リスニングコラム/『Carmina
Burana――Medieval Poems and Songs』
『Carmina Burana――Medieval Poems and Songs』
(NAXOS/8.554837)
アルヴォ・ペルトのCDについては別の項で紹介しているので、レビューでは、図の2枚を紹介したい。まず『カルミナ・ブラーナ』。
ナクゾス・レーヴェルは、約900円前後という恐ろしい価格で新譜を出している。ユーザー側に立った場合、たいへん嬉しいことだが、作・編曲家側から見れば、ちょっとなあ……という面もあるが、よくこの値段で新譜が出せると、まず慨嘆。
「カルミナ・ブラーナ」というと、カール・オルフを連想される方もおられると思うが、もともとは13世紀頃のドイツ系吟遊詩人たちの歌の総称で、オルフはこの古楽を発掘し、現代風に編曲したものである。歌は、僧侶たちが酒・女・道徳を説いた歌とされているが、坊主が酒・女を歌うなどとは何事ぞ、と思うなかれ、「ボッカチオ」に描きつくされている様に、洋の東西を問わず、生臭坊主は沢山いた。また「カルミナ・ブラーナ」はある面、とんでもなく卑猥で直訳できないとも言われている。このCDは、そんな底抜けに陽気な乱痴気騒ぎのCDだ。
13世紀の曲でもあり、ドイツ系の音楽なのに、今日のようなドレミ節は存在せず、すべて教会旋法、いわゆるモードだらけである。各曲はすべて転調なしのハモりっぱなし。全くの転調も無く、コード変化もほとんどない曲の特長は、いろんなモードの変換にあるということがよく分る。言葉では〈教会旋法〉を知っていても、なかなか実態は分らない方にはぜひおすすめである。ヘクサコルドっぽい6音だけの曲もあり、ドリア、リディア、ミクソリディアのメロディが多い。そして、教会旋法といいながら、暗いものはひとつもなく、1曲目の「ようこそ、バッカス」からして、底抜けのドンチャン騒ぎで、けっこう笑えてしまう。2曲目のリコーダーは、もろ尺八風だったり、他の曲でも旋法の使い方が妙に日本風にきこえる時もある。最後のバグパイプがチャルメラ風だったりして。
アンサンブル・ユニコーンの演奏もすばらしいハモりの世界を楽しんでいる。ハーディガーディ(一種の自動演奏ヴァイオリン)やフィドル、バグパイプ、太鼓、カウンター・テナー、ソプラノ、何とも不思議なアンサンブルである。
(玉木)
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