハハ、期待して待ちましょう。



《音楽著作権とJASRAC問題 2003/06/27版》

〈JASRAC総会報告 その1〉

 少し遅くなったが、JASRACの総会の報告を。
 先週の木曜日(6月19日)、いつもは、代々木上原のJASRACに隣接するけやきホールで開かれる総会だが、今回は定足数が3分の1から2分の1へと増えたため、市ヶ谷アルカディアで開かれた。今年一の暑い日で、市ヶ谷駅からたった2分歩いただけで汗ダク。会場で顔合わせた全員、「暑い、アツイ」の大合唱。
 当日はいつもの湯山議長が先日の評議員会に続きお休みの為、まだ少し頼りなげに見える田中議長の宣言で始まる。1年間に物故された会員(その中には、山本直純氏夫人の正美さんの名も見える)に対する黙祷になり、星野会長、吉田理事長の挨拶に続き、加藤理事の決算書に対する説明。
 レコードの落ち込みは眼を覆うばかりの惨状で、去年の1割減。しかも今年度に入っては現在ももっと悲惨さが強まり、4〜5月では2割5分減とのこと。レコード業界もCCCD(コピーコントロールCD)なんてバカなフォーマット作って、自分の首をしめてるんだけどね。それに対し、インタラクティブ関係の着メロが、CD分をカバーしてなお、プラスになるほどの健闘で、今後は「着うた」に期待できるとのこと。そして東南アジアでの著作権啓蒙がやっと入口が見え、昨年度、台湾から約350万円、中国からは90万円の収入があったとのこと。当然、会場に失笑が広がる。ま、もちろん、加藤理事の「アリの一穴」発言は正しいが、うまく伸びていくといいね。そういえば私にも、台湾入金分が1円あったねえ、ハハハ……何の曲だか全く分らんが。それから意外なこと? にカラオケが頭打ちとのこと。
 その他、モロモロの説明ののち、細川理事にかわり、グラフのスライドをバックにJASRACの訴訟の実態と経費対効果 の説明の最後に監査報告があり、質疑応答に入る。しかし、田中議長の何度もにわたる「今日の審議事項はたくさんあるので、審議事項以外の質問はしないように」との言葉で何となく気分がそがれる。たしかに当日の審議事項は、第1「決算書について」、第2は「細目4項目にわたる分配規程の変更」で、たしかに時間はかかる。しかし、せめて最後に「その他」があってもいいのにといういつもの不満が生ずる。
 なんだか重苦しい雰囲気の中で質疑応答に入ったが、私が冒頭質問に立った。

********************************************************
玉木宏樹:
「先ほどの加藤理事のコンピュータ関係の支出説明に関して質問します。たしかに加藤さんはこんなにやっている、これにはコストがかかり、未来に向けて新システムが云々と縷々説明されたが、私は納得がいかない。いつも評議員会で加藤理事と対決するんだけど、いつもケンもホロロで、その実態を総会の場で明らかにして多くの会員に知ってもらう為にもう一度同じ事を質問したい。いろんなことをデータ化していることは分るが、肝腎の入金データがコンピュータ化されていない。だから分配の紙を見ても、入金のあった結果 の金額が書かれているだけで、その曲を一体、いつ、誰が、どのように使ったのかが全く分らない。放送使用で入金があっても、何の番組でいつ放送されたのかも分らない。
 いいですか、JASRACは我々の著作物を管理代行してお金を左右しているのだから、一種の金融機関ともいえるのです。あのいい加減な「りそな」でさえ、どこからの入金かは書いてある。また調べれば分る。しかしJASRACはいつも、これだけ入りました、というだけで、全く入金状況が分らない。私は過去の総会に於ても爆弾質問しました。私の過去の作品『怪奇大作戦』の徴収漏れが約450万円もあり、それに不審を抱いた私は、過去に遡って調査してほしいと言った所、データは全部書類なのですぐには対応できないとのこと。そして結局3ヶ月もかかってしまった。この現代に於て、なんで紙なんです。でも、紙でもいいから見せてほしいと言っても、それは難しいと言われる。
 どうして入金のデータを公表できないんですか。多くの人が、自分の分配に対して不信感を持っているのも、入金データを検索できないからです。加藤さんはいつも、それにはものすごい予算がかかる、多分15億くらいなんてはぐらかして、いつもケンもホロロ。そんなに金がかかるということなら、少しでも安くできる方法をお互いに知恵を出し合ってもいいでしょう。たとえば正会員だけから始めるとか、ダメなら評議員から始めるとか。また、そんなシステムに金がかかるのなら、それにアクセスする人から1回100円とるとか、今、変な年会費を2万円取られていますが、データアクセス用の別 会費なら払ってもいいと私は思うし、とにかく何らかの方法論をお互いに考えないと、いつまでたっても進展もなく、ケンもホロロ、この点を加藤理事、よろしくお答え願います。
 それからもう一点、これは審議事項とは直接関係なさそうなので、お答えはもらえなくてもいいですが質問します。それは委員会のことです。私は以前、DAWN2001関連の電子問題小委員会の委員をやっていました。私と安西さんと巻上さんでした。ところが、先般 の評議員選挙のあと、我々の所には一切委員会関係の通知も連絡もありません。あの小委員会はどうなっているのかということと、私たちは罷免されたのか、その辺が全くわからない。できればお答え願いたい」

********************************************************

 私は実は2つ目の質問はしたくなかった。なんだか自分のことを質問するのは気が引けるしね。しかし、評議員選挙に落選した安西さんから、あれはどうなってるの? と言われては質問せざるを得ない。
 いずれにしても、真っ先に手を上げて質問するのは、ドン・キホーテ的で我ながらみっともないし、心臓が飛び出しそうなほど緊張するのに、信用しない奴(加藤さん、アンタだよ!)がけっこういるので傷付くねえ。
  *  *  *  *  *
 さて、私に対する加藤理事の答えが全く老獪な古狸的で、心臓の飛び出しそうな私の質問を手玉にとって、見事に掛け合い漫才に料理されてしまった。アーア……。

********************************************************
加藤理事:
「私がケンもホロロの態度だなんて、とんでもない。いいですか、玉木先生、私は、アナタのような鋭い質問をいつも待ち受けてるんですよ。玉 木先生のような質問が我々を奮起させるのです。大歓迎こそすれ〈←もう演壇を叩くようなオーバーな小泉調ゼスチュア〉、ケンもホロロなんて、とんでもない。いつも真剣に答えてます。
 まず答えやすい方から。委員の件ですが、任期は評議員選挙までということです。また、それ以後、あの小委員会は開いていません。〈――中略――〉でもまた、今のシステムが整理できたら、また未来へ向かってのネット関係の集まりをやりたいと思っています。その時にぜひ参加して下さい。
 それから、第1の質問の件ですが、とにかく今やっている、放送関係、レコード関係の入金補足のシステムの完了を先にしなければならない。それが完成すれば、自然と玉 木先生のおっしゃるような状態になります。〈私の「何年位か」の質問に〉まあ、7〜8年でしょうか〈私は大笑い〉。ですから、物事にはすべて優先順位 があります。私は今の進行が一番いいと確信しています。正会員だけのスタートとか、評議員だけとか、それは逆に大問題が起こります」
********************************************************

 これがケンもホロロでなくて何というのか。案の定、会場は出来の悪い掛け合い漫才を見たような雰囲気になってしまった。以下、簡単に他の人たちの質疑を記す。

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穂口雄右:
「評議員会、総会発言者は公表されるのに、委員会、理事会は公表されない」
加藤理事:
「機密もある。しかし本来、すべてオープンにすべき。しかし、反対者もいる」

すぎやまこういち:
「議長、審議事項以外の質問は即刻やめさせるべき」
〈→のちのち、この不規則発言が効いてくる〉

水野〈毎回の名物さんではない方〉:
「著作権思想普及の事業について訊きたい」
加藤理事:
「中学以上の指導要項に著作権のことが入った。その他モロモロやっている」

都倉俊一:
「アジアに対する啓蒙予算を組んでもいいのではないか、JASRACのODA版とか」
加藤理事:
「東南アジアの日本への研修生には、実はODA予算が使われている。その他JAICAとかWIPOとか」

穂口雄右:
「〈すぎやまさんに対する激しい反論ののち〉CD-Rを通り越して、ハードディスクに対する私的録音とか、新しいメディアに対する、JASRAC執行部の強い決意を!」
細川理事:
「新しいメディアに法的整理がないことに危機感はある。4月以来、権利者、メーカー、消費者との意見の場を持っている。ICチップやiPOD(mac)への意見集約、政令指定を拡げ、法改正に向かう努力をしている」
********************************************************

 最後には櫻井さんの会費問題への言及、つまり、会費でまかなわれているNHKエンタープライズ制作におろす360万の予算。営利との線引きの問題。
 とにかく審議の「1」は終わり、休憩。
 2部については、技術論のやりとりで、すごい大問題なのだが、一般的ではないので割愛する。
 総会の終了の仕方が非常によくなく、質問を断ち切った議長席に、小林亜星氏、穂口雄右氏たちが詰め寄り、プロパー理事たちと一触即発のケンカ腰。

 その原因とか言い分、終わっての懇親会での模様等は次回に。




《著作権コーナー 2003/06/06版》

 6月3日にJASRACにて定例評議員会。今回は会長の星野さん、議長の湯山さんが欠席のため、不慣れな田中さんが議長で始まる。今回は、審議事項も多く、最後には評議員を辞任した服部克久氏の後任を決めるための選挙もあり、田中さんでうまく行くのかなと少し心配。
 まずは、総会に提出する決算報告の審議。吉田理事長、加藤理事の細かい報告はあったが、大きな流れでいえば、CDの徴収が激減し、その分着メロの大幅増収が穴埋めしたということだが、質問に入り、私はすぐさまコピープロテクトCD、いわゆるCCCDについてのJASRACの姿勢を糾した。CDの売上減は違法コピーだと言うが、CCCDに対する消費者の反発が原因のはずで、音跳び、音質の劣化、使用できないプレイヤーがある等、消費者への侮辱は即、著作権者に対する侮辱でもある。この点を何とかする意志や発言はないのかと質問したが、相変わらずのヌルヌル発言である。
 途中いろんな質問もあって盛り上がりもあったが、割愛する。中でも、音楽出版社と作曲家、作詞家、編曲家の取り分の取り決めについて、かなりの激論があったが、かなり技術論的な側面 が強く、一般には興味をひかないだろうから、いずれ項を改めて問題提起したい。
 審議事項は終わり、評議員選挙。なんだか子供の時の学級委員の選挙のことを思い出してしまう。中山千夏さんに国会での模様を訊いたら、不在者投票以外は似たようなものだとのこと。何だか妙にヨソ行きの雰囲気の中で、かなり多数の得票で平尾昌晃氏が選ばれた。私は入れなかったが、まあ妥当な所か。ここですべては終わったかのように見えたが、最後に田中議長の「その他」について入った途端、雲行きが変わった。有川正紗子さんの爆弾発言である。
 要旨は以下のよう。

****************************************************
☆先般の亜星さんと服部さんの裁判は亜星さんの勝利が確定し、服部さんは責任をとってやめられた。それに関して、強力に服部さん側に回って証人となった川口真氏、小六禮次郎氏、すぎやまこういち氏、羽田健太郎氏も同様に責任があるのではないか。各人の意見をききたい。また、私は前の評議員会でも同様の質問をした結果 、私の分配に於て、経済的制裁を受けた。これを解明してほしい。
****************************************************

 この経済的制裁の発言は、JASRACもギョッとなったようだが、別に根拠のある発言とも思えず、いささか有川さんの走りすぎか。
 これに関して、私もまた発言した。

****************************************************
☆かなりの会員が自分は正当な配分を受けていないという漠然とした疑いを持っているが、この疑いを払拭する為にも、入金のデータ、使用状況のデータをコンピュータ化して、いつでも誰でも見られるようにしてほしい。
****************************************************

 これに対する加藤理事のはぐらかしは、もう話にならない。
 そして、名指しされたすぎやまさんが、猛然と反発したが、彼は飛ばしすぎてとんでもないことを口走った。

****************************************************
☆審議に於て、座ったままでずっと反対しておられる方が何人もいる(※私もその一人)。反対の為の反対は醜い。反対の人は反対の根拠を述べてほしい。
****************************************************

 これは明らかにすぎやまさんの暴言で、私や中山千夏さんは小躍りして喜んだ。ハイハイ、うんと時間をください。言いたいことは山ほどありますのでねえ。
 最後に、亜星さんの「どこまでも行こう」の楽曲管理会社が、JASRACを訴えたそうで、JASRACも対処に苦しんでるようだ。


《著作権コーナー 2003/2/27版》

〈評議員会報告その2〉

 日が経って、記憶も薄れてきたので、重要なことだけ簡単に記しておきたい。
 すぎやま理事の報告によると、昭和59年に認可された演奏会等の現行規程は、とても世界の現状に合わない。現行では一公演あたりの包括使用料は入場料収入相当額に対する2%だが、諸外国とくらべて低すぎ、各国から苦情が来ている。ちなみに、仏は8.8%、独は8%、スペイン10%、南米諸国も8%から10%、東欧でも8%。このため、一公演あたりを5%に引き上げる提案である。また、最大入場料収入の最低が100万円とし、最大が3億円以上の場合、現行では最低の100万円の場合一律26000円と高すぎ、これを1万円とし、最大の方を高くする。そして、一挙に高くはできないので2%から始め、9年間を周知期間とする、ということだ。
 これに対してはおおむね反対はなかったが、赤字に近い零細コンサートは純音楽に多く、その救済処置について活発な意見が出た。
 私もそのことについて発言したが、今考えると、3億円も収入の有るコンサートが20万円というのは安すぎるのではないか、もっと大幅にアップすべきだと、強力に主張しなければならなかったと反省している。また、包括使用料、つまりブランケットだが、これも分配方法に疑惑が生じる可能性があり、今後の課題となる。


《著作権コーナー 2003/02/24版》

〈評議員会報告〉

 去る2月19日(水)にJASRAC評議員会が開かれた。
 審議事項は、事業計画、収支予算書についてと、演奏使用料規程変更について。

以下、質疑応答の一部。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――

●野坂昭如:
 少し前にJASRAC勝訴の件があったが、その内容と裁判費用について、お訊きしたい。

●担当理事:
 名古屋のダンス教室の件で、3600万円の勝訴になりましたが、大分安くなってしまいました。裁判費用は常識の範囲内です。

●玉木宏樹:
 音楽文化の振興という条項があるが、定款にそういう文言がありますか?

●加藤理事:
 (読み上げる)

●玉木宏樹:
 では伺いますが、音楽文化に対してのJASRACの対応です。いま、テレビ、ラジオでは恐るべき音楽の浪費をして、不必要な音楽を垂れ流ししています。バラエティやワイドショウでの音楽の使いすぎ、ニュースのバックにまで音楽を流す。NY のテロの映像に『シンドラーのリスト』の音楽を流した局もあったり、また、事件の追っかけシーンには『スパイ大作戦』のテーマが流れる。私の『大江戸捜査網』がCDになったとたん、ニュース番組に使われる。私なんか、どんな音楽でも頭の中でコピーする習慣があるから、ニュースのバックに音楽が流れると、非常に疲れる。
 こういう音楽状況は音楽文化を破壊する行為であり、こいう音楽の使い方に対してJASRACは文句を言えないのか。また、こういう使われ方は、ブランケット方式に原因があり、局は音楽を使わなきゃ損という風潮になっている。放送等の項目でも、「電子的曲目報告の実現」とは書いているが、ブランケットをやめるような方向は書かれていない。いつまでブランケットを続けるのか、続けるつもりならば私は代案があるが、この場では言わない。今後も何度も質問し続けるのでよろしく。

●加藤理事:
 たしかに、ヨーロッパのテレビはもっと静かで上品です。日本のテレビはひどすぎる。しかし、我々は、使用報告を受ける立場でしかなく、どういう風に使えとか許諾するとか、そういうことは言えない。たしかに変な編集というのは困るが、これは作家の人格権に関わることなので、JASRACとしては何ともしがたい。

●玉木宏樹:
 しかし、音楽文化の振興という主旨からすれば、音楽文化の破壊行為に文句を言えるはずだ。

●加藤理事:
 たしかに、行き過ぎは認められるので、今後民放連には言っておきます。

●玉木宏樹:
 ブランケット方式はどうするのか。

●加藤理事:
 すべての曲の個別報告に対応することは不可能。包括使用は続けざるを得ない。しかし、2011年に地上波が全部デジタル化されれば、原理的にはすべてを明らかにすることができる。

●永六輔氏:
 JASRAC主催のシンポジウムに出席したが、その場の録音が無断コピーされて出回っている。こんなバカなことがあっていいのか、著作権を守るJASRACとして、こんなことをしていいのか。

●担当理事:
 記録用にビデオをとっていますが。それは事務所にOKをとっているはずですが。

●永六輔:
 きいてないし、OKしていない。

●担当理事:
 よく調べて、後ほど御連絡します。

●櫻井順:
 文化事業について、文化庁との関係において、文化振興の基盤整備という言葉があるが、なんか土木工事に使う様な文言。これをどう思うか。

●吉田理事長:
 (苦笑しながら)たしかに、音楽には相応しくない言葉ですな。

●櫻井順:
 文化事業として、「すばらしき音楽仲間」と音楽療法関連があるが、これは果たして公平かどうか。

●すぎやまこういち:
 誰にとって公平かというのは一概には言えないはずだ。

●穂口雄右:
 4つ質問があります。
 (1)CD-Rが私的録音補償の対象から外れているのは問題ですが、もっと大問題なのは、ハードディスク・コピーです。いまやパソコンシェアはウインドウズが90%。こういう状況に対して、マイクロソフトのOSそのものに私的録音補償を求める考えはあるか。

●担当理事:
 私的録音補償は11年前の取り決めで、今日的状況は想定していない。MSに対しても要求していきたい。

●穂口雄右:
 (2)世の中、リストラ時代、JASRACも人件費を削減しなきゃだめだ。

●加藤理事:
 たしかにおっしゃる通りですが、JASRACはある時期、新採用を見送った時があり、その結果 、人員構成がとてもイビツなヒョウタン型になっている。しかし、改善はしなきゃならないのは充分分っている。

●穂口雄右:
 (3)放送使用料の改善のメドは。

●加藤理事:
 なかなか進展していないように見えるが、努力はしている。毎年、6.8%増の複利で計算すれば、数年で現在の倍になる。

●穂口雄右:
 (4)電子透かしの現況は?

●加藤理事:
 オーディオでは4社が実施に参加し、成功している。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 重要なことは上記までとして、第2の演奏使用に移る。JASRACの演奏使用料が諸外国にくらべて安すぎることをすぎやまこういち氏が説明したが、以下のことは次回に。


《著作権コーナー 2002/11/25日版》

〈JASRAC評議員会・続〉

 以下の文章は、11月20日の評議員会報告の後半である。前半は、この項の1つ前にあり、未読の方は、そちらから読んで頂きたい。

*******************************

 さて、私の質疑のあとは、名物評議員・穂口右雄氏の細かい質問が羅列。

●穂口右雄氏
 JASRAC以外に管理団体がたち上がっており、若い作曲家たちは、JASRACとの違いを意識している。そこで、若い人たちのJASRACへの誤解があるかもしれないので、8項目、簡単にイエス・ノーでいいから答えてほしい。

(1)JASRACに入ると高額な手数料をとられるというのは?
加藤理事:少し高い。

(2)楽曲使用の制限が多いというのは。
加藤理事:単なる取り次ぎと、信託とは違うので、その点を分ってほしい。

(3)JASRACはメロディだけでは管理しないというのは?
加藤理事:それは誤解だ。

 ――――――――――――――――――
(4)〜(6)に関しては、メロディに対して、伴奏形とかコード進行の変更等についての細かい質問だったが、時間の流れが早く、また細かい質問が多く、私の記憶力ではついていけなかったが、加藤理事も当惑気味の答えだった。
 ――――――――――――――――――

(7)若い人たちは、自分が生まれる20年位以前の曲の著作権を無視する傾向があるようだが。
加藤理事:国によっては死後50年以上の国もあり、財産権なんだから、守り正さないといけない。

(8)著作物違法使用の場合、20倍以上のペナルティをとられるというのは事実か?
加藤理事:20倍はオーバーだが、包括契約の範囲を超えた場合、最大で5〜6倍のペナルティを課することはある。

 ――――――――――――――――――
 JASRAC以外の新しい管理会社の実態についての質問もあったが、立場上からか、JASRACは気にしているようなしていないような曖昧な返答で、まあ、これも議事録に載ることもあり、仕方がないのかも知れない。
 ――――――――――――――――――

 メロディ管理について、小六氏と穂口氏の間で応酬があったが、私にとっては細かいことに思えたので割愛。その他の質問もあったが、冒頭の有川さんの質問に対するJASRACの回答。

●加藤理事
 高裁の判決は承知しているが、上告の最中でもあり、その結果を見守りたい。今現在は管理から外してはいないが、分配は保留中である。

 ――――――――――――――――――

 最後に中山千夏氏から面白い問題提起。

●中山千夏
 男女雇用機会均等について、JASRACはどのようにお考えか。

●加藤理事
 (やや苦笑気味に)理想と現実はなかなかうまく行かず、私も至らない所は反省したいと思っています。

 けっこう笑いと激励が飛んだ。何せ壇上のプロパー理事はすべて男性だけなのだから。[この項終わり]


《著作権コーナー 2002/11/21日版》

〈JASRAC評議員会〉

 11月20日にJASRACの評議員会があった。
 予算執行の中間報告が主たる内容であり、いま現在の大問題は特にない。という訳で、出席者もいつもほど多くはなかったが、まあ、それなりに面 白いこともあった。

***********************************

 13:30、湯山議長の、本日の議題、つまり収支中間報告、及び、管理手数料の件で会議を行う旨の開始宣言直後、作詞の有川正沙子氏から緊急質問がなされた。要旨以下の通 り。

●有川正沙子
 JASRACの評議員仲間である、小林亜星氏と服部克久氏の裁判があり、先日、高裁にて小林亜星さん勝利の判決が出ました。それに対してJASRACの楽曲管理ですが、どうするおつもりなのか、やはり管理の対象から外すべきではないのでしょうか。

――これに対しては、議長、加藤理事が反発した。

●加藤理事
 すみませんがね、まず質問の前に私たちにいろんな報告と説明をさせてください。質問はあとで充分に時間をとってますから。

●湯山議長
 質問は、今日の議題には入ってませんので、いま却下してもいいのですが、あとで考えましょう。

***********************************

 というわけで、会長、理事長、加藤理事から挨拶と収支報告、手数料改定についての報告が始まった。
 予算執行の中間報告でもあり、そう面白い内容ではないのだが、加藤理事の再三にわたってのCD売上激減による減収が予測がつかないという暗い話、そして、着メロに関する面 白い話があった。それは、現在約30社、1000システムの着メロ、使用報告は約600万曲に及ぶとのこと。しかし、そのうち、自動コーディングが80%しかマッチしない。そのはじかれた20%が、実はPD楽曲らしい。そこでJASRACとしても、事務の円滑化の為、マッチしないPD曲も、よく使われる曲については、データ化しないとダメだということに気がつき、金はかかるけども現在対処中とのこと。また、放送局とのデータ上のやりとりでの全曲報告(EDIと呼んでいる)も、FM32局とはやることになったこと。映像のネット配信についての使用料徴収について、団体と協議中で、大難航したが、経団連が仲介に入り、もう一歩の所まできている等の話があった。そして、すぐさま管理手数料の改定の報告になり、スライドに映った数字をもとに根拠の説明、紙もなく、ただ映りの悪いスライドでの説明はシンドかった。でも改定というと値上げの多い昨今、値下げの根拠の説明なので、まあ、いいか。
 ここで質疑に入り、私はイの一番に挙手して質問した。

●玉木
 いつもなら報告や審議は1と2に分けて進行するのに、今日は2つ一度に進行したので、私の質問も両方に亘ります。その前に、先ほどの有川さんの質問の件ですが、今日の議題に入ってないから受けないというようなことはおかしい。この場でしか質問できないこともあるはずなので、せめて「その他」という条項を設け、質問を受けて欲しい(数人から拍手)。
 さて、私の質問ですが、まず収支報告について。加藤理事はさかんにCDについて、予測不能という暗い話をしていたが、最近のCDは、コピープロテクトの為のCCCDシステムが流行りだしていることを、どう受けとめておられるのかききたい。巷間ではこのコピープロテクトは大変評判が悪い。音が劣化する、とか、macなら素通 りだとか……。こんなひどいコピーガードなんて、逆に違法コピーを助長するようなものだとか。JASRACとしては、これに対して答えられる立場にないのはよく分るけれども、権限云々ではなく、どんな感想をお持ちかだけでも伺いたい。
 それから管理の問題ですが、編曲著作権の場合、私なんか、同じ曲を何度も違う編成等で編曲し直している。たとえば、玉 木編曲「子犬のワルツ」が編曲審査委員会で1回認められると、あとはどんな編成や中身でやろうと、全て玉 木編曲で一括される。これは私もいちいち報告しなくてもいいという楽な面もあるけど、先日、すごく困ったことが起きました。今年の始め頃、音楽之友社から出版された私の編曲楽譜に「子犬のワルツ」他、今までにある沢山の曲を掲載しましたが、音友としては出版社契約をしたいとのこと。まあそれも一理あるのですが、困ったことに、それを認めると、私が10年以上前に編曲したものでも、たとえば「子犬のワルツ」が音友と関係なくコロムビアでCD化されていたものまでも、全て音友が出版権を持つようになってしまう。この辺のことはこの場で詳しくは述べないが、もうちょっと編曲審査委員会ともども、改善してもらわないと、管理手数料を払う意味がない。以上の質問にお答え願います。

●加藤理事
 CCCDに関しては、あのー、私の個人的な意見だけ言わせてもらいますと反対です。あんなことしない方がいいに決まってる。だけど、じゃ、どうしたらそんなことしなくてもよくなるかということを考えなきゃいけない。ネット上でいうなら、違法プロバイダの摘発で、JASRACは実績をあげている。そういう実績の積み上げによって、変なコピーガードなんかしなくてもよい方向に持っていくしかない。2つ目の質問には、斉藤さんの方から。

●斉藤理事
 (かなり紋切り型の通りいっぺんの答えなので割愛。最後に私は質問した)

●玉木
 そういう型通りの答えじゃ私は満足できない。反論したいことは山ほどあるが、今はやめます。実際にどういうことがあったかは、担当者に直接話をきいて下さい。

***********************************

 次に、穂口雄右氏が質問に立ち、笑わせてくれた。それに対する小六禮次郎氏の反論、また、有川さんの質問に対するJASRACの見解に関しては次回に……。


《著作権コーナー 2002/9/10版》


〈小林亜星さん、服部克久さんに勝訴の件〉

 私はもともとこの裁判には興味をもてなかった。

 というのも、私の印象としては、亜星さんのメロディはどちらかというとPDっぽく、誰もが書きそうなメロディに思えたし、一方で克ちゃん(服部さん)のメロディは、あまりにも露骨に似すぎている上、コード進行も同じでサイズも同じとなれば、何をか言わんや、亜星さんの勝ちは間違いないと思っていたら、何と負けてしまった。あー、いやな裁判だなあと思っていたら、つい先日、2審で逆転勝訴となったが、テレビを見ていて驚いた。J-scatの仲間で、私とも親交のある作曲家・安西史孝氏が、コンピュータ解析し、2つのメロディを同時に流した所、ほとんどが重なって聞こえてしまい、あれでは誰が聞いても(音楽性の無い人なら余計に)やはり同じメロディにしか聞こえない。

 安西さん、よくやったよ! とは言いたいのだが、何となく全面的にはうなづけない気がする。というのも、もいちど書くが、亜星さんのメロディ自体、以前に誰かが書いたようなPDっぽい曲であり、あまりガンジガラメにすると自縄自縛、自家撞着になりかねない危うさがある。もっとも、亜星さんも、相手が克ちゃんだから訴えたんだろう。売れてない若手相手だと、ああもムキにはなるまい。しかし、克ちゃんも稚拙。「ドレ、ミーーードシードレドー」の部分が一緒くらいなら何ともないだろうが、続きが4度のコードになるところまでが全く同じだと、シャレにもならない。

 私がPDっぽいメロディを感じるのは、フォーク系に多い。どこにでもありそうなメロディに詞をのっけている様な曲は、どうも聞いてて居心地が悪い。マイク真木の「まっかなバラ」(作曲は浜崎さん?)なんて、ほんとに困っちゃうね。あんなメロディにオリジナルの著作権を認めるのかねえ。出だしなんて、ドイツ民謡に沢山ありそうだし、「結んで開いて」なんかとも共通 性が感じられる。5小節目の4度のコードの部分なんか、亜星さんのメロディの後半と同じとも言える。

 やっぱ、いまさら手垢のついたドレミ節は避けるべきだろう。でも克ちゃんの言葉で「そんな曲があったなんて記憶にない」というのは、絶対ウソだと思う。少なくともプロの作曲家なら、ものすごい記憶力があるはずで、「このメロディ、何かに似ていないだろうか」というのは作曲家全般 、いちばん脅えていることだからである。


《著作権コーナー 2002/8/30版》


〈編曲著作権管理の複雑怪奇〉

 今日は、MIDIでもなく、コピープロテクトのことでもなく、もっと地味な、編曲著作権の管理の問題だ。

 JASRACの管理に編曲著作権があるのを詳しく御存知だろうか。ポップスの新作なら、譜面 の書けないメロディ・メーカーの曲をちゃんと聴けるようにプロのアレンジャーが関与するが、この場合、アレンジャーには、作詞・作曲家のOKが出れば、編曲著作権として、たしか12分の2の収入が発生する。これは比較的分かり易い。しかし、編曲著作権にはもうひとつのジャンルがある。それはPD曲、つまり、原著作者の権利が消滅している曲を編曲し直した時に発生する権利である。

 例えばバッハのメヌエットならPDだが、そのメロディを流用した「ラバーズコンチェルト」には著作権がある。同様の曲として、「レモンのキス(ポンキェルリの時の踊り)」「情熱の花(エリーゼの為に)」「パラダイス・ア・ゴーゴー(ボロディンのダッタン人の踊り)」等、かなり沢山の曲がある。それでもまだ分かり易い。いちばん分かりにくいのは、題名も変更せず元の曲を編曲した場合である。例えば私はショパンの「子犬のワルツ」をいろんなスタイルや編成で何度か編曲している。しかし、ただ編曲しただけでは、直接の編曲料はもらえても、著作権使用料は誰も払ってくれない。

 PD楽曲の編曲に著作権が生ずるのは、JASRACの編曲審査委員会に、原曲譜と編曲譜を提出し、審査の結果 、妥当な編曲と認められて初めて編曲著作権が生まれる。それでも、これはレコード、出版、コンサート等で「編曲:玉 木宏樹」と名言してくれないと入金は起きない。なぜなら、「子犬のワルツ」の編曲など山ほどあり、編曲者の名前がないとどうにもならないからだ。

 JASRACに入った方がいいかどうか、とか、あんな所へ入るのはまっぴらだという人も多いが、今のところ、編曲著作権を扱っているのはJASRACしかない。だから、編曲の仕事が多い人は入会して編曲審査を受けないと、貰えるものも貰えないから、やはり入った方がいいのは当然だ。

 ところで私は以前、JASRACは詞の管理はするがメロディの管理をしていないのは大問題と、このコーナーでも書いているし、JASRACの評議員会でも何度も大声で言っているが、一向に実現の方向がない。ここで、私事ながら、けっこう厄介な事態が起こった。それも、メロディ管理、譜面 管理をしていないことから起こったことである。さっき、編曲譜を提出すると書いたが、それは譜面 を管理する為ではない。それは原曲と照らし合わせ、委員たちが、これは手を入れた編曲と認めるかどうかの為でしかないので、終わったら、曲名と編曲者名だけがコンピュータに登録されるだけで、編曲譜は何事もなく返却される。

 ここですごい変なことが起こる。例えば、「子犬のワルツ」の場合、弦楽四重奏用に編曲した譜面 を提出して編曲権が認められたら、他の編成で編曲しても、再び届ける必要はない。なぜなら編曲届けに編成を書くところが無いからだ。だから、どんな編成であろうと、一度登録されたら、極端なことを言えば、「子犬のワルツ」を4拍子のボサノバにしても、タンゴにしても全て、玉 木宏樹編曲と明示していれば同じ扱いになる。

 これは、毎度毎度届けを出さなくてもいいので楽なようにも見えるが、以下のようにとても困った問題も起こる。

 私は最近、音楽之友社(以下、音友)と付き合いが深く、水野佐知香さん母娘用に編曲した2台のヴァイオリン用の譜面 が評判よく、重版を重ねている。そこれは、クラシックのよく知られた作品の、2台のヴァイオリンの為の編曲と、2台のヴァイオリンとピアノの為の編曲が並んでいる。で、その中の曲は、もちろん「子犬のワルツ」あり、「バッハのガボット」あり、「シューベルトのセレナーデ」あり、その他超有名な曲が沢山ある。もちろん、過去に2台のヴァイオリン用には編曲していなかったので、全てが新編曲だが、ほとんどの曲は過去にいろんな所で編曲したものが多く、中には5、6回編成替えしたものもある。でも、2台のヴァイオリン用は初めてなので、出版にあたり、音友としては出版権の契約を要求してきた。まあ当然のことなんだけど。

 ここで出版権をあまり知らない人の為に簡単に書くと、私の編曲で音友から譜面 として出た曲は、全て音友経由の入金となり、半分は音友の収入となる。これは本来、出版権を持った者は、その曲の普及の為に全力を尽くすことになっているからだが、それは有名無実。とにかく使われたものは全て音友経由になる。

 ということは、私が契約してしまうと、とても変なことが起こる。というのは、音友以前にいろんな編曲をして既に直接JASRACから入金されていた曲のお金が、全て音友経由で半額になってしまう事態が起こるのである。「話はカンタン、音友用の編曲だけに限定すればいいじゃないか」という声が聞こえてきそうだが、そうではない。なぜなら、JASRACは譜面 管理をしていないから、誰かがコンサートで玉木宏樹編曲の弦楽四重奏用の「子犬のワルツ」を演奏しても、ボサノバ用の編曲でも、全て同一曲とみなされ、音友経由の入金になってしまうのである。

 これを補う為には、「2台のヴァイオリンの為の“子犬ワルツ”」という曲名にて新たに届けを出すことだが、いちいち全ての曲名に「2台のヴァイオリンの為の」なんていうサブ・タイトルを付けるなんて、どこも出版社でもやらない。

 まあ、ある程度、解決はついたが、ものすごく悩ましい問題であり、まだまだ将来に亘って何かが起きそうな気配がしている。  特に、編曲物の場合、JASRACが譜面管理をしてくれればいいのだが、そうはいかないんだろうね。


《著作権コーナー 2002/6/28版》


〈総会報告続報〉

 さて、私の質問を嚆矢に、多数が質問に立ったが、あまりJASRACの根幹にふれることが少なかったので割愛して、私の友人の作曲家・安西氏の発言を書いておこう。彼の場合、質問というよりは、私の質問への回答のようなものだった。

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安西史孝氏:先ほど玉木さんから、友人の作曲家で第二に行った人がいるとのことがありましたが、それは私です。私は支分権を行使して、Eコマースに作品届けを出しましたが、はっきり言ってあそこは駄 目です。作品届の書式がひどすぎる。やたらとコピぺばかりさせられて、たかが50曲くらい届けるのに徹夜になってしまった。あんなの、やってられないですよ。その点、JASRACの方がすっきりしてていい。
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 彼の発言は重大だし、興味がある。私がここに書いたからといって、Eコマースの人がすぐに読んで反応するとは思えないが、総会の模様はいずれ会報に載ることだし、総会の出席者の中に、Eコマース関係の人がいなかったとも言い切れないので、また、安西氏の発言はいずれ、口コミで伝わっていくだろうから、ここで私が書いても何の問題もないだろう。
 しかし、JASRAC、油断のないように。音楽著作権行使のすべてを把握できるのはJASRACしかないのだから、これからの時代に即応していける体制を整えてほしい。
 最後のほうで、穂口雄右氏が、JASRACが古賀財団から間借りしているビルの貸借権について、値下げ交渉はしているのかという質問がなされた。加藤理事は、もちろん交渉しているし、値下げにも成功しているという話。最近、古賀問題は下火だが、こういう質問はよいことだ。
 休憩後、第三の議題に移った。それは放送使用料の改訂について。内容は大部分テクニカルなタームなので、説明は省きたい。質問に移り、私は以前から疑念のある問題を質問した。

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玉木宏樹:放送局における番組への音楽の一時固定についておききしたい。著作権法によると、ビデオ等へのCD等録音物の一時固定は、本局が行わなければならず、下請け制作会社がやってはならない、となっている。また、ローカル局への提供番組もキー局がやるようにとなっている。しかし、現実面 はあまりにも違いすぎる。テレビ番組の制作の現状は全く違っている。殆どの番組は下請け制作であり、CD等の一時固定も、下請けプロダクションと選曲家でなされている。これは改めなければいけないと思うが、如何か?

加藤理事:まあ、以前は、たしかにそのようなこともあったようですが、現状は改善されており、玉 木さんのおっしゃるようなことはございません。
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 加藤理事のこの答えは全く現状認識が足りない。私はもっと突っ込みたかったが、それこそ総会には誰がいるか分らない。多分、放送局関係の人も多数いるはずで、そんな人の前では加藤理事も真実は言えなかったのだろう。ここが実にJASRACの隘路であり、問題点でもある。放送局や系列音楽出版社とJASRACでは、どっちが立場が強いか、みなさんはお分かりと思う。それなのに、カラオケ、MIDI、携帯着メロ等の突っつき易い部分にはかなりの強引さがあるようにきいている。ヤレヤレ……。
 さて、総会も終り、懇親会。ここで私は大勢の人から、先日の評議員会欠席のことをきかれた。みんな、私がいなかったので淋しかったようなことを言ってくれた。イヤハヤ照れ臭い。
 懇親会も終り、酩酊気分で、作曲家2人ともう一軒行こうかとフラフラしていると、代々木上原駅前の焼き鳥屋で、吉田茂理事長以下JASRACの面 々、そして、こわもての作詞家・里村龍一氏の御一行に呼び止められ、とても珍妙な場に同席した。酔った席での内輪話は書かないが、害の無いことを少し。
 吉田理事長、いつもはおとぼけの紳士なのだが、サングラスをかけて飲みまくる姿はかなりの番長で、結構、職員にもベランメエ口調だった。そして、もうひとり、作詞家の里村龍一氏、いつも評議員会で、私の発言を遮るため「うるせえ、この、ダマレ」とかヤジをとばしてる、と言ったら、「あれはひとりごとだ」「あんな大きな声のひとりごとなんて」と、みんなで大笑い。

 ところで彼は、釧路で何年間か漁船に乗っていたんだという。多分、船中で何万回と演歌を聴いたんだろうなあ、ある時、演歌の作詞コンクールに応募してみたら、見事に優勝して上京してきたという話だ。いかにも演歌くさくて面 白い話だった。

                                                                                                 


《著作権コーナー 2002/6/24版》


〈JASRAC総会〉

 6月19日の午後、JASRACの総会が開かれた。そのJASRACに出かける少し前に、私 の師匠、山本直純氏の死去を知り、向かう足どりも重くならざるを得ない。

 直純さんと最後に会ったのは、ほぼ1年前の前回のJASRAC総会だった。私はその時 、冒頭質問で爆弾発言をした。その発言内容の重大部分は、円谷プロの「怪奇大作戦 」の徴収漏れの件だった。その内容については、以前の書き込みを参照して頂きたい が、質問を終えて、しばらくすると、伝言の紙が私の所へ回ってきた。「話がある。 表に出て欲しい。山本直純」とあった。私はイヤーな気分になった。というのも、「 怪奇大作戦」の背景音楽は私だが、テーマの唄の作曲と、全体の音楽監督は山本直純 氏なので、なぜ、厚かましくも、さしでがましくも、自分に相談もなしにスタンドプ レーをするのだ、と言われると思ったからだ。

 私はどう弁明して、どうあやまろうかと思いつつ、直純さんの姿をさがし、2人で 表に出て、喫茶室に入った。すると、直純さんの開口一番は、実に意外なことだった 。「玉木さん、あんな重要な問題、ひとりで闘ったって、JASRAC相手じゃどうにもな らんよ。オレも協力するから、仲間を増やせ。しかし、お前の発言はすごい重要なこ とだということは分った。あんなことを発言できる奴はそうおらん。オレの弟子の中 では、お前だけがしっかりしてることは認める。しかし、大事なことは、一人で闘う な、仲間を増やせ、ということだ」

あまりに意外な言葉に、私の目頭は熱くなった。そして、その後の評議員選挙、たし かに直純さんは、自分の知る限りの範囲で、玉木に協力しろと電話してくれたと人づ てに聞いた。直純さんはやはり本気だったのだ。

 で、総会の議題は2つ。1つめは、13年度の決算書について。もう1つは、放送使 用料規程の改正についてだった。星野会長、吉田理事長の挨拶に続き、加藤理事の決 算書についての説明が始まった。グラフ等のビジュアルを活用しつつ、人を飽きさせ ない工夫を施した加藤理事の説明は、一見分かり易そうだが、人を煙に巻く老獪さも 感じられ、やや油断ならぬ印象を持ったが、同じ役回りの前木村理事とくらべJASRAC も代わりつつあるなあ、という気分になる。しかし、吉田理事長、加藤理事ともに、 JASRACの収入減の原因を、不況の波とCD売上激減、としか言わないことに、私は不 満を感じ、質問時間になった頃、真っ先に挙手した。

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玉木:昨晩、私の師匠の山本直純先生が亡くなられました。冥福を祈ります。さて、 私は2つの質問をしたいと思います。ひとつはJASRACの収入減のことです。先々回の 評議員会にても加藤理事は冒頭で、「不況の波がJASRACにも押し寄せ、特にCD売上 激減がひびき、ついにJASRACも減収となった」との報告があった時、評議員会全員に 、「そうか、ついにやっぱり……」という雰囲気が充満し、まあしょうがないかとい う感じになったのですが、私は、それはおかしいと思います。今日の理事長、そして 加藤理事の報告にしても、収入減は、もっぱら違法のファイル交換ソフトによるCD 売上減が主たる原因で、今後3年位の数字の伸びの鈍化を予測されていましたが、私 はそれだけではおかしいと思います。もちろん、そういう面はあるでしょうが、特に これからの予測については、私はもっと大きな原因があると思うが、JASRACはそれを 明らかにしてはいない。その問題は、新しい著作権管理団体、いわゆる第二、第三 JASRACです。まだ、起ち上がったばかりなので、詳しいことは分らないかもしれな いけど、こういう動きはけっこうJASRACに対して脅威になるんじゃないかと思います 。現に、私の友人で、元評議員だったある作曲家は、支分権を行使して第二へ移りま した。今後、彼のようなケースは増えていくと思われます。今すぐに答えるわけには いかないかも知れないけど、できれば何人位の作曲家と、どの位の管理楽曲が支分権 を行使したのか、の数字を教えてほしい。また、JASRACとしては、そういう流れを脅 威と感じているのか、または全く相手にするほどのものではないと見ているのか、そ の点をお答え願いたい。

 そして、質問の2です。私は以前から、ブランケット方式に於けるサンプリング調 査による分配に反対しており、ことあるごとに発言してきては、みんなに嫌われてい る。しかし、このネット時代では変なサンプリング調査ではなく、曲毎の補足が可能 になってきている。しかし、なかなかJASRACの対応が見えない。ここに、安藤和宏氏 の『よくわかる音楽著作権ビジネス』がありますが、この本の中でもサンプリング調 査への反対が各所に見られる。ここに1つ、ある所を引用します。

「また、現在行なわれているJASRACの有線放送におけるサンプリングの方法にもかな り問題がある。優先ブロードネットワークスの場合、440チャンネルある内のたった 3チャンネルに対してしかデータを収集していない。これでは精度の高いサンプリン グとは到底言えないだろう。JASRACは分配データを安易にサンプリングに依存する姿 勢を真摯に見直すべき時期に来ているのではないか。数学的、統計学的に正しいとい う言い訳は、デジタル時代にはもはや通用しないと考えるべきである」〈安藤和宏著 『よくわかる音楽著作権ビジネス 実践編 2nd Edition』より〉――こういう風に 、JASRAC批判の本がけっこう売れています。JASRACの今後の考え方を知りたい。

加藤理事:新しい管理団体、いわゆる第二、第三JASRACに対して、脅威を感じるかど うかについては、とにかく始まったばかりなので、さっぱり見当がつきません。ある かもしれないし、ないかもしれない。でも具体的な数字で言うなら、多分、32億位 が 移動するか、という試算はしています。とにかく、こういう事態が脅威にならないよ う、我々も努力を続けていきます。

齋藤理事:有線放送についてですが、玉木先生のデータは古い。現在はもっと進んで おり、約60チャンネルになっています。今後も、もっと数を増やしていく予定です。
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 私は、加藤理事にはもっと突っ込んだ質問をしたかったが、総会はどういう立場の 人が来ているか分らない所もあり、不十分ながら、納得したフリをせざるを得なかっ た。変なのは齋藤理事の答え。私は、例として有線放送をあげたのであり、全体とし て、サンプリング調査を問題にしているのに、答えとして有線放送だけに限られたの では、私の質問は矮小化されてしまったことになる。

 さて、私の質問をきっかけに、いろんな人が質問を始めた。私の友人の作曲家、安 西史孝氏の発言も面白く、続きは次回に報告する。


《著作権コーナー 2002/6/10版》


〈6月5日のJASRAC評議員会〉

 5日にJASRACの評議員会があった。しかし私は、かなり愚かしいダブル・ブッキン グで出席できなかった。5時ころ、作曲家仲間の櫻井順さんから電話があり、「体は 大丈夫か?」と心配のことば。

「はあ、不摂生はしてますが、まあ大丈夫ですよ」
「いやあ、今日の評議員会、欠席だったから、ちょっと心配で」

 私は不覚にも、ここで初めて、スケジュール・ミスに気がついた。
 で、どうでしたか、と訊くと、「いやあ、今日は亜星さんが日本にいないので欠席 、永さんも野坂さんも欠席で、穂口さんが一人で手を挙げていろいろ質問していたけ ど、まるで盛り上がらなくてねえ」。加藤理事も、「今日は玉木さんが質問してくる だろうと想定して、自分で想定集まで作ったのに、今日は欠席のようで残念。自分で 、玉木さんが質問してくることを予想して、自分で答えます」と、何とも珍妙な光景 になったらしい。私は、出席していればもちろん、なんだかんだと質問攻めにして、 みんなに「またか」とウンザリされたかも知れない。しかし、私の欠席は、まるで拍 子抜けのようになったらしく、そういう意味では、思いもかけぬ欠席が、ある程度、 功を奏したのかも知れない。

 6月の中旬にJASRACの総会があるので、そこまで質問を保留しておこう。


《著作権コーナー 2002/5/2版》


〈著作権の自己管理について〉

『アスキーネットJ』の最終号となった5月号の、ネットにおける音楽著作権特集の中で、私への写 真入りのインタビュー記事が掲載された。読まれた方もおられるかと思うが、少し詳しく書いてみたい。

 これは、私が事あるごとにJASRAC関係者に提言しているのだけど、全く相手にされない。しかし、私なりに大変重要な事だと自認している。それは、著作権の自己管理のありようだ。

 日本でも最近、JASRAC-Gメンの取締強化によって、やっと国民の間でも音楽はタダでは使えないという意識とか恐怖感が芽生えつつあり、それはそれで野放し状態よりは一歩前進とはいえる。しかし、悪代官の取り立てじゃあるまいし、国家的強権発動のような印象を一部の人(カラオケを置いている呑み屋とかMIDI関係者とか)に与えているのも事実で、あまりにも「音楽=金」という結びつきを強調されると少し違うんじゃないかという気もしてくる。

 特に、MIDIの人たちの困惑は相当なもので、何をトチ狂ったか、私の所へJASRAC抗議のメールが来て、中には私に答えを迫ってくる勘違いな人も多く、私は困惑している。
 ずーっと野放し状態だったのに、ある時から急に「年間1万円払え」と一方的に言われても、というのが腹立ちの原因で、それはそれでよく分かる。私は十数年前から、MIDIの野放しについてはJASRACに何度も改善を求めたが、一顧だにされず、MP3騒動の道連れにされたのだから、とても変な経過だ。でも、それはそれとして、作家側に言わせれば、「年間1万円位 払わんかい。月々800円ちょっとじゃないか、コーヒー1杯分も払わんというのは絶対おかしい」と考える人が殆どである。

 JASRACとしてもたったの1万円くらいの事だから、MIDIの人たちの困惑や質問や追及にマジメに対処しているとは、とても思えない。しかし、たったの1万円とはいえ、100人で100万円、1000人で1000万円となる。私が問題にしたいのは、そのドンブリ徴収の、作家への配分方法だ。

 何ひとつ楽曲管理はしていないのだから、どこにいくら分配されているのか全くわからない。私はMIDIの人たちにお願いしたい。「払うのはいいが、誰にいくら分配されたか、情報開示されないと納得できない」という事を、個々に言うのではなく、団結して発言してほしい。JASRACは役所ではないので、オンブズマン制にはなじまないのは分かるが、自分たちの払ったお金が、どういう流れでどこに行ったのかという事のディスクローズは要求できるのではないか。

 簡単な方法論がある。それは私なら私でもいいが、作曲者の誰かに、事前に使用許諾を得て、数人のMIDIの人たちがまとまって、ある楽曲を集中して使用する。そして、その作曲家に、ちゃんと使用料が入っているかどうかを確認する。そして、もし入ってなければ正当に追及できる。

 私はMIDIの人に与する訳ではないが、かねてよりブランケット分配の不明朗さには腹に据えかねている事もあり、ひとつの突破口となり得るかもしれないなと思う。 話は変わるが、日本人の著作権意識はやはり低い。外国と比べて特に作家側の意識が低すぎる。何でもかんでもJASRAC任せ。だから、何とかJASRACにうまく取り入れば収入も増えるんじゃないかと勘違いする人が多く(?)また、そのようになっているように見える(演歌の作家に牛耳られている現状)のは、非常に残念だ。

 近ごろ、CDのデジタルコピー問題で喧々諤々。JASRACとレコード協会が3億円の損害を主張してある会社を提訴し、大問題になっている。私が取材を受けたのもその問題なのだが、私があえて大声を出して言いたいのは、作家本人が自由に自己管理できる状態にしてほしいという事。極端に言うと、自分の曲をA、B、Cに自分でランク付けする。Aは自分以外には絶対にデジタル化権を認めない。Bは通 常に。CはPD宣言する、というように。何年もかけて完成した大曲と、一晩で何曲も書きなぐったようなものとが同じ料率というのは、全く納得がいかない。

 今日はとりあえず、ここまでにしておく。なるべく近いうちに続きを書く。


《著作権コーナー 2002/4/8版》


〈アスキーから取材を受けた〉

アスキー社から、これからのネット時代の音楽著作権について取材したい、とのことで、数日前、事務所に編集者が来た。
 アスキー社の動向には関心を持っている方なので、『週アス』か『月アス』かどちらだろうと思っていたら全く違っており、『アスキー・ネットJ』という雑誌だった。非常に刺激的で私好み。『噂の真相』と『新潮45』、廃刊になった『宝島35』、そして『サイゾー』のようなエグい所を、ネット関係に集約したような雑誌。私好みなのに今まで知らなかったのが不思議。ところが、取材を受けてから聞かされたのが、「来号で休刊」とのこと。ヤレヤレ。
 日本版ナップスターの問題とかコピープロテクトとか色々と訊かれたが、私は自分の一番言いたかったことを強調した。それは作家の著作権自己管理の意識の低さについてである。私は近々ある提案をすると言ってきているが、冒頭の『アスキー・ネットJ』にその提案が載っている。まだ雑誌発売前なので詳細は書かないが、いずれ詳しく書く予定。


《著作権コーナー 2002/2/26版》


〈JASRAC評議員会報告〉

 去る2月20日、JASRAC内にて評議員会が開かれた。
 今回の議題は、平成14年度の予算案、そしてCATVの放送使用料についての合議内容、最後にインターネット上の徴収方法についての合議内容、この3点であった。

 今回の評議員会は、さしたるケンカになるような内容もなく、非常に落ち着いた雰囲気の中、粛々と質疑は進み、とはいえ、かなり内容の濃かった会だった。今日に限り、「我々J-scatと向こう側」という対立軸はなく、そういう意味では今までとは毛色の違った進行だった。  会議は、平成14年度の予算案の説明から始まったが、説明に当たった加藤理事のけっこう人間味あふれる危機感の漂う説明に、みんなは、「はー、なるほど、JASRACも大変なんだな」というムードで始まった。

 加藤理事の説明によると、13年度のCDの売れ行きが想像以上に落ち込んでおり、レコード協会との話し合いでもレコード会社そのものの存続が危ういという話題になり、先が見えない状況である。その原因としては、1月にJASRACとレコード協会が仮処分申請している、日本でも始まった音楽ソフト交換システムの登場により、CDの売上が激減することが予想される。およそその額は80億円にもなるかもしれない。これはあくまで推測であり、はっきりした数字ではないが、その通 りとなったとしたら作家の先生方への分配も1割くらいは確実に減るし、それを見込んでJASRACの理事も、実は2回ほど役員報酬をカットしている、とのこと。  いきなりの激しい先制パンチ。

 実は平成13年度までの収入は依然として右肩上がりだったのに、今回やっとJASRACも、もろ不況の波にさらされたという報告なのだ  加藤理事は、減収の原因としてCDの売上の激減しか言及しなかったが、実は現在、仲介業務法の改正により、JASRAC以外の音楽著作権管理団体として既に4社が立ち上がっているとのこと。実はそちらへの収入の流出が増加する事が最大のファクターと思えるが、理事としては、多分そんなこと口が裂けても言えない事だろう。

 しかし加藤理事の淡々とした減収予測の説明には、全員「そうか、やっとJASRACにも不況の波が来たか」という、変に物分かりのよい受け止め方が殆ど。そのあまりのウブさに私はまたまたノケゾッタのだが、そうじゃない人はとくに見受けられなかった。日本はもう瀬戸際なんだ、だからJASRACの収入も減るのも仕方がない、というマインドコントロールが大成功している。

 また、加藤理事は、支出の中で特に突出しているコンピュータ関係の金額についても、14年度はあらゆる面 でのシステム改変があり、それに対応するためには……との説明。実は、このシステム改変は、JASRACの一元管理が外れたことが原因である。このことは、コンピュータ関係に強くない評議員にはついていけない問題であり、「何となく、そうなんだろうなあ」というような反応。

 ここで加藤理事が、この突出した金額について、申し訳ないと何度も謝りつつ、みなさんの御理解をいただきたいという〈言い訳〉を出した事に、実は私はたいへん参ったのである。というのも、今日に限っては、私は事前に質問事項の1つを向こうに知らせてあり、この「言い訳」は実に、その質問に対する予防線だったように見えるからだ。私は質疑に入り、冒頭に挙手し、2.5問、かなり詳細な質問を行った。以下に要約したい。

************************************************
玉木:2つの重大な質問と、1つの私的な、すぐ終わる質問をしたい。
(1)は、前回に私が加藤理事に糾した、JASRACへの入金状況のコンピュータ・データ化について。(2)は、放送使用料のブランケット問題。

 まず(1)について、前回加藤理事は、「入金状況のデータ化には、とてつもない予算がかかりそうなので、精査しないと答えられない」との答えだった。それに対して、私が「じゃあ、いつまでに精査して理事会に諮るとか、時期を説明しないと前進しないではないか」と迫った所、加藤理事は「じゃ、次の」、つまり今日、2月の評議員会にて答えると言われた記憶があるのだが、なぜか会報の評議員会報告では削除されている。まあ、言った言わないは国会のようになるのでやめておくが、全体状況の報告の中でもコンピュータ関連が突出していることの説明と弁解が多く、私の提案は入る余地がないかもしれないが、やはりとても重大な問題なので、予算の精査と、実施時期を明確にしてほしい。

 それから、(2)について。現在のテレビの音楽の使い方は、悲惨の極みの使いたい放題。これは明らかにブランケット方式の弊害で、テレビ局は先払いしている以上、使わないと損とばかりに音楽を垂れ流している。日本のブランケット料はヨーロッパの3分の1、米国の2分の1と言われているが、NHKも民放もあと10年は改訂に応じないという。それじゃ、発想を逆転して、今の日本のテレビでの音楽使用時間の総量 を計算して、ヨーロッパ並の3分の1の時間に総量規制すれば、少なくとも音楽の使いたい放題という状況は改善されるのではないか。思い切ってこの総量 規制ということを、放送料委員会にも提案してほしい。

 (3)は自分のことで申し訳ないのだけど、JASRACからの電話で、「パチスロの勝利の瞬間の音楽に私の『大江戸捜査網』を使いたいという業者がいるが」という問い合わせがあり、その音楽はメーカーのチップに埋め込むとのこと。私は賛成はしたが、そのパチスロで遊ぶのはお客、儲けるのは店。とすれば、店や客にも課金した方がいいと思うが、いかがか(この問題提起の発端は、私の本の版元、文化創作出版の社長、行本氏がパチンコファンで、私の音楽をきき、「先生、1日に何回かあれが流れているかしらんが、ものすごく入るんだろうねえ」と言った話から。実は全然違う。メーカーが1チップ8円×製造台数で出荷したとたんに、金額は発生しなくなる)。
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 これらに対する加藤理事の答えのまとめ。

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加藤理事:(1)に関しては、結論から言ってものすごい予算がかかる。例えば放送使用料に関することなら、多分そんなに時間も金もかからないだろうが、その他のもろもろにまで及ぶとすると膨大な予算がかかる。玉 木先生は多分、全部いっぺんにやってほしいようなおつもりだと思うが、それは不可能だ。

玉木:じゃ、できることからやればいいんじゃないか。何について知りたいかということを話し合う場を持って欲しいし、そういう小委員会を作ってくれるならば私は喜んで参加したい。
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 しかし、加藤理事も会場もみんな冷ややかで、私に積極的に賛成する人はいなかった。私は予想していただけに(つまり、加藤理事の先制攻撃の効果 )シラケもしなかったが、まあ、ぼちぼちやりましょう。

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加藤理事:(2)の事ですが、今日、急にやみくもに言われても、どう答えていいのか分からない。
玉木:実は私は以前、加藤さんに話したら、それはいい考えだという答えをいただいている。
加藤理事:どこでいつ、どういう場所できいたか私は覚えていない。それはともかく、総量 規制をやると、逆に、使ってもらえる曲もチャンスがなくなるということも考えられる。また、これに似たような考えはいろんな所でも出ているので、今後はそれも念頭に置いて考えましょう。(3)に関しては私の範囲ではないので、担当者に。
担当者:附則14条の撤廃に伴い、遊技場からも徴収することになっています。
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 このあと、江口氏から、文化事業委員会の在り方に対する問題。小林亜星氏から、「JASRACの減収の原因についてはCDの売上減だけでなく、携帯電話の普及によることが大きく、次の年に復活するとも思えない。そこで、5坪以下のカラオケの徴収に当たっている人たちを、コンサートの徴収に回す方がいいのではないか」……。

 等々の質問があったが、あまり話題性のある質問もなく、予算案は賛成多数で通 過。小休止ののち、CATVの徴収についての質疑も通過。最後はインタラクティヴ配信の徴収について。ここでも誰も質問する様子もなかったので、私が挙手した。

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玉木:全体の話の流れから見ると、とてもスケールが小さいので恐縮ですが、少し、MIDI関連の質問をお願いします。御存知の方も多いかと思いますが、私のHPとメールはMIDI関係者の駆け込み寺のようなところがあり、私も少々疲れていますが、誤解を解く為にも質問を。まず、非商用の人達にJASRACマークを買わせる、というのは変な話だが、この場では分かり易く言います。その時に、既に買った人とかこれから申請する人達が、よく考えたら、音楽を使いたくないのでそのむねJASRACに言っても、いったん申請を出した人からはお金を徴収するとのこと。やめるという人からもとるのはおかしいのではないか。

 もうひとつ、JASRACのノンメンバーの作品しか使わないのに、やはり金をとられる、これは変だという質問、この2つをお願いしたい。 加藤理事:そんな話はきいたこともない。何かの誤解でしょう。先生のHPは有名なので、私もよく目を通 していますが(会場苦笑)。それよりも先生、最近うれしいことに、MIDIの人達の間ではJASRACマークの存在がステータスだという風潮になりつつある。うれしいことじゃないですか。
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 というわけで、評議員会は終わったが、その直後、ネット関係のJASRACの職員から、詳細の説明を受けた。彼によると、私の質問の意味は全てよく分かっている。それについて説明したいとのこと。まず、1つ目については、先に「払います」といって払い込んだ金額を「やはり返せ」というのは、普通 の商売上でもダメなんじゃないだろうか。でも、高圧的にはなりたくないので、ちゃんと対処したいとのこと。また、次の質問については、使用者達はJ-WID(JASRAC作品検索データべース)を見て、無信託と記されている曲のことを言っておられるのだろうが、実はJASRACとは無信託の楽曲でも、多数は音楽出版社と契約しており、その場合はノンメンバー扱いにはならない。その辺のことをいかに理解してもらうのかというのが大変で、とのこと。

 私はいつも爆弾的な発言をしているが、変に意気消沈(つまり分配が減るということ)した雰囲気の前では、淡々と進行した評議員会だった。


《著作権コーナー 2001/11/26版》


〈21日の評議員会は面白かった〉

 11月21日のJASRACの評議員会、とても面白く、また収穫があったと思う。J-scatの 作詞家、有川正沙子さんの鋭い突っ込みの質問から始まり、とどめはやはりJ-scatの 新人、中山千夏さん。

 私や穂口さん、亜星さんたちのやや硬直したやりとりとは違い、向こうさんもドギ モを抜かれた様子で、あまりヤジや怒号もなかった。

 連休に入る直前なので、とりあえず報告だけ。
 詳しい内容は連休明けに。


《著作権コーナー 2001/10/19版》


〈空しいJASRAC評議員会での罵り合い〉

 去る10月1日、10月12日と続けて新評議員会があった。先にも述べた通り、我々 J-scatは、3年前の26人から16人へとガタ減りした。向こうのエンカ側は「JASRACを 考える会」などという紛らわしい団体名を名乗って猛烈な結束と底力を発揮し、種々 の怪文書を乱発して非常に醜悪な選挙戦をやった結果、我々は敗北してしまった。こ れで古賀財団との不正融資問題や、不当な会費制の廃止問題等、もともとJ-scatの懸 案だった事項の解決は、全くの向こうにすっとんで行ってしまった。

 私は、実はあまり古賀問題や会費問題には関心がなく、未来へ向かってのネット上 の対応が今の体制では全く見通しが立たないので、活躍するつもりでJ-scatに入った のだが、古賀問題の怪文書騒動に巻き込まれ、JASRAC内部でJ-scat側から推挙された デジタル問題小委員会3人のうち、安西史孝氏と巻上公一氏は落選。私にしてもよう やくの当選だった。

 安西氏はこの結果に怒りまくり、「『JASRACはネット問題とは関係ない』という評 議員達を選んだのだから、自分はネットと録音権に関しては支分権を行使して、第2 団体へ移る」とのこと。

 JASRAC、およびJ-scatは大変貴重な人材を失ってしまったのに、エンカ側は全く関 心がないらしい。

 10月1日は、作曲、作詞、音楽出版社の評議員の中から理事への選挙。もちろん我 々は勝つはずがない。会長は、自然の流れのごとく、エンカの大作詞家・星野哲郎氏 に決定。体調が心配される中、御苦労なことで。おかげで作詞家の評議員が席1つ空 き、巻上公一氏が繰り上げで当選した。パチパチ。そして、今回新人として立候補し て、高得票で入ったのが中山千夏氏。これからの新風を期待したい。

 10月12日は、プロパー理事と監事の推挙。これも当然のごとく通過。だが実はこの 日の審議の冒頭、私は「今般の評議員選挙に不正があったのではないか、もしそうな ら、この評議員会すら無効になる」と、証拠書類を持ちながら、執行部に詰め寄った が、大多数のエンカ側のヤジと怒号でかき消され、議長に発言を止められた。私は、 最後にもう一度質問することの約束を得たが、その最後の質問は議事録から外されて しまった。私の冒頭の発言が議事録に載っているようなら、どんな中身だったのか報 告するが、ここではまだ我慢したい。

 なお、この議事録に載らない、変則的な質問の中で、もちろん私は大勢から弾劾さ れ、名誉を傷つけられたが、小林亜星氏が最後に非常に怒りまくり、すぎやまこうい ち氏に詰め寄ったところ、エンカ側の、もろ、コワそうな作詞家に凄まれ、大険悪。 巻上公一氏の中国拳法風の仲裁で、何事もなかったが。

 まあ、今のところはここまで書くのが精一杯。私はいまだに虚無感から立ち直るこ とはできないでいる。


《著作権コーナー 2001/9/18版》


 9月14日に、JASRAC評議員選挙の開票があり、立候補していた私も立ち会ってきた。 午前中は、大袋の中に入れられた投票用紙の入った小袋の点検という、モノモノし い儀式。驚いたのは、立ち会っている職員数の多さ。JASRACの末端の人間は、他の部 署の人もわからないくらい人が多いんだそうだ。それでもって手作業でデータ書き入 れてるなんて、なんとかせい!
 昼食の後、いよいよ開票。作詞家も作曲家も投票数800を越える多さ!(正会員は 1200名ぐらいか?)、音楽出版社も200を超える投票数。驚いたことに、白紙の無効 票と、「投票は10人まで」と書かれているのにそれを超えて無効になってしまった投 票が何票かあった。
 評議員の選挙は、作詞家、作曲家で色の違う投票用紙で、それぞれに50人くらいの 立候補の名前があり、その上にチェックマークを塗る白枠があり、その50人の中から それぞれ10人ずつ、鉛筆で黒く塗りつぶし、機械で読み込む方法である。JASRACから は「くれぐれも鉛筆書きで」との注意書きと2Bの鉛筆が同封されていたのにもかか わらずボールペンで書いた人も何人かいた。この票は機械からはじかれたが、有効と してカウントされた。
 前回、J-scatは作詞・作曲で計25名くらい当選し、あと少しで過半数をとれるぐら い善戦し、今回も飛躍すれば、現・演歌派執行部がひっくり返る。ま、そんなにたや すくはないだろうとは思っていたが、開票結果は、我々は大惨敗。多分14名になって しまった。一緒にネット上の小委員会に出席していた安西史孝氏も巻上公一氏も落選 してしまった。当選は上位30名までで、巻上氏は3名同数の29位、抽選の結果31位と いう次点になってしまった。
 多分、作詞家から会長が出るだろうから巻上氏は繰り上げになるだろうが、安西氏 は絶望的。JASRACの中でも一番ネットに詳しい安西氏を失ったことは、我々だけでな く、JASRACにとっても大きな損失。今回の得票上位はほとんど演歌系。特に音楽出版 社の締め付けが若い作曲家にとんだことは用意に想像できる。向こうの危機感は死に もの狂いだったんだろうね。安西氏を落としてしまうようなJASRACの作家たちに、こ れからのネット上の著作権のことを語る資格は一切ない。
 実に情けない。NYで疲れてJASRACで疲れて……。
 ちなみに私は、辛うじて27位の131票、前回より20票ほど減ったが、他の人達より は減り方は少なかった。
 またこれからの3年間、シンドイなあ。
 なんとかして、JASRACに批判的な人の声を吸収するためにも助けになりたいのだけ れど、今はしばらく静観……。ただし、みなさんからの激励の言葉とか、JASRACへの 注文等のメールはどんどん下さい。それだけが薬になります。よろしく。


《著作権コーナー 2001/8/9版》

〈JASRAC総会について〉

 一時、私のHPへのアクセスが猛然と増えた。その大部分が著作権に大変関心のある 方々であることは分かっており、私のBBSへ書き込みをされる大半の方々も同様だと は思うが、個人だけでやっているHPゆえ、アクセスが急激に増えると対処するのも億 劫になる。どうしようかなと思いつつ、このコーナーの更新も滞っているうち、アク セスも夏休みに入ると共に減ってきて、ようやく個人が落ち着いて考えたり対処した りできるような状態になってきた。

 さて、“素晴らしいJASRAC総会”の後、電子化問題の小委員会に出席して雑談的に きいたところでは、いろんな変革のアナウンスの中、一番敏感に反応したのがMIDIの 人達であるという。それがまた、思いもかけないほどのちゃんとした対応ぶりで、い まさらながらにMIDIの人達の生真面目さを、JASRACは見直すと同時に身の引き締まる 思いで受けとめたという。そんな話を聞きつつ、評議員改選の時期を迎えて周辺は慌 ただしい。

 総会での浮いた発言以来、少し横から冷静に見ると、「J-scatの集まりだって所詮 は派閥争いじゃないのか」という第三者の声もなんとなく理解できる気もする。もと もと私は群れることが大嫌いなので、J-scatの中でもハネ上がっている部分もあるの かもしれない。
 まあ、なりゆき上、今回も立候補はするが、多少疲れを感じているのも事実。「自 分の利益には一銭にもならないのに」という忠告のような言葉も分かるような気もす る。とにかく、JASRACの職員達が一所懸命働いても、組織が硬直しているのだから気 の毒でしょうがない。

 そんな象皮病のスフィンクスのようなJASRACに1人で立ち向かうのは、ドン・キホ ーテ以外の何者でもないが、私の持って生まれた性分なのかもしれない。
 まあ、この3年間の私の発言が、どの派の利益の為でもないことは大分いろんな人 に浸透しているようなので、それを信じつつ、また当選したら、もう一度ドン・キホ ーテになろうかと思っている次第である。


《著作権コーナー 2001/6/27版》

〈JASRAC総会について〉

 6月20日にJASRACの総会が行われた。私は、今回は相当大荒れになるだろうと予告 していたし、その報告を楽しみにしている人達も多くおられるだろうけど、訳あって 今回は簡単な報告にさせていただく。というのも、大荒れの幕開けの爆弾発言を行っ たのは他ならぬ私であって、あまりにも機先を制したため、待ち構えていた猛者連の 質問もほとんど色褪せてしまったような感があり、結果としては、最初の私の質問そ のものの印象が強すぎて、審議自体はかえってササーッと終わってしまったような感 じすらするので。
 あまり発言もせず、メモだけとる立場だったら、それでも面白い展開はあったのだ が、今回だけは私が客観的になれていないので、いろんな方の発言を書かないほうが いいだろう。
 でも、最初に決算報告書の質問に立ち、爆弾発言をした私の内容は報告しておく。 要旨、以下の通り。

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玉木:決算報告書を見る限り、「入り」も「出」もきれいな数字が並んでおり、それ は多分疑うべくもないことでしょう。しかし、「出」のほうの肝心の使用料に関して 、根本的な質問があります。私はブランケット方式に対する2つの質問があります。 一般からの使用報告がはっきりしている場合以外、放送、有線、カラオケ、社交場、 また末端のホームコンサートに到るまで、徴収はすべてブランケット。「じゃ、どう 配分されているのか」と訊くと、必ず、「過去の実績において」と言われる。私の場 合なんか、行き付けの喫茶店の有線では毎日のように私の編曲著作権のあるものが流 れており、「これは私の編曲だ」と店の人に言うと、「先生、蔵が建つねえ」と言わ れる。しかし、絶対に蔵なんて建たない。また、ワイドショーやバラエティ、旅番組 系のテレビで私の音楽が流れており、また、CSTVではもろに私が関係したビデオが流 れているが、次の分配で一体いくら入るだろうと楽しみにしていると一銭も入らない 。サンプリング調査にひっかからなかった結果かもしれないが、この際、私は提言し たい。ブランケットでの分配が全く不明なのを情報公開するためにも、JASRAC内の長 者番付を発表してほしい。疑心暗鬼に陥るあまり、我々が、あの分配はどうなってい るんだろうという時、冗談のように「古賀財団に行ってるんじゃないの」と笑い話に なってしまう{会場、失笑}。そういうことは絶対に無いという前提のためにも、長 者番付を発表してほしい。
 次に、第2。JASRACの分配データがコンピュータ化されていないという恐ろしい事 態に直面している{会場から「そんなことはない」との発言}。なぜかというと、私 は過去、自作のビデオ――作品名を言うと『怪奇大作戦』だが、徴収漏れがあり、自 分で調べ上げた結果、360万円くらいの徴収漏れが判明し、入金もあった。その後、 他社でも何回かビデオ化されているということが、詳しい人からもらったデータで判 明したので、「私に払っているかどうか、過去にさかのぼって調べて欲しい」と JASRACに言ったところ、調査すると言ったまま約3ヶ月たっても答えがない。なぜか と訊いたら、データがコンピュータ化されておらず、外部に託してある倉庫の、山の 様な書類を何人もの手で調べ直しているので時間がかかっているとのこと。  世界中で、日本では著作権管理を一元的にやっているのはJASRACだけ。それが、デ ータをコンピュータ化していないというのは、あまりにも情けなさすぎる。コンピュ ータ化していないというのは事実かどうか。事実なら、いつからデータ化するのか答 えてほしい。作家にパスワードを与え、自分で自分の作品がいつどういう風に使われ たのかくらいは知りたい。今の分配明細書では、結果の金額しか書かれておらず、ど この誰がどの曲をどういう風に使用したか全く分からない。データ化すれば一発で分 かる。絶対にデータ化してほしい。
 次に、私はあえて『爆弾発言』をする。私は先ほどの『怪奇大作戦』についての調 査報告の中で、1985年以前の書類は廃棄されているとの報告を受けた。事実なら重大 な法律違反だ。著作権というのは作家の死後50年まである。その間に書類廃棄とはい かなることか、事実をはっきりさせてほしい。
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 以上が私の発言要旨。
 これは会場に相当の衝撃を与え、理事側からは変な答えが返ってきた。というのも 、データのコンピュータ化は、分配明細書上では行われていることが歴然としている のに、プロパー理事の私への答えとしては、「今でもデータはコンピュータ入力して いない」とのことだから。また、長者番付については予想通り、即座に却下された。  今はこれ以上書かない。近いうち、ドラスティックな展開がありそうな気がするし 、今ここで私が憶測を含んだ見方を書くと、波紋が一層広がっていくだろう。今は、 私が重大な質問を放ったことの報告だけにとどめておく。なお、進展があれば必ず報 告する。


《著作権コーナー 2001/6/20版》

〈同一性保持権の問題点について〉

最近、私の掲示板に著作権に関する書き込みが多く、中でも同一性保持権が話題に なっていますが、掲示板だけで埋没させるわけにはいかない問題なので、ここに書き ます。掲示板に載せるつもりだったので、今回は文体が「ですます」調になっている ことを御了解ください。

 私は法律解釈は苦手なのですが、この権利は本来、作家の人格権に含まれるはずで JASRACが判定できるものではなく、また、JASRACはそういうことを判断する機関でも ありません。ただ、「作家から訴えられたら、いくら払わされるかわからんぞ」とい う脅しと教育のつもりなのだと思います。同一性保持権なんて、拡大解釈すれば、歌 物をインストにしちゃいかんという話にもなりかねませんが、それじゃもちろんMIDI は成り立ちません。

 同一性保持権は次のような狭義に解釈しましょう。つまり、間違えて覚えてたよう なコピーミスを掲載するな、ということです。

 同一性保持権を徹底的にチェックしたのが、通カラのデータで、市販の歌メロを打 ち込んでも、歌手がそれと違っていたら即、やり直しです。私が中受けみたいなこと をやっていた時、高木東六先生がピアノだけで伴奏している「水色のワルツ」が来ま した。とても味のある演奏なのですが、はっきり言ってメロメロに近く、テンポは大 揺れ、ミスタッチの連続。誰にそのDATを聞かせてもみんな逃げていく。仕方なしに 私自身が耳コピでやり遂げましたが、完成した時には快感でしたね。
 そうそう、この当時、また、今でもそうですが、音資料はDATで来るんですね。こ のDATコピーは明らかに違法なんですが、誰も問題にしませんね。でも何でもかんで もコピー禁止と言ったって、私のようにマーラーのシンフォニーでも耳コピできる奴 もいるんだからナンセンスですが。
 作家が同一性保持権を振りかざし過ぎたら、一切のカバーヴァージョンは成り立ち ません。私はコロムビアから出ている幸田聡子さんのヴァイオリン用に、美空ひばり の編曲をしていますが、「私は街の子」をタンゴにしたり「愛燦々」をチャイコフス キーの「2羽の白鳥」のようにアレンジしていますが、こういう作業で作曲家本人か らクレームが来ることは一切ありません。同じく、編曲といっても、とても下手くそ にねじ曲げるとクレームのくる可能性は無いとは言い難い。要は、技量の問題です。  アマチュアの方のMIDIデータを聴いていると、バウンスしている曲データがひどす ぎる場合があります。バウンスというのは一種のジャズ的ノリで、譜面は符点8分と 16分でも、三連符に近くしなければいけないのに、もろ譜面通りに打ち込んでピョン コピョンコしていたり、強弱のメリハリが無かったりしているデータのことで、こう いうものに出合うと、ちょっと違うなあと思ってしまいます。そして、シンセのサウ ンドにしてもあまり工夫の無いペランペランの音だと情けなくなります。

 私のBBSにおけるMIDIサイトの人たちは、著作権に関してはすごい勉強家が多く、 感心もするし、賛同の面も多くあります。ただ、JASRACに対しては、こわがらず堂々 と何度も主張してください。はっきり言って、JASRACはMIDIサイトまで手が回らず、 本来は相手にもしたくない存在なのですが、違法MP3バスターの為に、MIDIも巻き添 えにされているのです。ただし、法律と運用と解釈の勉強と同時に、ごく一部の人へ のお願いですが、非音楽的なデータを流さないように、音楽性も磨いて下さい。  稚拙なデータとアレンジとは全く違います。私の仲間のプロの作曲家にも、あまり にも非音楽的なMIDIサイトのデータに非常に腹を立てている人が何人かいます。彼ら は、アマチュアに抗議しても始まらないので黙っていますが、このことが同一性保持 権の人格権問題でもあるわけです。
 それから、全く別方向での問題があります。それは、MIDIデータはいとも簡単に盗 まれて改編されてしまうという危険性です。私自身、10年位前は、ドラムを打ち込む のが面倒で、ドラムパターンを随分チャンクに放り込んだりしました。もちろん今は やっていませんが、日本の法解釈では、リズム隊には著作権は無いそうです。

 最後に同一性保持権の問題で、実際に訴えられてLP発売が中止になったケースを。 タモリのパロディ・シリーズの『昭和のうた』のLPが、作詞者の石本美由起氏の激怒 の訴えで発売中止になりました。歌の名前「憧れのハワイ航路」を「たそがれのオワ イ航路」とパロッた結果です。パロディもシャレも、何かしら根拠がないとねえ。こ れは単なる下品な言葉もじりに過ぎないから、ちょっとやり過ぎとは言えるでしょう 。

 また、私のCD『玉木宏樹の大冗談音楽会』ではいろんなパロディをやっており、そ の中でも「なかなかいかないチゴイネルワイゼン」では、10数曲、チゴイネルワイゼ ンの出だしと同じ曲をやっていますが、もちろん誰からも訴えられてはいません。  私はプロだから、言っちゃあおしまいだけど、要は技量とセンスの問題です。


《著作権コーナー 2001/6/8版》

〈大混乱、抱腹絶倒の末期的JASRAC評議員会〉

私は、このコーナーで、JASRACの評議員会の報告を書き続けているが、JASRACの一部 の理事の間で、玉木は何でもHPに書くので油断ならない、評議員から追放するべきだ との意見もあり、私は、プロパー理事にも相談したところ、「評議員会の質疑の内容 は後に会報にも掲載されることでもあり、間違いの記述さえしなければ禁止すること はできないだろう」と言われ、かなり辛辣な報告をしてきているが、今回だけは、少 し心配である。というのも、昨日(6月6日)の評議員会の大ドタバタ混乱ぶりは、外 部に知られると完全にJASRACの大恥になるほどの茶番劇だからだ。

始まる前に喫茶室で顔を合わせた仲間は全員、絶望的な顔つきだった。というのも、 約1週間前ぐらいにドサッとかさ張った資料を送り付けられ、それも非常に難解な法 律用語羅列の文言ばかりでとても読み切れず、理解出来ず、それを審議するというの で、全員がシラケ切っていたのだ。中でも野坂昭如氏は風邪をひいておられたらしく 、「病院から来たんだ」という本人の、亡霊のような様子にはみんなが心配。

会議は2時に始まり、都倉議長から「今日は大変重要な8つの議決事項がありますので 、審議を尽くすためにも、5時まで3時間を予定しています」の一言で、会場ざわつく 。いつもはいくら延長を求めても2時間で切り上げられていたので、2時開始なら5時 に仕事の予定を入れていた人が多く(私もそのひとり)、仕事が間に合わないと慌て る人、また、こんな分厚い書類の審議をたった3時間だけでやるのかという不満の声 も数多く。

まずは、事業報告書、決算報告書の審議が始まった。木村理事の棒読み状態が20分以 上にわたり、私は所要の電話をかける為に席を中座、15分ぐらいして戻ると、既に事 業報告の内容についてかなり白熱した議論があった様子。私はこの議案での質問はな かったので沈黙していたのだが、小林亜星氏が重要な質問を放った。要旨は以下の通 り。

「予備費から2300万円を計上して、元理事の宮沢氏のJASRACからの不当解雇問題で敗 訴した賠償金に充てたとあるが、この予備費というのは利息の収入とのこと。利息と いうのは、我々の手数料が生んだものであり、賠償金は裁判に負ける事態を招いた遠 藤実会長と加戸前理事の2人が私的に払うべきだ」

これに対し、JASRACは賠償金ではなく、和解金だと主張し、言い分は全く噛み合わず 、都倉議長がものの見事に仕切ってその場は切り抜けたように見えた。私は都倉俊一 氏の音楽性とか過去の仕事ぶりから、私的にはあまり評価していなかったが、はっき り言って、昨日は彼のクレバーさを知らされ、今は見事な議長ぶりを大いに評価して いる。

さて、やっと議決という雰囲気になって、最後に野坂氏がやおら立ち上がり、爆弾発 言。要旨、以下の通り。
「さっきからのやりとりを聞いていると腹が立ってしょうがない。時間がないとか言 って切り抜けることばかりに必死で、そちら側(JASRACのプロパー理事たち)からは 誠意のひとかけらも感じられない。我々、物書きは、日本語というものと日々向き合 って生きているのに、なんという血の通わない官僚的な返答なんだ。反省して、もっ とちゃんと答えろ」

これで議場はシーン。そこへある女性から、「遠藤会長、例の宮沢事件について、日 頃から言いたいことが山ほどあって腹が立ってしょうがないとおっしゃっている。こ こで吐き出したほうがいい」との不規則発言。遠藤会長は最初しぶっていたが、進行 に困り果てた議長の催促もあって、仕方なくマイクの前へ。

「先ほど小林さんから、私に責任があるように言われたが、山ほど言いたいことはあ る。しかし、私はこの評議員の皆さん、75名中の73名に推されて会長になった。そう いう意味でもみなさんは私を信頼してくれていると思っているので……」

と、ここまで話した時、目の前に座っていたある人から、「いや、信頼しているので はない。追及するためなんだ」と言われたのに唖然。そして、「私をいじめる為に会 長にしたんですか」の声に、満場大爆笑。
この後の会長の発言内容は省略。そして、議決に付され、いつも通り、演歌派現執行 部の起立多数で採決された。

さて、2番目は、一番重要で一番理解不能な案件――信託契約約款と定款の一部変更 の件。
これは、いまJASRACが、大袈裟に言うと存亡の危機に立たされている事項である。と いうのも、10月に仲介業務法改正施行され、その結果、第二、第三JASRACが名乗りを 挙げるのに対抗するための諸規程の変更等の重要案件。これがたったの1週間前に、 ドサッときた書類である。

これに関しては私も重要な質問をしたが、せんかたのないことなので、ここでは書か ない。しかし、ある女性の「こんな重要で難解な議案、すぐに議決するなんておかし い。もっともっと朝から晩まで議論できるようにしてほしい」との言に、都倉議長も 「私も大賛成で、いつも執行部にお願いして「るのに実現しない。それでもって、こ んな短時間で議事進行しろなんて言われても本来不可能だと言いたい。ぜひ、これか らはそういう機会を作って欲しい」と要望。これに対して立ち上がった木村理事の、 「前向きに善処いたします」とのそっけない返答に、野坂昭如氏が激昂、議長席に詰 め寄った。

「何だ、今の言い方は! さっきから言ってるのになんという冷たい返事、冗談じゃ ない」と再三再四詰め寄ったが、J-scatの、そして評議員の最長老、丘灯至夫氏の必 死の説得で野坂氏は席に戻った。しかし、木村理事はなぜ詰め寄られたかが全く不可 解の様子。もう絶望的なすれ違いですわな。

また、J-scat穂口氏からの再三にわたる質問に業を煮やした服部克久氏が立ち上がり 、「J-scatからも2名が約款改訂の委員になっている。なのになぜその2人がちゃんと J-scatに報告しないんだ」と発言。これにはJ-scatから反論続出。私は挙手をして服 部理事に反論した。

「J-scatは共産党じゃあるまいし、自由人の集まり。私は採決の時にはみんなと同じ にように座ったままの反対派だけど、みんなが同じ考えのはずがない」と言ったら、 服部氏からは「共産党なんて言ってないよ。J-scatは民主党なんだろう」と変な意味 不明な反論あり。この後、しばらく休憩があったが、その場でも服部氏から詰め寄ら れた。「私は話を面白くするために言ったんだ」とかわすと「面白すぎるよ」と言い 返された。

そして、休みをはさんで、議題は4つめ、これがインタラクティブ配信使用料に関す るもので、この部分については、HP関係者、MIDI関係者たちも大いに関心を持つ問題 だとは思うが、肝心の内容を審議する状況ではなかった。

それまでのぎこちない法律用語の羅列の書類とは違い、今度はインタラクティブだの ダウンロードだのストリーミングだのと、ネットに関係のない評議員にはチンプンカ ンプンの半英語の氾濫。案の定、私の側にいた2人から小声で「ストリーミング」と か「ダウンロード」って何だ、教えてくれとのヒソヒソ質問。実はひとりは作曲家理 事でもあるんだから、惨憺たる状況である。まあ、本人の名誉のために名前は書かな いけど。

そこで私が手を挙げた。「私の周りの人からも今、ダウンロードって何だ、ストリー ミングって何だっていう質問をされた。私はこの席におられる何人が、この言葉を知 っているか疑問に思う。まず、言葉の説明から始めないと置いていかれる人が多い。 この際、内容はともかく、知らない言葉は恥と思わないでどんどん質問した方がいい 」との私の発言に、会場は爆笑と拍手の大嵐。でも、勇気をもって質問する人はおら ず(何を質問したらいいのか分からない人が多い)。しばらく議論は横道に逸れた。 そして採決をとろうとしたから、私が「最後に簡潔にひとこと注文。JASRACの担当理 事から、せめてインタラクティブ、ダウンロード、ストリーミング、この3つの言葉 をJASRACがどういう意味合いで使用しているのか、説明してほしい」と発言。

加藤理事は確かに的確に答えたが、当HPの訪問者に書く必要はないので省略。しかし 、「インタラクティブとは、インターとアクティブの合成語」という発言に対し、都 倉議長の「私は今でも、なんでインターアクティブと言わずにインターラクティブと 言うのか不思議でしょうがない。ラクティブという言葉はないでしょう」との発言員 また大爆笑。

さて、この話の頃には、野坂氏以下、数名が退席。段々と会の定足数の底に近づいて きており、議長以下、執行部も顔色が変わり始め、焦りも見えだした。もう採決なん て通過儀礼のひとつに過ぎず、5つめの管理手数料率の制定についての議題になった ころ、なぜかフラフラと野坂氏が戻ってきた。私は大変危険を感じていたのだが、こ のあとの一種の事件については、書くのを控えさせていただく。しかし、やはり発端 になった木村理事のお粗末な返答はないよね。

まだ議案は3つ。でももう書くのもしんどくなったのでここで止めにする。しかし、 最後の採決は定足数を2上回っただけの薄氷を踏むような結果だっただけに、終わっ てからは、私が仕事の時間を変更して残ったということ知ったJASRACの執行部から、 実に心のこもった感謝の言葉が返ってきた。吉田茂理事に深々とお辞儀されたのも印 象に残る。なんか変な言い方だが、「戦友」みたいなもんだね。


《著作権コーナー 2001/4/28版》

〈大荒れ評議員会〉

この間の続きです。初めて読まれる方は、前回を先に読んでからこれに続いてくださ い。

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さて、しばし休憩の後、都倉議長はいきなり採決に移ろうとしたが、非難ゴウゴウで しばし立ち往生。というのも、前回のはじめに書いたが、その日はあくまで審議を行 うということであり、採決をとるなどとはどこにも書いてなかったことによる。議長 もやむを得ず、最後の質問を受けるということになったので、私が挙手して、大変重 要な質問を行った。

玉木宏樹
「大変重要な質問を忘れていました。改訂案によると、他の団体への支分権行使を行 ってもJASRACの正会員の権利はそのまま残るとあります。これは変です。例えば、 JASRACの正会員でありながら、第二、第三JASRACの役員や代表者になってもJASRACの 正会員であり続けることができるのなら、後発の団体はみんな株式会社になるわけで 、当然、営利目的を優先する。となれば、JASRACをやめてもらわないと情報が筒抜け になってしまって、遂にはJASRACは崩壊してしまう。この点をよく説明してほしい」

私の質問は大変インパクト強く、実は改訂員会でもその点が一番問題になったのだが 、「公益法人である限り、正会員の地位を剥奪することはできない」という理事の説 明に、場内騒然。だからJASRACも株式会社にならなければ、という質問が飛び交い、 結局、私が行った質問への説明は一切なく採決になり、なぜか30対19という多数決で 通ってしまった。通ったらどうなるのかというと、この案を6月の総会に提出し、最 終採決をとるとのこと。いやはや。

そして次に、手数料の改訂についての審議。手元にはA4判で、結論の数字を書いた表 があり、なんだこりゃあと思っていると、スライドが用意された。そこには、手元の 結果に至る経過の数字が事細かく記されている。当然、見にくく、はっきりとは読め ない部分が多い。そのスライドの数字を紙にプリントしてみんなに配って欲しいとい う要求が出たが、理事側は、「これは外部に漏れるとまずいので、紙では配らない」 という。いやはや、驚き桃の木、情報公開の世の中に逆らうこと甚だしく、なぜ公開 しないのかと激しく迫る声に、「これからの他の団体に起ち上げに、この数字が漏れ るのはよくない」とのこと。

第二、第三の役員を正会員のままにしておくとしながら、漏れては困るというのは全 く自家撞着、話にならない。深読みすると、その場の評議員の中に、既に第二、第三 JASRACの起ち上げに奔走している人間がいるような印象を持たざるを得ない。

で、結局は、そのまま採決に回され、やはり30対19で通ってしまった。

ま、この話はあまりにも微妙すぎる部分が多く、日々の変化が激しいのでここまでに する。現に、JASRACは激しく動きつつあり、4月26日にも電子化対策の委員会があり 、私も出席してきた。こっちの方も問題山積。一党支配が崩れつつあるJASRAC。今の 自民党ほどのフレキシビリティくらいは持ってほしいと痛感する次第。


《著作権コーナー 2001/4/25版》

〈先日のJASRAC大荒れ評議員会について〉

 去る4月18日、怒号とバカ笑いの大騒ぎの中で、重要な案件が強行採決された。私 はその模様をすぐにもここに掲載するつもりだったのだが、何しろ想像を絶するバカ バカしさのあまり、思い出すだに空虚・脱力・無力感に襲われ、どっと疲れを覚える のでなかなか文章化できなかった。
 もちろん、今でも私は立ち直っていないが、あのあまりにもバカバカしい様は、誰 かが書かないと誰にも分らないことなので、徒労感を覚えつつ、思い出すことを書い てみよう。

 18日の評議員会は臨時招集で、その日の議題は、「1.信託契約約款の改訂、2.手 数料改訂、その他の報告事項」となっており、どこを見ても、「1」「2」に対して評 決を採るとは書いていない。これは大変重要な事実であり、何をして、何を強行採決 したのか、今もって全く釈然としない。

 さて、信託契約約款は、JASRACの存亡の根幹を成すといっても間違いない重要問題 で、2週間位前に、ズシリとした難解(やはり法律に近い約款なので、はっきりいっ て何度読んでも理解しがたい部分が多い)な改訂案が送られてきて、18日はこれを基 に審議するので、よく読んでおいてくださいとの通知が来た。まあ、どちらかという と訳の分らんまま、当日、よく説明をきいて、いろいろ質問したりすればいいのだろ うと思って臨んだのは全く甘かった。

 木村理事からの改訂部分の読み上げのあと、多数(もちろん私も含めて)の挙手が あり、たしかに前途多難を予想させた。ただし、評議員の大半(私も含めて)が、信 託約款と定款を混同していたミスもあったが、JASRACの表現、言い分にも問題があり 、これは痛み分け。

 今回の改訂の根幹を成すのは、第二、第三JASRACの登場に伴い、会員の支分権を認 めないのは独禁法にも触れるので、初めて、支分権を認めるということにある。分り にくいけど重要なので、私なりの説明を。

 従来、作家がJASRACに自分の作品を信託する契約を結んだ場合、それ以後に作られ た総ての楽曲をJASRACに一元的に管理されるという、きわめて強力なしばりがあった 。実は、校歌、社歌、それに準ずるもの(ここに無理矢理CM音楽が入ったような気が する)、ドラマ等の背景音楽は除外、もしくはないがしろにされてきた歴史があり、 JASRACとてデカい顔は出来ないのだが、最近、特にCD-ROM系のゲーム音楽が、正会員 の作品であっても、全くJASRACに登録されない野放しの支分権行使が公然化していた し、ネット上の対応が遅すぎたのも、皆さん御存知のこと。もう支分権行使禁止は有 名無実化していたのだが、今年の10月以降に新規管理団体が多数登場する場合を想定 して、一社独占を放棄するために、支分権行使を認める改訂を行うのである。つまり 、私なら私が、レコード用の曲はJASRACに、ネット関係は第二JASRACに、クラシック 系は第三JASRACにといった信託のしばりを自由にするということである。ここに、重 要な提言と質問が飛び交った。一番紛糾したのは、JASRACの株式会社化の問題提起で ある。その根拠は、JASRACに続く第二、第三が株式会社になって効率化をはかるとな ると、当然、手数料なんかもJASRACよりもっと安くなり、JASRACは必然的に経営が成 り立たなくなる。現在、いろんな所での公益法人見直しの傾向の中で、なぜJASRACは 株式会社化しないのかという質問に対して、2人の作家理事が素晴らしい答えをした 。

服部克久氏
「株式会社にすると、株主にならないと役員になれない。JASRACのような巨大資本を 株式化した時、作家個人が役員になれるほど株を取得できない」

すぎやまこういち氏
「株式会社というのは、営利を追及するのが第一なので、売れるものしか管理しなく なり、例えば、クラシック系は追いやられてしまう。公益法人であるからこそ文化が 守られるのであり、その意味でもJASRACを株式会社にすべきではない」

何か変だとは思いませんか? 2人の発言。
 これにはJ-scatの論理的刺客、中村氏が猛反発した。

中村氏
「服部さん、あなたは今、常識外れの発言をなさった。株主でないと役員になれない なんて、そんな会社なんて滅多にない。今の大企業はみんな、サラリーマン社長です よ。何を言ってるんですか。それからすぎやまさん、株式会社は文化を破壊するなん て、とんでもない。テレビ会社だってレコード会社だって、みんな株式会社じゃない ですか。あの人たちが文化を破壊しているとあなたは言うのですか。そんなことを言 う前に、リストラして手数料を安くすべき」

 これは、明らかに中村氏の勝ちである。
 いろんなその他の意見もあったが、都倉議長は突然進行を遮り、「時間がないので 、しばらく休憩の後、採決に致します」と宣言。会場は叫声と怒号に包まれた。  私の質問は少し、的外れだったかもしれないが、一応書いておく。

玉木宏樹
「私は今、作品届けの電子化の小委員をしていますが、それに関連して。作詞の届け はテキストで問題ないんですが、曲の方が問題。今の届け方では、1人の作曲家の1つ の作品を、名前を変えて「A」という名のものはJASRAC、「B」という名の曲は第 2JASRACに、ということが起こっても防ぎようがない。かつてロッシーニは、自分の オペラの序曲に、昔売れなかったオペラの序曲を流用したために、1つの曲に2つの題 名がついている。こういう二重登録を防ぐためにも、早く、音声ファイルでの作品届 けにしてほしい」

 これに対して、加藤理事は、いつも顔を合わせているし、「概ねその通り」との賛 意あり。もう1人木村理事は、全くトンチンカンな答え。

「第22条にあるように、ダブル登録等、JASRACに不利益を働いた場合のペナルティに 觝触します」とのこと。

 だから、そのダブル登録をどうやって見つけるんだ、との質問なのにねえ。

 ここまで書いたが、長くなったのと、バカバカしくて疲れが出てきたので、続きは 次回に。


《著作権コーナー 2001/4/17版》

〈J-WIDについて〉

 私は今、JASRACの内部において電子化問題の小委員をしており、ここに書くべきか どうか大変迷ったが、一応、JASRACの電子化の過渡期の問題として、JASRACのデータ ベース、「J-WID」について注意を喚起しておきたい。

 実は私のデータベースに、一時重大な誤りがあった。いろんな事実経緯が分ったが 、私はいまや、外部からの冷ややかなJASRAC批判をしているわけにはいかないので、 早急に欠陥を改めるよう努力するが、特に会員の人たちに自分のデータベースをもう 一度確認してほしい。私の場合のようなとんでもない(内容はあえて書かない)間違 いはないだろうとは思うが、たいへん分りにくく、誤解されかねない部分があるかも しれないので、何かあれば、私か、JASRACの内国資料部に報告して頂きたい。また、 データベースには、アーティストの欄があるが、著作隣接権はJASRACが管理している ものではなく、目安として掲載しているのであることを明記するようにJASRACに要望 しておいた。

 以上、分りにくい(書きにくい)文章になったが、前進があればまた報告する。


《著作権コーナー 2001/2/24版》

〈JASRAC評議員会報告〉

去る2月22日(木)にJASRACで通常評議員会が開かれた。議題は、今年度決算書中 間報告。木村理事による淡々とした読み上げと、それに関連する質問等。今回は、全 く絶望的に盛り上がらず、大変沈滞した空気で終わってしまった。

 いろんな質問もあったが、質疑が噛み合わないというか暖簾に腕押しで、ここにそ の模様を報告する気も起きない。なぜ、こんなに低調なのかというと、逆にこの時期 、JASRACは存続すら危うくなるほどの危機的状況にあるのに、逆に問題が多すぎて、 みんなが途方に暮れているというのが真実だろう。以下、質疑の中身にもあったこと だが、現在JASRACが置かれている非常に困難な状況を列挙してみよう。その根底には 常に、第二、第三JASRACが名乗りを挙げた場合の対処とからむ問題がある。

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☆管理手数料の引き下げは可能かどうか。
 第二、第三がもっと安い手数料で名乗りを挙げた場合、JASRACが苦境に建たされる のは明白だが、JASRACは手数料値下げを考えていない。

☆法改正により支分権を認めざるを得なくなったので定款の変更をしなければならな いが、これが大問題を含み、暗礁に乗りかかっている。
 今現在、関係者は思案投げ首でいい解決法が見つかっていない。支分権と言っても 分りにくいので、私の理解する範囲で説明する。JASRACの正会員(多分、準会員も) は、今までは、一度JASRACと信託契約をすると、自分の総ての楽曲をJASRACに信託し なければならないことになっている。が、これは独禁法に觝触しかねないので、曲毎 やジャンル毎にJASRACの一元管理を外し、ある曲は信託しない自由を持つ。これを支 分権という。いま現在の場合でも、CMと劇伴とゲーム音楽は一元管理から外れており 、実はなしくずしに支分権の行使(というよりJASRACが勝手に管理を放棄した場合が 多い)はあったのだが、これをちゃんと明文化しようとしており、ここに大きな問題 が潜んでいる。

 JASRACは公益法人であって、我々正会員は、法的には「社員」ということになるら しい。その「社員」が自由に支分権を行使すると、ある人間が第二JASRACの役員にな ったとしても、正会員の資格を剥奪することができないらしい。これは弁護士の見解 ではあるが、法的にはそういうことになるらしい。すると、とても変なことが起こる 。JASRACと利害の相反する社の役員をしながら、JASRACの正会員でいられることは、 反JASRAC的行為がいともカンタンに行われてしまう。これを防ぐには、公益法人をや めて株式会社に改組するしかないらしいというのだ。JASRACの株式化……それもいい かもしれないし、よく考えてみても何のことやらよく分らない。

☆ブランケットの放送使用料の改訂が難航している。
 NHKとは、今後10年間の間にやっと英国のBBC並に到達するという内約束は出来たが 、民放連が大反対しており、JASRACとの交渉は暗礁に乗り上げている。

☆ネット配信での7.7%という料率に対して、レコード協会は未だに反対しており、 複雑な問題になりつつある。

☆DAWN2001問題にしても、進捗状況がなかなか明らかにならない。

☆作品届けを電子化するにあたっての諸問題。  etc.・・・

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 私は安西史孝氏と巻上公一氏と共に、DAWN2001問題の特別小委員になっているので 、その立場から質問と要望を出した。その点だけを簡単に報告しておく。

(1)DAWN2001に準拠する配信会社を孫さんと組んでやるとして動き出したイーズ・ ミュージックの動きが、無期限に延期になったが、孫さんがJASRACを表敬訪問し、小 野清子前理事長とのあいさつの写真まで会報に載せ、対世間的にはJASRACと孫さんが 提携したのかのような誤解を与えたことに対し、JASRACはどういう態度をとるのか。 また、最近は欠席ばかりしているイーズ・ミュージックの向谷氏が未だに現在も評議 員であるらしいが、こんな変なことをどうするのか。

(2)DAWN2001問題小委員会は、3ヶ月に1回毎くらいしか行われない。そのたびに書 類をドーンと積まれ、我々はそれを読む暇もなく会議が終了してしまう。もっと頻繁 に、せめて毎月1回くらいは開いてほしい。

(3)作品届けのオンライン化で、歌詞はテキスト管理していけるが、楽譜はどうす るのか。一時MIDI案も出たようだが、MIDIはすぐに改編されるので危ない。ぜひ、音 声ファイルと楽譜の両建てにしてほしい。

 これらに対して、やはり明白な答えはなかったが、(2)に関しては加藤理事、や や挑戦的に、「オー、やろうじゃないか、週1回でもやろう」と。これは休み時間の 世間話的だったので、本気ではないだろうけど。

 その他、古賀